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姫とメイドとマスカルポーネ 3

「では、これより今後のスケジュールのついて説明させていただきます。まず当艦は大気圏離脱後、アステロイドベルトに向かい、そこで小隊と合流、戦艦カルタミーレに補給のため寄港、その後…」


広報官殿が今後の予定を話してくれているのだが、正直さっぱり分からない。アステロイドベルトとはなんなのか?戦艦とは船のことか?


説明が終わると、私とロゼは艦橋に案内される。ここには、この駆逐艦の中で最も大きな窓が付いていると聞いたが、確かに大きい。


窓際に行くと、下には雲が広がっている。かなり高い場所のようで、山や王都らしき街が小さく見える。ロゼのやつはあまりの高さに、言葉を失っている。


「そろそろ宇宙に向け出発します。その際には、大きな音と揺れが起こりますので、ご注意ください。」


パルターノ殿が来て忠告してくれる。


「大きな音とは、どういうものだ?」

「なんていうんですかね…ゴォーッという低い音が鳴り響き、びりびりと壁や床が震えます。心配するほどのものではないですが、初めての方だと驚いてしまいますので、予めご承知ください。」

「そうなのか。では、忠告通り気を付けることにしよう。」


その時はそう応えたが、これが想像以上にうるさかった。


「規定高度に到達、進路上に障害物無し!」

「大気圏を離脱する、両舷前進いっぱい!」

「機関全速!両舷前進いっぱーい!」


という掛け声がされたのち、急に船内は騒がしくなった。


確かにゴーッという音がするのだが、頭に響くほどの大きな音。しかも、周りの床や壁がびりびりと響く。


あまりのやかましさに、私は思わず耳を塞ぐ。ロゼも同じだ。この音、うるさいなんてものじゃない。身体の芯まで響く。


だが、周りの者たちは気にすることなく自身の責務をこなしているようだ。これほどの音の中、よく平気でいられるものだ。


窓の外を見ると、青い球に白い筋が走った大きな物体が見える。時折茶色や緑色の部分が出てくるが、これが何かと尋ねると、なんと私がいた地面だという。


我々の住んでいるところは丸い大地だと聞いたことはあるが、高い場所から見ると本当に丸い。まるでサファイヤかラピスラズリのような澄んだ青がとてもきれいだ。このやかましい音がなければ、私ももう少し見とれているのだろうが。


しばらくすると、この騒音もだんだんと小さくなる。青く丸い大地も徐々に小さくなり、暗闇が広がる場所に出た。


これが宇宙か。どこまでも黒い場所が広がっている。奥行きが全く見えず、どこまでも暗黒が広がっており、その暗闇に駆逐艦が吸い込まれていきそうだ。


「明日朝には、目的地であるアステロイドベルトに到着いたします。しばらくお部屋でお休みになります?」

「いや、もう少し宇宙というものについて知りたい。アステロイドベルトとはなんだ?ここ暗闇は、いったいどこまで続いている?」


私はパルターノ殿に聞いてみる。すると、パルターノ殿は会議室というところに案内してくれた。そこにあるテレビモニターという、動く絵を表示できる黒い壁を使って私の疑問に答えてくれた。


アステロイドベルトとは、小惑星と呼ばれる小さな岩のような星が無数にある場所だそうだ。小さな岩といっても、我々の住む王国よりも大きなものもあれば、この駆逐艦よりも小さいものもある。


このアステロイドベルトの辺りに、彼らの艦隊がいる。そこに駆逐艦はたくさんいるそうで、その数なんと1万。王宮や城よりも大きなこんな船が、我が王国の軍勢並みにいるというのだ。さらに驚いたことに、もっと大きな船もあるという。


なお、宇宙というこの暗闇はどこまでも続いているという。その端にたどり着いたものはいないそうだ。彼らが行き来しているのはこの宇宙のごく一部の空間で、それでも光の速さで1万4千光年もかかるほどの空間だという。光というものがどれくらいの速さなのかはわからないが、途方もない距離であることがわかる。でも、それでもこの宇宙のごく一部なのか。いったいどうなっているのだ?この宇宙は。


聞けば聞くほど掴み所のない話ばかり出てくる。なお、パルターノ殿がやってきたのは、ここから250光年離れた星だという。


聞いていても全く理解不能な話が続き、頭がくらくらしてきた。するとパルターノ殿はまた食堂に案内してくれる。考えてみればこの場所は、食事と入浴くらいしかすることがない。退屈な場所だ。


食堂ではまた料理を選ぶ。私は赤いパスタを選ぶ。トマトチーズパスタというらしいが、またしてもマスカルポーネチーズが入っていると言われた。つくづく私と縁のあるチーズだ。


ロゼのやつは、パンケーキなるものを食べている。こんがりきつね色のこの丸い食べ物が気になって選んだそうだが、どうやらかなり気に入ったようだ。


なお、このパンケーキの上に乗る白いものもマスカルポーネチーズだそうだ。うーん、ここにもか…


部屋に戻ると、パルターノ殿が部屋にある機械の使い方を教えてくれた。壁に黒い板が付いていると思ったが、何かと思えばこれはテレビモニターというやつだと知った。


小さな黒い板切れのようなものについた突起物を押すと、動く絵が表示され、見たことのない山々の風景や、どこかの知らない街並み、料理の紹介などを見ることができる。こんなものが、各部屋についているのだ。これは、王宮の私の部屋にも欲しい。


すでに夜だというので、私はロゼと一緒にまた風呂に入る。相変わらず、私とはいるのが恥ずかしいらしく、一生懸命隠そうとする。そんなロゼを私はいじる。楽しいやつだ。


そんなところではしゃぎ疲れて、その夜、私はすぐに寝てしまった。


翌朝、パルターノ殿が部屋まで来て私を起こしてくれた。すでに私の住む王都では日が昇る時間を過ぎ、朝食をとる時間らしい。ロゼとパルターノ殿とともに食堂で朝食をとる。そこでまた私はマスカルポーネ入りサラダを食べていた。別にマスカルポーネを指名したわけではないのだが、なぜまたマスカルポーネが…


その後、艦橋に向かう。艦隊に合流し、戦艦というところに寄港するらしいので、私とロゼはその様子を見せてもらうことになった。艦橋に着き、あの大きな窓を見て、私は驚く。


たくさんの岩のようなものが見える。大きさは様々だ。その間をこの駆逐艦は通り抜けている。


この船よりも大きな岩がたくさんある。なぜこんな大きな岩がいくつも浮かんでいるのか?不思議でならない。


だが、その岩の間を抜けた先で、さらに驚くべきものがあった。


ずらりと整列した駆逐艦がたくさん見える。私が今乗っている、これと同じ形をした船が無数にあるのだ。ずーっと向こうまで並んでおり、その果ては見ることができない。私は思わずぞっとした。


この駆逐艦一隻でも王宮より大きな船だった。だが、こんなものが今ここには無数にあるのだ。確か、1万隻有るとパルターノ殿は言っていたが、とても数えきれない。


私は不思議に思う。どうしてこれほどの船がありながら、彼らは我が王国に攻めてこないのか?とても不思議だ。私の父上がこの船団を率いたならば、たちまち他の国に攻めいるであろう。どんな武器を持っているのか知らないが、武器など使わずともこの圧倒的な威圧感だけで戦わずして勝てる。


そんな無数の駆逐艦の間をゆっくりと進むこの駆逐艦。艦橋の中は、一部の人を除いて和んだ雰囲気だ。パルターノ殿もなぜかにこにこしている。


「なにやら皆、楽しそうだな。パルターノ殿も妙に嬉しそうに見えるのだが、何かあるのか?」

「あ、分かります?そうなんですよ、戦艦という場所は我々にとってはとても楽しみな場所なんですよ。」

「…よくわからないが、戦艦と言うからには、(いくさ)のための船なのだろう?なぜそんなところに行くのが楽しみなのか?」

「まあ、王女様も行けば分かりますよ。」


なにやら腑に落ちないが、そこに彼らを駆り立てる何かがあるらしい。だが、パルターノ殿を見る限りでは悪いところではなさそうだ。


だが、ここで急に周りが騒がしくなる。けたたましい音が、艦橋の中に鳴り響く。


さっきまでの和んだ雰囲気は消えてしまった。パルターノ殿の表情も変わる。


「艦隊司令部より入電!敵艦隊捕捉、旗艦の2時方向、総数1万、距離1200万キロ!、接触推定時間は約3時間後!」

「寄港を中止!総員、戦闘配置!これより当艦は所定の位置につく!」


なんだ?敵艦隊だと言ってるぞ。まさか、(いくさ)が始まるのか?


「王女様とロゼさん。突然、我々の敵が現れてしまいました。申し訳ないですが、この先我々の指示に従い、行動して下さい。」

「なんじゃ、敵とは。そなたが教えてくれた、連盟とか言うやつらか?」

「そうです、連盟軍がこの星系にやって来たようです。3時間後には、我々は戦闘に入ることになりそうです。」

「…本当に戦が、始まるのか…?」


それを聞いたロゼは、顔面蒼白だ。それはそうだろう。王女の私もそうだが、メイドが戦の最前線に来るなどということは聞いたことがない。


戦の話は父上が我々によくしてくれたが、それは凄惨なものだ。ある国を攻め滅ぼした時の話だが、敵味方共に血みどろの戦いを行い、倒した敵の屍を乗り越えて城に攻め入ったことがある。その城を攻め落とし、さらにその国の王宮まで押しかけ、王を捕らえた。父上は目の前でその国の王の首をはねさせて、王女や一部のメイドを国に連れ帰ったという。


その時捕らえられた王女は父上の使用人となったのだが、父上はこの元王女のことが気に入ってしまい、とうとう父上との間に子供ができてしまった。その子供が、実はここにいるロゼなのだ。母親は今も王宮でメイドをしている。その後、同じ頃に生まれた私の専属のメイドとなった。


元々王女だった母親を持ちながら、戦で負けたことで私の使用人となったロゼ。その数奇な運命を文句も言わずに受け入れたロゼだが、そんなロゼに再び戦という試練が訪れたのだ。何という運命のいたずらか。


パルターノ殿の指示に従い、我々は船外服というものを着る。宇宙には空気がないため、これを着ていないと、もしこの船が攻撃されて壊された時に我々は死んでしまうそうだ。ロゼも私も、この不格好で重い服を着る。


敵は徐々にこちらに向かっているそうだ。戦闘は避けられないと言う。艦橋にいるものは、皆持ち場にある目の前のテレビモニターを見て何かを叫んでいる。


「相対距離100万キロ、接触まであと10分!」

「艦橋より砲撃管制、砲撃準備!」

「了解、砲撃準備!」

「航海士より砲撃管制に操縦系を移行!」

「了解、操縦系を移行します!」

「敵艦隊は横陣形(おうじんけい)にて接近!」


艦橋内では緊迫した会話が交わされており、戦闘が近いことを感じさせる。


ロゼはもちろん、私も恐ろしくなった。なんの前触れもなく戦が始まるのだ。私は彼らの戦い方を知らない。いったい、どのような戦闘が行われるのか?


「相対距離、30万キロ!射程内に入ります!」

「司令部より入電!戦闘開始の合図!」

「よし!砲撃開始!」

「1バルブ装填、砲撃開始!」


艦長の砲撃開始の掛け声の後に、大きな雷のような音とともに、大きな青白い光がパッと窓の外に見えた。


「ぱ、パルターノ殿!あれはなんなのだ!?」

「味方の砲撃です。あのビームで、敵艦を撃ち抜くんですよ。すぐに敵のビームも飛んで来ますよ。」


パルターノ殿がそう言い終わる前に、窓の外には無数の青白い光の筋が見えた。


「直撃弾、来ます!」

「砲撃管制、バリア展開!」


この会話も直後に、突然目の前が眩しい光に包まれた。


ギギィーッというこれまで聞いたことのない不快な音が鳴り響く。私は思わず側にあった柱にしがみついた。


「きゃあっ!」


ロゼはというと、この不快音に驚き叫びながらパルターノ殿にしがみついた。思わずしがみつかれたパルターノ殿、両腕でロゼを抱き締める。


「だ、大丈夫ですよ。バリアが防いでくれますから。」


そう言ってロゼをなだめるパルターノ殿。こんな状況で、よく冷静にしていられるものだ。彼らはこういうことに慣れているのか?


「それにこの戦闘はすぐに終わります。もうしばらく、我慢して下さい。」

「は、はい。」


パルターノ殿の言葉に、ロゼはうなづく。しかしパルターノ殿のその言葉とは裏腹に、青白い光の撃ち合いは終わる気配がない。


再び艦長がバリア展開と叫ぶ場面があり、あの不快な音が鳴り響く。こちらの砲撃の際の音もうるさいが、このギギーッという不快な音だけはなんとかならないのだろうか?


しばらく撃ち合いが続いたが、2、3度あの不快な音を聞いたあたりで、急に駆逐艦の周りの青白い光の筋が少なくなった。


「来たか!」


艦長が椅子から身を乗り出して言った。何が来たのだろうか?よくわからないが、どうやら敵方の攻撃が弱くなったようだ。


そのあと、あの不快な音が鳴り響くことはなくなった。雷のようなこちらの砲撃の音だけが艦内に響く。


そしてついに、その雷音も止まる。あれだけうるさかったこの艦橋が、急に静かになった。静かすぎて、かえって耳の奥で何かが鳴り響いている感じがする。


「…終わった、のか?」


私はパルターノ殿に聞いた。パルターノ殿は答える。


「はい、多分。」


それを聞いたロゼが、急にパルターノ殿に抱きついた。よほど怖かったのだろう。普段は無口で黙々と働くメイドだったが、これほどまでに感情豊かだとは思わなかった。


その後、艦長から戦の経緯が話された。


「達する、艦長のジョヴァンニだ。この戦闘の状況について報告する。30分前より始まった砲撃戦だが、戦闘開始より20分後に、予め防衛艦隊よりまわされた味方の増援約3000隻が到着、敵側面より砲撃を開始。これを受けて、敵艦隊は交代。追撃戦を展開して敵を撤退に追い込んだ。現在、敗走中の敵を監視中。しばらく警戒態勢を維持せよ。以上だ。」


それからしばらくして、船外服というこのごつごつとした服を脱げることになった。この服、いざというときには役立つのかもしれないが、やはり息苦しくて好きになれない。


船外服を返しに事務所というところへ向かう。そこで服を返すと、しばらく部屋に戻って休むことになった。


「もうしばらくすれば、戦艦への寄港が許可されるはずです。その時はまた呼びにまいりますので、部屋でお休みください。」


そう言い残して、パルターノ殿は部屋に戻る。私もロゼも、部屋に戻った。


部屋に戻り、私はふと戦艦のことが気になったので、パルターノ殿に聞いてみようと部屋を出てパルターノ殿の部屋に向かう。が、その部屋の前にはロゼが立っていた。


私は思わず身をひそめる。別にロゼ相手に身を隠す必要などないのだが、何故かその時はロゼの前に出てはいけないような、そんな雰囲気があった。中から出てきたパルターノ殿にロゼは何かを話しかけ、しばらく話した後にそのままロゼは中に入った。


私は部屋に戻る。何故か、ロゼのことが気になっていた。さっきのパルターノ殿の部屋の前では何かを思いつめたような、いつにない表情をするロゼがいた。ロゼとは長い付き合いだが、あんな表情を見るのは初めてだ。あれはいったい、何だったのだろう?


パルターノ殿にもロゼにも会えそうにないため、私は部屋でテレビというものを見ていた。しばらくすると、突然部屋の中で艦長の声が聞こえてきた。


「達する。艦長のジョヴァンニだ。警戒態勢を解除する。これより1時間後に、戦艦カルタミーレへの寄港する。艦隊標準時1300から2300まで、戦艦への乗艦を許可された。各員、帰艦時刻の30分前には艦内へ戻るよう。以上。」


どうやら、やっと戦艦というところに行けるらしい。何があるのだろうか?パルターノ殿によれば艦内の皆が楽しみにするような場所らしいから、ぜひとも私も見てみたい。


そこで、パルターノ殿の部屋に行く。呼び鈴というやつを押してみた。


「パルターノ殿!艦長の声で戦艦という場所に行けると言われたが、どこに行けばよいのか!?」


しばらくして、部屋の中から声がした。


「あ、お、王女様!今ちょっと取り込み中で…あとで部屋に参りますので、しばらくお部屋でお待ちください。」


なんだか慌てた様子だ。何かあったのか?やや不思議に思いながら、私は一旦部屋に戻った。


それからしばらくして、パルターノ殿が現れた。


「お待たせいたしました、王女様。ではこれより艦橋の方へ参りましょうか。」

「分かった。では、ロゼのやつを呼んでくる。」

「えっ!?ろ、ロゼさんを!?」

「…何か問題でも?」

「い、いえ、ただ、今は何か取り込み中であったので、すぐには出てこないかと…」


なんだ、パルターノ殿、先にロゼの部屋にでも寄ったのか?しかしメイドとして常に私のそばに駆けつけるロゼのことだ。私が呼べばすぐに出てくるであろう。


ということで、ロゼの部屋に行く。私が呼び鈴を鳴らすと、ロゼはすぐに出てきた。


「あ、姫様…、それにパルターノ様…」


なんだか妙に可愛らしい態度のロゼが出てきた。


「これより艦橋に参る。お供せよ。」

「はい、姫様。」


パルターノ殿を先頭に、私とロゼがついていく。が、艦橋につくまでの間、ロゼはずっとうつむいたままだ。気になった私は、ロゼに聞いてみる。


「おい、ロゼ。先ほどパルターノ殿の部屋に入っていくのを見かけたが、何かあったのか?」


この質問に、ロゼだけでなくパルターノ殿もびくっとした。


「あ、いや!何でもありません!」

「そうか?妙に態度がよそよそしいので、もしや喧嘩でもしたのかと心配したのだが。」

「いや、姫様、パルターノ様とは喧嘩などしておりません!大丈夫です!」

「そうか?ならばよいが…」


全力で否定するロゼ。だが、いつもとは違うこのメイドの態度に、どこか引っかかるものがある。


艦橋につくと、ちょうど戦艦に入港するところだった。


目の前を見て驚いた。巨大な灰色の岩が、窓一杯に広がっている。


よく見ると、ところどころちかちかと光っている。てっきり先ほど見た小惑星かと思いきや、これが戦艦だという。


「こんな岩に船をつけて、いったい何をするつもりだ?」

「この船の補給を行うんです。食料や燃料、それに先ほど砲撃をしたため、エネルギーの補充が必要なんですよ。」

「うむ、そうなのか。だが、そなたはここに楽しみなことがありそうなことを申しておったが、いったいこんな岩に何の楽しみがあるというのだ?」

「そうですね、着いてからのお楽しみです。きっと王女様も、ロゼさんも気に入ってくれるはずですよ。」


パルターノ殿はまた含みを持たせるような物言いでごまかした。仕方がない、着いてからの楽しみとしようか。


「両舷前進最微速!面舵0.2度!」

「第14番ドックより繋留ビーコンをキャッチ!」

「よし、両舷停止!微速下降!」


艦橋内は騒がしくなってきた。あの巨大な岩の塊に、徐々に降りていく我が駆逐艦。そして、ガシャンという音と共に、この船は停止した。


「繋留ロックよし。エアロック接続よし。連絡路とのハッチ、開きます。」


どうやら戦艦という場所についたようだ。パルターノ殿はこれからその戦艦に行こうと言う。私とロゼは、パルターノ殿についていった。

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