表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い  作者: へたまろ
最終章:最終決戦!神と魔神
144/172

四天王襲来

久々北の世界の話です。

「あれがこの5大世界最強を誇る北の世界の魔族達か……」


北の世界、田中城上空から見下ろす4人の人間。

そう、中条四天王だ。


「さあ?(ヤバい、タナカァ、アウトォって言いたい)」


横で相変わらずな様子のキャシーに対して、北田が軽く睨み付ける。


「いい加減、それやめて真面目にやれ」

「へいへーい」


北田に注意をされ、キャシーは脳内で再生されていた笑ってはあかん24時を停止する。

北田はキャシーが何を見ているかまでは知らない。

だが、実は興味津々なのは言うまでもない。

何故なら北田も、キャシーが解析をしているときにDVDやブルーレイを目の当たりにしたのだから。


「さてと、加藤に対するフラストレーション発散させちゃおうかな?八つ当たりになるけどさ」


それから西田が大きく伸びをする。

残念ながら、大きく伸びをしたところで強調されるべき二つの丘は無い。


「……マゾクコロス」


そしてエインもまた、斧を片手に下に見える城を睨み付けている。

だが、もし逆に城から上空を見上げる者が居たならば思うだろう。

エイン、アウトォ!と……なぜなら、奴はマントとビキニの変態だからだ。

下からのアングルは見るに堪えないもののはずである。


「みんな!手伝ってくれ」


北田が手にはめた指輪を外し、上空高く投げると……すでに上空高くに居るが……その指輪が大きくなっていき、円環の中から一つの風景が映し出される。

そう、この指輪は転移門になっていて、中央世界と繋がっているのだ。

そしてその転移門から現れる勇者達。


「うわっ、たけっ!」


最初の1人が門から片足を出そうとして引っ込める。


「ちょっ、これ無理っすわ!高すぎるっす!」

「えっ?」


それからこれは無いといった様子で手を横に振りながら、後ずさる先頭の男。

そして男の行動に対して、思わず声をあげる北田。


「いやいや、お前勇者だろ?勇者がこれしきの事恐れてどうするんだ!世界の平和の為だぞ!それに光の羽で飛べばいいだろ?」

「いや、何言ってるすか?落ちるのが怖いなら飛べば良いとか、あんたアホですか?先陣切るのなんて対象か雑魚でしょ?自分ら雑魚っすよ?そんな技使えないっすよ?」

「えっ?」


先頭の男の言葉に思わず詰まる。


「だからあ、軍隊でいうところの自分ら一般兵で、歩兵っす!空飛べるのは騎士様クラスの連中っすよ?」

「おい、何ちんたらしてんだよ!早く出ろよ!」

「無茶言うなよ!お前もちょっと覗いてみ!」

「うわっ、たけっ!こっから飛び降りろとか、俺らに死ねって言ってるもんじゃん!」


2番目の男が中々進まない先頭の男にしびれを切らして文句を言っていたが、転移門の先を見て先頭の男と同じように、その場で足踏みをする。


「じゃ、じゃあ、飛べる奴から先に来たら」

「ええ?もう戦陣組んじゃってますよ?門の入り口は自分ら歩兵クラスの勇者でひしめき合ってて、今更隊列の変更とかマジしんどいっす」

「ていうか、取りあえず地面に着いてから開いてくれたらいいじゃないですか!」

「うっ!」


先頭の男と二番目の男に言い返されて、またも言葉に詰まる北田。

四天王率いる勇者達の北の世界田中城攻略がのっけから躓いている。


「何やってんだよ!お前らさっさといけ!」


ドン!

その時天の声……いや、悪魔の声が聞こえる。

3番目の男が状況も良く分からず前の二人を門に押し込んだのだ。


「うそ!」

「マジっすか!」


そして門から押し出されて真っ逆さまに落ちてデザイアの二人。


「ちっ!」


北田が慌てて二人の手を取って落下を食い止める。


「うわっ!地面ねーじゃん!」

「ちょっ、止まれ!全軍とまうわぁ!」


そして関を切ったかのように門に殺到する、歩兵クラスの勇者達が次々と地面に向かって真っ逆さまに落ちてデザイアとなっている。


「おいいい!ちょっ!無理無理無理!」


一気に数十人が地面に落ちていくのを見て真っ青になる北田。


「何やってんのよ、ったく。【フライ】!」


その一連の騒動に対して溜息を吐きながら、飛翔の魔法を全員に駆けるキャシー。

流石、賢者勇者。

この程度の人数全員に魔法を掛けても特に疲れた様子は見えない。

顔は寝不足で酷い事になっているが。


「すげー!俺飛んでる!」

「俺もだ!」

「ちょっと、上見ないでよ!」

「クマさんとか」

「コロス!」


急に投げ出された歩兵クラス女勇者を下から見上げた、歩兵クラス男勇者がニヤニヤしている。

思わずキャシーがその男のフライの魔法を切る。


「ちょっ!パンツ見ただけで酷いっすー!」


そう言いながら落ちていく男勇者。


「ナムー」


それに対して手を合わせて目を閉じるキャシー。

意外と鬼である。


――――――

「いよいよ始まったな」

「……」

「ちょっ、また無視っすか!」


その様子を遥か上空から眺める二つの影。

まあ、隠してもしょうがないので言うが、ゴブリンとマスカーレイドである。


「まずは田中様の配下のお手並み拝見ですね」

「そうだな」


マスカーレイドの呟きに、演出っぽく答えるゴブリン。

だが、マスカーレイドはただの独り言のつもりである。


――――――


「くっ!敵襲だ!」


そして最初に落ちていった勇者が城をそれて城下町に突き刺さると同時に、住民たちに動揺が走る。

次々と舞い降りてくる勇者達。


「すぐに北野様に報告を!衛兵達は少しでも被害を食い止めろ!」


門兵の1人が大声で叫ぶと、猫魔族の1人が城に向かって駆け出す。

そして、始まる戦闘。


「魔族がこんなにたくさん!もう、蕁麻疹が」

「痒い!痒い!痒い!痒い!」

「とっとと、全員ぶち殺すぞ!」


魔族への嫌悪感マックスの勇者達がアレルギーを発症しつつ、周囲の魔族に斬りかかっていく。


「きゃぁっ!」

「おらっ、可愛い声上げてんじゃねーぞ!……えっ?キモい」


すぐ傍にいたプラナリア族の魔族を切り付けた男が思わず顔を顰める。

何故なら、切った瞬間に目の前の魔族が二人に増えたのだ。


「もう!私達切り離されるとすぐに増えちゃうんだから、勘弁してよね!」


勘弁して欲しいのは勇者達の方である。

攻撃すればするだけ数が増えるという驚異に、どうすればいいのかと頭を抱える。


「切って駄目なら燃やせばいいのよ!【全てを燃やせ!ブレイブファイア】」


またも創造主による雑な勇者魔法が発動され、業火が二人になったプラナリア族の魔族に襲い掛かる。


「やめろー!」


そして二人の前に飛び出し、その炎を一人で受ける謎の魔族。


「くっ、みんな逃げろ!」

「えっ?なんで効いてないの?」

「だったら、私が!【全てを凍らせろ!ブレイブアイス】」

「くっ、みんな逃げろ!」

「えっ?効かない……だと?」


続いて放たれた、雑な勇者氷結魔法にも耐えきる謎の魔族。

そう、ご存知クマムシ族、オニクマムシ氏の魔族である。


「ていうか、キモイ!」


そして、見た目はやっぱりキモイ。


「うわぁ!【全てを斬り裂け!ブレイブスラッシュ】」

「ぎゃあ!でもすぐ治りまーす!」


ちょっと行ったところでヒドラ族の魔族を取り囲み何度も斬りかかる勇者達の姿が。

とはいえ、このヒドラ族は多頭竜のヒュドラではなく、ヒドロ虫綱花クラゲ目ヒドラ科に属する淡水産の無脊椎動物魔族である。

その再生能力はプラナリアに並び、細胞分化に特化し切られても容易に再生することは有名である。

プラナリアとの決定的な違いは、プラナリアは切られた細胞も新たな個体として再生する事であり、種としてどちらが優れているとは一概には言えない。


「えっ?」

「私は不老不死ですよ?」


さらにベニクラゲ族の魔族が確実に殺したと思ったら赤子に戻ってしまった。

まあ、本物のベニクラゲは外傷や捕食されることで死ぬ事はあるが、そこは魔族の不思議である。


「なんなんだよ、この出鱈目な連中は!」

「これが北野世界」


確かに出鱈目ではあるが、この種は他の世界にも存在し特性は同じである。

ただ一つ違いがあるとすれば。


「うわっ!」

「ぎゃっ!」

「ぐあっ!」


戦闘能力に置いては、田中の庇護の元大幅に強化されているという部分であろうか。


「ちっ!お前ら下がれ!【全てを細切れにして切り刻んで叩いて砕け!ブレイブスラッシュファイナル!】」


たかが一般人に押されている勇者に痺れを切らした北田が、これまた創造主の雑なネーミングの必殺技で魔族達を弾き飛ばす。


「さてと、【全てをボコボコにしろ!ブレイブ弩級闘神覇拳】!」


そして、間髪入れずにワンツーパンチと頭突きを放ち始める西田。

この技に関する説明は控えさせてもらう。

ただ、その威力は中途半端かつ、トータルの威力は恐ろしく、そしてその絵は残酷であるとだけ言っておこう。


「これで止めだ!【全てを消し去れ!私式最後の天国!】」


深く考えないで欲しい。

ただ単に、普通の広範囲攻撃と思って頂ければ何も問題は無いのである。


「……マゾクコロス【スベテヲコロス……マゾクコロスアタック……】」


そしてひたすら斧を振り回しながら走りまわる変態。

しかし、斧に触れた魔族は全て吹き飛ばされ、斬り飛ばされ、傷を負っていく。

その技名は酷く残念である。

もしかして創造主に嫌われているのかもしれない。


「さてと、勇者の本当の魔法を見せてあげるわ!【全てを焼き尽くせ!ブレイブフレイム】」


そう言って鈍器にしか見えない杖を振るう賢者キャシー。

そして鈍器で叩かれた魔族の身体に火が燃え移る。

有難うございます。

どう考えても武技です。


急な勇者の襲撃に対して、浮足立った一般的な住人ではまともに相手をすることは出来ず、多くの軽症者が現れ始める。

もう一度大事なとこで言っておこう、『一般的な住人』ではまともに相手をすることは出来ず、多くの『軽症者』が現れ始める。

やはり、出鱈目な世界である。

そして多くの住人達が擦り傷や、たんこぶ、軽い火傷を負い始めたところでようやく魔王城から、幹部の面々が現場に集まり始める。


「お主ら!我が国でこのような事をしでかして、ただで済むと思わない事ですよ!」


久々の絶倫である。


「モー!またチビコの家が燃えたら、貴様ら残さず灰塵に貸してくれるモー」


ご存知モー太である。


「あらあら、貴方達……ちょっとオイタが過ぎるぞえ」


勿論ムカ娘である。


「調子乗り過ぎ!」


そしてウロ子です。


「えっと、強そうなのが四人しか居ないのですが?」

「拙者達はそこらへんの雑魚を適当に無力かするでゴザルか?」


ちょっと出遅れたスッピンと蛇吉が残念そうな表情を浮かべている。

ライ蔵は今回も伝令に忘れられて、今から城を出るところである。

頑張れライ蔵!負けるなライ蔵!





進行回です。

ネタに向かって突き進みます。

最終章はシリアスにしめるつもり……でした(遠い目)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作更新始めました!
(仮)邪神の左手 善神の右手
宜しくお願いしますm(__)m
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ