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姫と貴族と世直し騒動 4

さて、駆逐艦に戻ってからは大忙しだ。今度は艦内でその「黒幕」暴きの準備に追われた。


黒幕追尾作戦という、身もふたもない名前の作戦では、次のようなものが用意される。


まずは大きな船。といっても、駆逐艦ではない。複座機の周りにハリボテでそれっぽいものを作って、慣性制御のみで航行すれば船っぽく見えるのではないかという意見だ。


こちらは整備班が徹夜で作成。まるで学校の文化祭のノリだ。


黒幕との会見は、船を見せると称して海岸沿いに誘い込む。時間は明日の夜。私の周囲に特殊部隊訓練を受けた乗員を何人か張り付かせて、カメラやマイクでの情報収集と、いざという時の私のガードを行う。


上空には哨戒機を飛ばし、この黒幕の追跡を行う。


これで準備は整った。


あとは、またあの「世直し」団との接触し、相手の黒幕を誘い出す。これが私の役目だ。


翌朝に決行、あの小屋にいってみる。


あのリーダー格がいるかどうかが心配だったが、問題なくあっさりと会うことができた。


私は切り出した。


「あなた方のダイミョウの方に、我々の用意する船を見てもらいたいのだが、今夜この先の海岸でどうか。」


いきなりの提案にリーダー格は躊躇した。


「そのようなことをいきなり言われても、殿が来られるかどうかはわからんぞ。」

「そうか、あらかじめどのような船かを見ることなく、いきなり我々を見つけられるものなのか?万全を期する上でも必要だと思い提案したのだが。」

「なるほど、確かに一度も見たことのないものを頼るというのはあまりにも不用意だ。わかった、殿にはお伝えする。」

「あなた方もなるべく正体を見せたくない時期であることは承知している。夜のうちに見ていただくだけでいい。」


この世界の常識で考えて、真っ暗な中で会ったところで、正体がバレるわけではないと思うだろう。まさか暗視カメラや上空からの追尾が行われるなど、思いもよらないはずだ。


「他にも、「世直し」の当日にどこにその船を寄せればいいかを決めておきたい。」


他にも、世直しが成功した後の交易に関する交渉などを行った。まあ、実際にそんなものが有効になることはないのだが、いかにも利で動いていると思わせないと、相手は信用しない。


こうしてまんまと相手のダイミョウをおびき寄せることに成功した。私も、悪よのう。


で、彼らと別れた後、今度はおキヨ殿の元に行く。


昨日約束した船の写真、そして地図を印刷した紙を持って行った。


するとまた上屋敷より呼び出しを受ける。またまた殿様のお出ましだ。


「この写真とやらと、地図の絵はいただいてタイコウ様にお渡ししていただくようお願いする。ついでに…」


なにやら後ろから取り出した。


「ついでにこの動画とやらもお渡ししようと思う。お主らのことを説明するのは、これを見せるのが早い。」


で、その代わりにもう一台欲しいと言われた。せっかくなので、もう少し別の動画も入れてお渡しすることで合意した。


やはり映像の威力はすごい。言葉では表現しきれないことも、映像ではすぐに伝えられる。百聞は一見にしかず、だな。


で、動画プレーヤーと、ついでにカスティーラも添えて殿様にお渡しした。是非、良しなに。なんだか賄賂を渡しているような気がしてきた。だんだん、時代劇の悪役っぽくなってきたな。


そんなこんなで夜になり、約束の時間になった。


待ち合わせ場所の海岸に行くと、すでに大型の船が停まっていた。


実際には船ではなくハリボテ。ただし、全長50メートルで、マストが3本、左右には大きな車輪のようなものが付いていて、大砲も数門付いている。そして、威厳のある真っ黒な船体。なんでも「黒船」ってやつを作ってみたんだそうだ。


なお、蒸気機関の音も出せるらしい。黒煙もだせるという半端ない作り出し。


駆逐艦では手に負えないので、戦艦のドックで製作されたそうだ。また皆さん、懲りましたねぇ。


で、早速あのリーダー格の男と、覆面をしたいかにもダイミョウな風格の男が現れた。


このダイミョウは全く言葉を発しない。正体がバレないよう配慮してのことだろう。


明日に迫った本番に向けた打ち合わせをして、後は明日に会おうということになった。そこで、ダイミョウ殿がついに口を開いた。


「お主らの活躍、期待しているぞ。」


こうして、彼らとは別れた。


まあ、おそらくこれが彼らとの最後の接触だろう。


暗視カメラによる写真。最後の言葉を録音したデータ。これらを持って再び上屋敷を訪れる。


屋敷に着いた時、例の男の入った屋敷の場所もわかった。この上屋敷より3軒ほどとなりの屋敷に入ったそうだ。


これらの証拠をもちより、殿様とあう。


ところが、まず殿様からはいきなりこんなことを言われた。


「明日は、タイコウ様へ謁見することになった。」


で、私にも同行せよとおっしゃったそうだ。


ついに、最高権力者との会見にまでこぎつけた。

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