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魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い  作者: へたまろ
最終章:最終決戦!神と魔神
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中条の快進撃

「あの程度の変身で、ここまで威力があがるの?」


 テキトウエルが再度障壁を貼り直して、セオザラ達に疑問の視線を送る。

 それに対して、流石の荒神達も苦笑いだ。


「手加減しすぎたか? 調子に乗らせてしまったようだな」


 一方中条は、すぐに気を取り直して、薄ら笑いを浮かべる。


「強がり……では無さそうですね」

「テキトウエル、下がれ」


 目視で確認できるレベルで、中条の神気が膨れ上がるのが分かる。

 思わずマスカーレイドが、テキトウエルを庇う程の力。

 この4人の中で、最も強いのはセオザラだ。

 そして、次点でマスカーレイド。

 テキトウエルと、ヒモロギが同じ程度である。


 とはいえそれはエベレストやキリマンジャロ、アコンカグアを比べるようなものだ。

 麓に立てば、その全容を確認することが出来ないという点では違いが分からない。

 その上に立つものにしか分からない違いだ。


「神気武装!」


 中条が呟くと同時に、白金の鎧がその身を包み込む。

 そして、その手には王杓が現れる。


「【神気葬送(ゴッドレクイエム)】!」

「やばい!」


 慌ててセオザラがマスカーレイドの横に並ぶ。

 そして、両手に障壁を集めてその攻撃を受ける。


「ひっ!」

「きゃっ!」

「ぐおっ!」

「ギャ――――!」

「痛い!」


 中条の手から放たれる一筋の光。

 それが幾重にも枝分かれし、その場に居た全ての生物に襲い掛かる。

 

「辰子様!」

「荒神!」


 辰子に向かった一撃を荒神が、その身を盾にして喰らう。

 勇者や天使達は、片っ端から光の一撃を受けて消滅していく。

 絶倫すら、身体を半分以上削り取られてその場に倒れ込む。


 セオザラとマスカーレイドが、その光のいくらかを素早い動きで弾き返すが、返した先で中条に吸収されている。

 そして新たな攻撃として向かって来る。


「くそっ!」

「キリが無い!」


 周囲の標的が減るにつれて、セオザラとマスカーレイドに向かって行く攻撃が増える。


「【イビルブレイク】!」

「無駄だよ!」


 カインが第二形態に変身することで、神気を吸収する鎧を身に纏いイビルブレイクを放つも数の暴力の前には無意味。

 一撃の斬撃に対して数十、数百の光の筋が向かい、飲み込み、カインを襲う。


「ふはははは! 田中どもがまるで歯が立たないとは! 所詮神の敵では無かったということか!」


 調子に乗った中条の攻勢がさらに強まる。


「くそっ……」


 吹き飛ばされたカインが受け身を取ってどうにか立ち上がろうとしたところに、さらなる追撃が行われる。

 その間も中条はその場から動くことなく、攻撃を続けている。


「ひもろぎ! どうにか出来ないのか?」

「くっ! 無理だわ! ここから動くことも出来ない!」

「勇者と天使達を復活させれば!」

「誰が!」

「俺とマスカーレイド、テキトウエルで防ぐ! その間に! ひもろぎ、お前しか出来ないだろ!」

「でも、生き返らせたところですぐに殺されてお終いですよ」

「一瞬の隙が出来れば、この場を離れて反撃にうつれるだろ」


 綱渡りの作戦だ。

 そして、田中らしくない。

 敵の前で、その全容をペラペラと喋るなんて。


「そんな事させませんよ?」


 そして、そのやり取りをしっかりと聞いていた中条が攻撃の殆どをひもろぎに向かわせる。


「しまっ!」

「ひもろぎー!」


 ほぼ、全弾がひもろぎに向かって行く。

 光の筋が、集まって巨大な奔流となって眼前に迫りくる。

 思わず目を瞑り……ニヤリと笑う。

 いや、嗤ったのだ。

 ひもろぎが……


「キャーーーーー!」

「消滅したか……えっ?」


 光がひもろぎを飲み込み、後には何も残らなかった。

 その結果に満足して、切り札を無くしたセオザラ達3人に目を向ける中条。

 その目が、大きく見開かれる。


「何故、勇者達が?」


 セオザラ達の背後には、先ほど消滅させた勇者達が微妙に強化されて立っている。

 上空には天使の軍勢。

 その全てが、中条に敵意を向けている。


「へんた……中条様は、謀られたんですよ」

「騙された―!」


 スッピンとチビコが、若干小ばかにした様子で中条に話しかける。


「彼等もまた、田中様という事ですよ」

「なっ、くそっ……そういうことか」


 苦々しい様子で、その光景を睨み付ける中条。

 少し調子に乗り過ぎた。

 いや、田中を嘗めすぎた。

 改めて気を引き締める。


「フフフフ、ひもろぎに出来る事は俺達全員が出来るからな!」

「ひもろぎは囮ってわけさ」

「ひもろぎさん……安らかにお眠りください」


 テキトウエルが、十字を切って天に祈る。


「だが、そこらへんの有象無象の連中よりもよほど価値の高い1人が消えたんだ。それで、よしとするか」


 すぐに気を取り直す中条。


「危ない!」


 スッピンが、中条を蹴り飛ばす。


「何をする!」


 そして、さっきまで中条が居た場所に振って来る巨大な拳。


「危ないよ!」


 さらにチビコに蹴り飛ばされる中条。

 今度はそこに向けられて放たれる斬撃。


「痛いのだが?」


 口から血を流しながら、恨めし気にスッピンとチビコを睨み付ける中条。

 

「あーあ……避けられちゃった」


 その中条を睨み付けるひもろぎ。


「お……お前、死んだんじゃ?」

「えー? あの程度死ぬわけないじゃないですか?」


 中条の言葉に対して、手をヒラヒラと振るひもろぎ。


「よそ見してて良いのか?」

「くっ!」


 すぐにセオザラが、斬撃を飛ばしてくる。

 それを片手でかき消す中条。


「こっちだ!」

「うわっ!」


 背後からマスカーレイドが斬りつけてくる。

 それもどうにか躱す。


「死ね!」

「っと!」


 慌てて身を翻す中条。

 だが、何も来ない。


「ただの悪口です」

「……」


 遠くで、テキトウエルが「バーカ!」「死ね!」「バーカ!」「死ね!」と交互に叫んでいるのが見える。


「馬鹿にしやがって……」

「だって、馬鹿だから仕方ないよね?」

「そうですね、チビコちゃんはこんな大人になっちゃ駄目ですよ?」

「……」


 一番馬鹿にしているのが、現状唯一の仕える部下のスッピンとチビコという事に、若干悲しみを覚える中条。


「答え合わせといきましょうか?」

「【イビルブレイク】!」

「空気を読め!」


 ひもろぎが、中条にからくりを説明しようとした瞬間に、カインがイビルブレイクを放つ。

 さらに巨大なブレイブスラッシュをすっぴんが放って、カインごと吹き飛ばす。

 まあ、実際の戦場らしいカオスっぷりだろう。


「行ける! 【竜の災厄カラミティ・ドラゴンロア】!」

「あなたもって……うそ!」


 そしてこの状況の中、自信の気配を最大限薄くして空気となることで、ひたすら攻撃を躱しつつ竜の気を練っていた蛇吉が正真正銘最強の一撃を放つ。

 それを迎撃しようとしたスッピンが剣を抜くよりも早く、中条を飲み込む。


「くっ……」


 中条の鎧の一部が弾け飛んでいるが、大きなダメージは無かったようだ。

 本気で中条が強くなっていることに、ようやく焦りはじめるセオザラ達。


「これ、結構やばくね?」

「いまの一撃だったら、中野でも消滅してたよな?」

「あちゃー……」

「私、帰ろうかしら? マヨヒガも迎えに来てることだし」


 4人が初めて、顔色悪く冷や汗を垂らす。

 ちなみに、4人ともいまだに通常形態である。

 魔人化すれば…… 



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新作更新始めました!
(仮)邪神の左手 善神の右手
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