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姫と貴族と世直し騒動 6

ついに、私は出動要請を行なった。


これにより、連合軍規第53条に基づき、サカエの都への襲撃を未然に防ぐための軍事行動を実施する。


ただし使える兵器は威嚇のみ。あとは物理的な阻止行為のみだ。


なお、昨日の調査で、黒幕となるダイミョウが誰かはわかった。写真と声、そして屋敷の位置が決め手となった。おそらく今回の騒動で何らかの行動に出るであろう。その時に捉える手はずとなっている。


夜も暮れた。


あとは、武官の皆さんにお任せするしかない。


なお私は、トダの殿様の上屋敷にて、おキヨさんと一緒にこの行く末を見守ることとなった。


万一、地上の許可が必要な事態の発生に備えて、私はいつでもお城に向かえるように待機する必要があるためだ。


夜が暮れてしばらくして、無線で連絡が入った。


「大型船9隻を確認。時速10キロ。運河入り口到着まであと30分。」

「作戦を開始してください。」


私の合図とともに、駆逐艦が動き出した。


サカエの都上空に、灰色の艦が3隻現れた。


重力子エンジンの低い音を出しながら、ゆっくりと降下する。


さすがに地上は大騒ぎになった。だが事前に用意したお札が街中で一斉にたてられ、騒動を防ぐための措置であり、タイコウ様ご承知であるとの旨が公表された。


さて、あとは駆逐艦次第だ。


運河入り口近くで、大型船が見えてきたようだ。


合図の狼煙が上がる。


それに呼応して、駆逐艦が前進。


ちなみに中央の艦は2040号艦。通称スルメイカだ。


「スルメイカ、踏ん張ってくれよ…」

「なんです?スルメイカって。食べ物のことですか?」


今まさにこのサカエの街の数十万人を救うため動いている3隻の真ん中にいる艦がそんな名前だなんて、ちょっと恥ずかしくて言えない。


でもまあ、おキヨさんならいいかな。


ついに3隻の駆逐艦は運河入り口へ到着。


艦底部はほとんど水面上。そこで停止した。


驚いたのは大型船の乗組員。いきなり城ほどの大きさの巨大なものが、運河入り口を塞いでいる。


これでは、中に入り込めない。


だが、一隻だけ強行突破を図ろうと突っ込んできた。


ちょうどスルメイカのいる運河に向かっている。


彼らは「スルメイカ」の下に到達すると、突然火矢と大型の鉄砲を打ち鳴らし始めた。


一隻だけでも排除して、なんとか中に入り込もうと企んでいるらしい。


だが、その程度の攻撃で傷つくような船ではない。まるで無傷だ。


しかし今度は他の船が別の場所に向かおうとする。


報告を受けた私は、サカエを諦めて港や他の街に目標を変更する可能性があると考えた。


やむを得ない。


私は、「スルメイカ」に威嚇射撃を要請した。


以前なら未臨界砲撃しか手段がなかったが、今は有効な兵器が開発された。


「ノラン型閃光弾」と呼ばれる、目眩し用の兵器だ。


本来の使い方と違うが、爆発力のわりに光を40秒ほど出し続けるというこの兵器は、威嚇用にも最適だ。


早速、スルメイカに閃光弾が装填された。


「閃光弾装填!距離10キロ炸裂にセットよし!」

「撃ち方はじめ!!」


艦長の声が無線機からも聞こえる。


と同時に、こちらからも分かるくらい凄まじい音と光が見えた。


これが新しい兵器、閃光弾か。


基本的には未臨界砲撃とよく似た原理だが、こっちは光が持続するようビーム粒子を持続的に供給するような仕組みになっているらしい。


地上でも使えるとの判断もあったため、今回使用を要請した。


なんでも、この兵器開発に関わった大尉は、この兵器が無意味な人命損耗の防止へ貢献することを願っていたらしい。今回、初めてその役に立ったのではないか。


残りの8隻はいきなり炸裂したこの閃光弾に恐れをなして、停止した。


1隻は逃亡を図ろうとしていたが、他の駆逐艦の参入も経て逃亡を阻止。所詮、時速10キロでは我々の艦は振り切れまい。


なお、この黒幕といえるダイミョウ様は、事件に呼応して屋敷を出たところを役人に取り抑えられたらしい。


こうしてテロは阻止され、サカエの街は無事守られた。

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