大雪とマッチ売りと鉱物調査員 1
私の名はマイク。地球496の鉱物調査を専門とする調査員をしている。
立場上、文官に当たるが、交渉官ほどの権限を持つわけでなく、むしろ武官殿に振り回されることが多い。
今日も、私の所属する艦長から無茶な任務を申しつけられた。なんと今日中に成果を出せという。
というのも、この2週間全く成果が出ていない。それでここの艦長は苛立ってるようだ。
成果が出ないのは当然だ。
我々の担当する地域は一面、雪に覆われている。
しかも、ここ2週間ほどずっと吹雪が続き、地上に降りる事も叶わず。天候の回復を待って調査するつもりだが、2週間は長すぎた。
今夜には補給のため宇宙に出なければならないが、手ぶらで行くわけにはいかないというのが艦長の言い分だ。鉱物調査でも、住人との接触でもいいから、何か成果を出せというわけだ。
仕方なく艦長の命に従う。ただ吹雪が酷いので、複座機ではなく哨戒機を使うことにした。
哨戒機とは、その名の通り元々は哨戒任務に使われていた機体だ。レーダーや赤外線センサーなどが搭載されているため、こういう天候での任務にはうってつけの機体である。
ということで、ベテランパイロットの大尉殿と、センサー監視担当の少尉殿を伴って、地上に降下することとなった。
2万メートル上空は晴れている。が、その下には分厚い雲が立ちはだかる。地上の様子は全く見えない。
我々は分厚い雲に突入し、降下を開始した。
雲の下に入る。下界は昼間だというのに暗い。横殴りの雪に、嵐のような風が吹き荒れる。とてもではないが、外に出られるような状態ではない。
第一、私は鉱物担当。地表が雪で覆われていると、本来探したい鉱山や鉱石は見つけられない。当然のことだ。だからこの調査、はなから何も見つけられるとは思っていない。
ということで、あてどなく飛ぶ。しかし、雪なら嫌というほどあるが、それ以外のものは見当たらない。
「外に出たら遭難するぞ!こりゃあ幾ら何でも無謀だ!引き返す!」
大尉殿が言った。確かに、これではどうしようもない。
で、引き返そうとしたそのとき、少尉が赤外線センサーの反応を捉えた。
「1時の方向、距離600、地表面で何かを探知!」
「なんだ!?何を探知した?」
「わかりません、あれ?今は反応ありませんね…」
「センサーの異常じゃないのか?引き返すぞ!」
「ああ、待ってください!同じ場所で再び熱源を探知!」
すぐに消えてしまうが、同じ場所で2度も続けて熱源をキャッチしたからには、何かあるような気がする。直感だが、おそらく人為的な何かだ。
この吹雪では、遭難者と考えるのが妥当だろう。一応行ってみた方がいい。これが住人であれば、住人との接触という成果となるし、人命救助となればなおいい。
センサーが探知した場所についた。が、真っ白で何も見えない。
「やはり、センサーの異常じゃないのか!?」
「いえ、異常なら同じ場所を指したりしないはずです。センサーは確かに、ここの場所の何かを察知したんです。」
といっても、何も見当たらない。
私は防寒着を着込んだ。
「おい!この雪の中を出て行くのか!?幾ら何でも無茶だ!」
「5分以内には帰ります。照明を照らしてください。何か気になるんですよ。」
哨戒機は着陸した。私はハッチを開けて飛び出す。
一面、真っ白な雪。だがそこに盛り上がった部分を見つけた。
なんとかその場所に接近して、雪の中に手を入れてみた。
感触がある。雪を掘ってみると、人の衣服の一部が見えた。
人が埋もれているようだ。大急ぎで掘り出す。だが、雪が次々に降りかかるため、一向に作業が進まない。
そこに少尉が現れた。2人がかりで引っ張り出してみた。
すると中から人が出てきた。気を失っているようだ。2人がかりで抱えて、なんとか運び込んだ。
機内に入り、暖房を全開にした。大尉は暑そうだが、我々とこの人物は凍えそうなほど冷えている。
椅子の上に寝かせてみると、この人物が女であることがわかった。
だいたい20歳前後の女性。でもなんでこんな吹雪の中を歩いていたのか?
ともかく、駆逐艦に連絡。すぐに処置してもらわないと、大変なことになる。
「キューブ1よりマルゲリータへ。地上にて住人一名を救助!意識不明!医療処置が必要と思われます。艦内治療の許可願います。」
「マルゲリータよりキューブ1へ。艦内治療了解。艦長より許可が出た。直ちに帰還せよ。」
哨戒機はすぐに離陸、分厚い雲を超えて、雲のない上空に達した。
駆逐艦4211号艦、我々が「マルゲリータ」と呼ぶ艦を見つける。すぐにアプローチに入り、格納庫横に取り付いた。
格納庫からアームが伸び、我々の哨戒機を掴んだ。
格納庫内に入り、扉が閉じた。格納庫内の気圧が上がり、奥の扉が開く。中から担架を持った医療班が登場した。
すぐにこの女性を運び込んでもらった。我々は艦長のもとに報告に行く。
この住人発見の経緯を話した。少尉がセンサーに反応を見つけて、それを頼りに発見したことを話す。
「なるほど、それはご苦労であった。だが、どうしてセンサーは反応したのだろうか?」
「…そうですね、変ですよね。いくら高感度のセンサーとはいえ、人の体温くらいでは反応するはずはないんですけど。」
確かに謎だ。何に反応してこうなったのか、分からない。ともかく無事見つかったのだから、あとは回復するのを願おう。
艦長から、私にあの女性の付き添いをお願いされた。他の2人は武官、私だけ文官だからという理由だ。どうせこの雪だし、このあとすぐに補給のため宇宙に上がるし、一番暇そうなのが相手するのがいいだろうという有難いお言葉を頂いた。
その理由にやや憮然としながらも、私は医務室に向かう。
まだ意識は戻ってないようだが、命に別状はないとのこと。少し凍傷気味のところはあるものの、意識が戻ればすぐにでも退院できそうだという。
ただ彼女、さっきから変なうわ言を言ってるらしい。
「マッチ買ってください…」
一体どういう意味なのか?統一語を話すことは分かったけれど、なぜそんなことを言うのか?
どこかの童話聞いたことのある台詞だが、ここは現実社会。まさかね…
そこへ艦内放送が入る。
「これより、本艦は大気圏を離脱し、戦艦への寄港・補給を行う。」
いよいよ大気圏離脱だ。今日地上に降りた時以外はずっとこの2万メートル上空にしかいなかったから、少し退屈な毎日だった。戦艦の街で憂さ晴らししてこよう。
そんなことを考えてると、艦内が急にうるさくなる。エンジンが最大出力になったことを示す。大気圏離脱が始まったようだ。
その音を聞いて驚いたのか、寝ていた彼女は急に起き出した。
「ひやっ!?」
起き出したものの、ここがどこだかわからないようだ。それはそうだ、雪の中から急に明るい駆逐艦内にきたわけだから、状況がつかめていないのだろう。
おまけに今まさに大気圏を離脱中、エンジンは全開、ごぉーっという音が室内に響き渡る。
「まだ寝てていいよ。ちょっとうるさいけど、大丈夫だから。あなた雪の中で倒れてて、危うく死ぬところだったんだ。」
「はあ…そうですね、確かに雪の中を歩いてましたし…」
彼女は、さっきまで来ていた服は濡れてしまっていたので、看護婦が病院用の白っぽい服に替えていた。
「ところで、ここはどこなんです?いったいどこに向かってるんでしょうか?」
「ここは宇宙艦隊の駆逐艦、今宇宙という、空よりも高いところに上がってるところですよ。」
「はあ、そうなんですか…とうとう私は、天に召されるのですね。」
「いやいや!あなた死んだわけではないですよ!ただ単に高いところに向かってるだけで…」
「でもこんな天使が来ているような服を着てますし、天国に向かってるのではないかと…ああそうだ、これで私も、死んだお母さんにも会えるんですね!」
人の話を聞いていない。残念だが、絶対に会えない。さすがにこの駆逐艦を持ってしても、死後の世界にはワープできないだろう。彼女のお母さんがいる世界は、きっと我々の知っている1万4千光年の宇宙よりも遠いところだ。
「ええとですね、ここは死後の世界では…そうだ!あなたはなぜ、あんな吹雪の中を歩いてたんですか?」
「ええ、実は教会からマッチを売ってこいと言われて。」
「はあ?」
「それで街に向かって歩いていたんですか、寒くて進めなくなってしまいまして。」
「はあ。」
「それで私、もう死んでしまうんだと思い、売り物のマッチで暖を取ろうと火をつけたんです。」
なるほど、わかった。哨戒機の赤外線センサーが捉えたのは、このマッチの火だったんだ。
「何度か火をつけてると、空が明るくなって、ああ、とうとう私は天に召されるのだなあと思って、気が付いたらここにいたのです。」
明るくなったのは、哨戒機のサーチライトのせいだ。それをすっかり天使の迎えの光だと勘違いされている。
さて、あの童話に出てくるのは確か少女だったが、ここにいるのはどう見ても20前後のお嬢さん。いったい、どういうわけでマッチなんぞを売らなきゃいけない羽目になったのか?話を聞いてみることにした。
彼女の名はセシル、歳は19歳、幼い頃に親をなくし、以来、教会で暮らしていたそうだ。
ただこの教会、結構酷いところで、セシルさんを含む他の孤児たちに、あれこれと商売をさせていたようだ。
夏は教会の畑で採れた野菜を売って、冬はマッチや薪などを売り歩く。
教会というところは、維持には費用が必要。だから、商売をするのは分かる。だが、いくらなんでもこの雪の中にマッチを売りに行かせるという行為は明らかに無茶苦茶だ。
しかしセシルさんは、それが特に酷いこととは思っていなかったようだ。善行を積めば、いつか天に召されて、会いたかった人に会える。そう教えられていたようだ。
果たしてこの吹雪の中、マッチを売り歩くことが善行なのかは別として、自殺行為なのは間違いない。現にセシルさんは死んでしまうところだった。
「あのですね、セシルさん。」
「はい。」
「残念ながら、あなたのお母さんには会えませんよ。」
「ええっ!?そうなんですか?やっぱり私、行いが足りなかったのかしら…」
泣き始めてしまった…話の順番を間違えてしまったようだ。
「いや、さっきから話してる通り、あなたまだ死んでないんですよ。だから、まだ行いが足りないとか、そういう問題じゃなくて…」
「お母さん…もう一度会いたかった…ごめんなさい…私…」
すっかり泣かせてしまった…ああ、困った。横にいる医師や看護婦は、私を冷ややかな目で見ている。
そのとき、がしゃんという音がした。あの音は、戦艦内ドックに接続した音だ。
泣いていたセシルさんも驚いて泣き止む。そこに、艦内放送が入る。
「これより補給作業のため、10時間滞在する。艦隊標準時で1900までの9時間、戦艦内での滞在を許可する。以上。」
急に艦長の声が鳴り響いたので、セシルさん、何事かと思ったようだ。
まあ、このままというのもかわいそうだ。少し気分転換させないとダメだな。そう思った私は、彼女を戦艦内の街に連れて行くことにした。
まさか今の格好で出かけるわけにもいかず、衣服は女性士官のものを借りた。一応艦長にも一言挨拶をして、出かけることにした。
そこでセシルさんを連れて艦橋に上がった。まだ艦長は戦艦内に行っていなかった。よかった、間に合った。
「おお!すっかり元気になったようだな!よかった、よかった!」
セシルさんを見た艦長、すっかり上機嫌だ。なにせ成果ゼロとなるところが、統一語圏の住人との接触、及び人命救助をしたわけだ。これ以上ない成果である。
「艦長、彼女を戦艦内の街に連れて行こうかと思ってます。よろしいですか?」
「ああ、構わんよ。こんなところにいるよりましだ。体調に留意しつつ、楽しんできてくれ。」
許可をもらった。じゃあ彼女を戦艦内に連れて…って、あれ?セシルさん、どこに行った?
艦橋の窓を見ると、セシルさんが張り付いていた。
眼下には戦艦の岩肌が見える。ここは駆逐艦が外に露出する補給専用の簡易ドックのため、駆逐艦のほとんどの部分が宇宙空間にはみ出している。
そのため、上半分は宇宙空間が見えるが、ちょうどそこに、セシルさんの惑星の姿が見えていた。
青くて丸い星。そういえばセシルさん、自分の星を宇宙から見たのは初めてだろうから、きっと驚いてるんだろう。
「うわぁ、何ですか?あの大きくて青いものは。」
「ああ、あれは、あなたの住んでいる星ですよ。」
「ええっ?私の星?」
「宇宙から見れば、地上はこうしてまん丸の形をしてるんですよ。で、青いところは海で、少し緑や茶色い色をしてるのが陸地です。」
「天国から見ると、下界はこう見えるんですね。すごい…きれいです…」
まだ死んだつもりのようだ。どうやったら理解してくれるのやら…もう否定するのが面倒になってきた。いずれ分かるだろう。
艦橋を出て、通路を抜けて戦艦内に入る。艦内に入って、広い場所を抜けてまっすぐ歩けば鉄道がある。これはどこの戦艦でも同じ構造だ。
だが、セシルさんはそんなものでも珍しいらしくて、はしゃいでいる。
そういえばこの星の文化レベルは3、蒸気機関が使われて始めて、鉄道が普及し始めたくらいのレベルの惑星のようだ。
セシルさんは、鉄道自体を見たことがないようだ。この動く箱を不思議がっていた。
やがて街のある駅に着く。電車を降りると、そこは華やかなお店が立ち並ぶ繁華街。きらびやかなディスプレイには、美味しそうな食べ物、麗しい服などが映る。
私などは慣れているので横目で見ているだけだが、初めてこんな光景を見るセシルさんは、看板の動く絵を見て嬉しそうだ。
「これってなんですか?なんだか美味しそう。天国でも皆さんご飯食べるんですね。」
ここは天国どころか、宇宙屈指のブラック職場だと知ったら、きっと嘆き悲しむことだろう。それはともかく、彼女が見ている看板には「シチュー」が映っていた。
ということで、そのお店に入ることにした。聞けばセシルさん、昨日の昼から何も食べていないという。
2週間も続く吹雪で身動きも取れず、食料も尽き始めたらしい。それであんな無茶な行動に出されたようだ。
なんだか気の毒になってきた。我々はただ上空に待機していればよかったが、地上では死活問題となっていたようだった。
そう思うと、今も地上で苦しんでる人がいるのだろう。我々など、戦艦内で飲食店巡り。幸せなものだ。
注文したシチューがきた。ビーフシチューを頼んだのだが、セシルさんは涙を流しながら食べていた。スマホで調べる限りでは、ここにシチューは意外と評判がいい。味は高評価なようなので、たしかに美味い。昨日から何も食べていないのであれば、なおさら美味しいだろう。
でも私は、思わずハンバーグステーキなんてものを頼んでしまった。あまりにシチューを美味しそうに食べてるのを見ると、私もシチューにすればよかった。
ところでセシルさん、隣の芝生も青く見えるようで、私のハンバーグステーキをじーっと見ている。
なので、私は半分切って皿にとって渡す。顔が明るくなった。
こんなに美味しそうに食べる人は見たことがない。これを写真に撮ってお店の広告に使うと、案外受けるのではないか?
実際、セシルさんがシチューを食べてるところを見て、ついシチューを注文してる人が多い気がする。何というか、人を惹きつけるなにかを、セシルさんから感じてしまう。
たくさん食べた後は、その辺りのお店をまわる。すぐ横にあった雑貨屋に入ったのだが、セシルさんは何かを探してるようで、きょろきょろしている。
「何かお探しですか?」
私は聞いてみた。
「ええとですね…あれがないんですよ。マッチが。」
驚いた。そんなもの探してたんだ。
「ああ、ここにはないですよ。宇宙空間では、火を使うことは禁止されてるんです。」
「ええ!?じゃあ、お風呂沸かしたり、料理作ったり、タバコに火をつけるにはどうするんですか?」
半泣き顔でこっちを見てくる。ここまできて、商売のことを考えなくったっていいのに…
「お風呂は火を使わなくてもいいし、料理は人が作らなくてもいいようにできてるし、宇宙では火タバコは厳禁だから、電子タバコというものを使ってます。」
ちょうど喫煙所があったので、そこを指をさした。水蒸気が出てはいるが、火は使われていない。
宇宙船内での火災は、その船にとって致命傷だ。だから、極力火を使わないように配慮されている。
唯一、食堂のロボットだけが火を使う。だが、なるべくIHなどを使うようにしており、どうしても火を使わないといけないものはほとんどないのが現状だ。
ましてやマッチなどは所有することも厳禁だ。とかく宇宙では、火に対して神経を尖らせている。一歩間違えれば、船内にガスが充満して、乗員の多数が死に至ることだってありうるからだ。
マッチがないことにちょっとショックを受けていたが、すぐに別の何かを見つけたようだ。さっきから見てると、この娘は本当に前向きというか、あまり引きずる性格ではない。
彼女の関心をひいたもの、それは服だった。
変わったデザインの服が多い上に、あちこちに服屋があるため、気になって仕方がないらしい。
そういえば、今来ている服は借り物だった。救出時に来ていた服は、宇宙船内で着るには暑すぎる。最低でも一着は買わなきゃいけない。
ということで、一軒だけ寄ったのだが、あまりに嬉しそうに服を選んでるから、結局5着も買ってしまった。
そのうち1着を着て店を出た。なんだかうきうきしている。
そんな彼女、雪国だからだろうか、とても肌が白い。露出度が高い服に変えたおかげか、余計に肌の白さが目立つ。
銀色の長い髪に、すらりとした体型。まるで妖精のようだ。なぜか私は急に、彼女の姿にどきどきしてしまった。
「マイクさん?」
「は…はい!?」
「どうしました?なんだか顔が赤いですけど?」
「ああ、いや、大丈夫ですよ!次行きますか、次!」
で、その先にあったのは家電屋。そこにあるスマートフォンに興味津々だった。
やはりというか、この見たことがないデバイスを触り始めた。
「うわぁ、これ面白いですよ!絵が出てきました!」
写真アプリを立ち上げただけだが、それだけで面白いらしい。
「ちょっといい?」
私は自分のスマートフォンを出して、彼女と並んだ写真を撮ってみせた。
その写真を見せると、不思議そうな顔をしてた。自分の姿が映ってることがなんだか信じられない様子だ。
それにしても彼女は無邪気だ。こんなたわいもないことに喜びを見いだせる。
あまりに興味津々なので、スマートフォンも一つ買ってしまった。ネットワーク接続ができるのはこの戦艦内だけなので、基本的なアプリをいくつかダウンロードした渡す。
満面の笑みを浮かべて、彼女は手当たり次第に写真を撮影する。私も何枚も撮られた。よほどうれしいらしい。
そのあとは、スイーツを見つけて興味津々の御様子。さっき食べたばかりだと思うのだが、すっかり食べる気だ。別腹とはよく言ったものだ。
それにしても、美味しそうに食べる。よっぽど幸せに感じてるようだ。そんな顔を見ると、私まで心が暖まる感じだ。
どのお店に行っても、何か興味を抱くので、そのたびに何かを買っている。持ちきれないほどの荷物を抱えて駆逐艦に戻る羽目になった。
彼女がいない私は、図らずも初デートをしてしまった。なるほど、こういう幸せも悪くはないと思った。
だが、彼女は地上に帰らなくてはいけない。悲しいことだが、この艦が地上に降りれば、その時はお別れだ。なんだか少し悲しくなってきた。
そんな私の思いなどはお構いなく、駆逐艦は地上に降下する。




