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魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い  作者: へたまろ
最終章:最終決戦!神と魔神
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田中ですか?いいえセオザラです!

久しぶりの投稿です。

カナタタケル街を後にした、田中………セオザラ御一行は、一路次の人里を目指す。

といっても、メンバーは田中、カイン、アマネ、クライフォード、フレイ、ヨエモンの6人だ。


「ふふっ、ここからも勇者の匂いがするな」


田中が意味の無い呟きをする。

どこの悪役かと言いたくなるようなセリフ回しだが………


「自分達が憐れな傀儡(マリオネット)だと気付かずに、創造主の意思を自分の意思と思い込み行動する愚者達ですか………」


即座にそのセリフに乗っかる男が居る。

ご存知、カインことタケルである。

イケメンで演技掛かった行動が鼻につくが、内面といい行動といい、どちらかというとうっかりしたエイトマンだ。

そんな二人をアマネが冷ややかな目で見ているが、2人は気にすることなく歩く。

そして、その後ろをフレイとヨエモンが寄り添って歩く。

厳密に言うと、フレイが強引に手を絡ませ歩きづらそうにしつつも、どこか嬉し気なヨエモンである。

自重をしらないおシルバーと、ヘルプさんってところだろうか?

そして最後をコーナーさん宜しく、クライフォードが所在なさげに着いて歩く。

憮然とした表情を浮かべている。


「さてと、まずは村に入るとするか」


村の名前はイーストウェストイースト村。

東の大陸の西地区の東の方の村である。

村の規模は大よそ、人口2千人程度とかなり大きなものである。

村の中に入ると活気溢れる人の往来が見て取れるが周囲は麦畑に囲まれており、また農地には牛や羊が群れている。

この戦乱の世にあってある意味で牧歌的な村とも取れる。

そして、その特産品である麦を目当てに、多くの商人が行き交っている。

それもそうだろう。

争いや情勢不安が続くと、最初に重要になるのは人員の確保と食料の確保である。

そしてこの村の特産は、莫大な農地で育てられている良質な小麦。

これは兵糧や、交渉の道具として非常に有用なものとなる


「取りあえず、まずは宿の手配からだな」


田中がそう呟くと、クライフォードが田中の傍まで近寄って来る。


「この村の宿泊施設は、主に二カ所。村の入り口付近にある質素な民宿と、中心部にあるやや値のはる宿屋ですね。冒険者や旅の者は民宿、商人は宿屋の方を主に利用してますが?どちらにしますか?」


意外と情報通である。


「ちなみに、料理の見栄え等を考慮した場合宿屋の方が上を行きますが、ここだけの話、味だけで勝負すれば民宿の方が上を行きます。ただし品数は満足いくものでは無いかと」


いや、無駄に情報通である。


「なら、民宿にしましょうか………田中様にとって「ゴホン!………セオザラだ」


カインの言葉に被せるようにして、田中が訂正する。


「失礼いたしました、セオザラ様にとっては見た目よりも、中身を重視するべきかと」


単純に、カインが美味しいものを食べたいだけである。

そこで、自分の主人を出汁にするあたりカインはカインのままだ。

一度は、中条に洗脳されなおしたとはいえ、本質までは塗り替える事は出来ないということだろう。

田中が冷ややかな視線を向けているが、当の本人は気にした様子もなくスタスタと民宿に向かって歩き始める。

まさにエイトマン。


「止まれ!」


そして、田中が一行に居る以上避けて通れないのが、人間に寄る魔族差別。

しかし………


心魂解放(オシヘン)


「ようこそ旅の方、何故か一瞬怪しげな気配を感じましたが気のせいだったようですね。我々は歓迎致します」


村の入り口に立っていた、貧相な武装をした男が田中たちを止めようとしたが、絶賛中条孤立運動中の田中の容赦ない殺して生き返らせる魔法により、洗脳が一瞬で解かれる。

また、周囲に居た目に移る範囲の人間達にも同じように【心魂解放(オシヘン)】を遣う田中。

もはや面倒を通り越して、相対するのも時間の無駄だと考えるようになった田中の容赦の無い行動である。

チート転生者が自重を忘れた結果である。


―――――――――

「この民宿では山菜と、鹿を使った鍋が絶品みたいですよ!」


民宿の部屋に入るなりどこから仕入れて来たのか、地味に無駄な情報をカインが嬉しそうに報告してくる。

お前は一体なんなのだと言いたくなるのを、俺はグッと堪えて「そうか」とだけ答える。

さらに本当の目的は勇者の解放だという事を忘れているのでは無いか?と言いたいところだが、俺とカインが居る以上、並みの勇者が幾万人集まったところでどうこうできるはずは無いという自信の表れである。

まあいいか。


取りあえずカインの上方が全く役に立たない事が分かったところで、村の散策に出かける事にする。

この村に来てから、魔族が全然に目に入って来ないのだが、居ないわけでは無い。

取りあえず、人間共を洗脳から解放しながら歩いていると、前方から喧騒が聞こえてくる。


「てめー、どこ見て歩いてんだよ!」

「うわーん、ごめんなさい!おばあちゃんは、目が見えないから」

「うるせえ!」


そちらの方に目をやると………うん、お前らはどうやってものを見てるんだろうな。

日本でいうところののっぺらぼうってやつだろう。

目も鼻も口も耳も無い人型の何かが人間に蹴られ、ちょっと小さな同じような人型に庇われている。

ノーフェイスか。

魔族になったとはいえ、慣れないタイプの異形種だな。


心魂解放(オシヘン)


そのまま子供?に殴りかかろうとする、ちょっと筋肉質な男に魔法を掛けると、すんでのところで拳を止める。


「あれ?俺は何を?」


それから男が目の前で倒れている老婆?と、それを庇うようにして立つ子供?を見て驚きに目を見開く。


「どうしたんだカオナ「うぉぉぉぉい!」


慌てて男の声を遮るように、俺は大声を出して走り寄る。

なんでか知らないが、それ以上言わせてはいけないような気がしたからだ。

何故だろう………俺も、知らないうちに何者かの精神感応を受けたのだろうか?


「なんだ、あんたは!いや、それよりも大丈夫か?カオナシのばあちゃん!」


まあ、よく考えたらあっちは顔があるし、これは本当に顔の無い全くの別物だから問題無いか。


「オシラおじちゃん!」


子供がびっくりしたような声をあげる。

そうですか、顔見知りですか。

意外と、この世界………辺境の村や、町だと魔族と人が地味に共存してたりしますよね?

まさ、細部にまで両方の洗脳の影響が強く出ないって事なんでしょうけど。


というか、微妙におっさんの名前もアウトっぽいけど、まあ良いか。


「どうしたんだミッシェル?驚いた顔をして」


あの男の子?の名前はミッシェルというのか。

もう、この世界の魔族の名前に突っ込むのはやめることにしよう。


「覚えてないの?最近、この村で人間の人達が僕たち魔族を苛めてるんだよ?」

「そんなバカな!」

「ひっ!」


オシラと呼ばれた男性が、声をあげるとミッシェルがビクッとなる。

それから怯えた表情でオシラの方を見上げている。


「魔族統治において、自分らに最低限の生活の保障と自由を与えてくれた魔族様方に、立て付くような奴等が?」


オシラの言葉にジトッとした目を向けるミッシェル。

あれっ?目をよく擦ってみると、ミッシェル目が無かったわ。

確かに見えたような気がしたのだが。


「セオザラさん?」


横でクライフォードが同じくジトッとした目を向けてくるが、おっさんにジト目をされてもイラつくだけだ。

取りあえず殴っておく。


「痛い!なんで?」


それが分からないから、お前は駄目なんだよ!

ちなみに、フレイとヨエモンはそそくさと二人で出かけてしまった。

さらにカインとアマネもいつの間にか居なくなってた。

仕方なし、今回もクライフォードと二人っきりという事だ。


「おいおい、もめ事か?どうせ魔族が悪いんだからとっととこうしちまえば良いんだよ」


そこにどこかで見たような記憶のある男が歩いて来て、ミッシェルを蹴り飛ばそうとする。


「あん?」


だが寸前で、オシラが片手でその足を抑えつける。

その事に対して、不満げに男が睨み付けているが………あれ勇者だよな?

っていうか、勇者の蹴りを片手で受け止めるオシラにちょっとびっくり。


「どうしたのですか?」

「ああ、マホか。ちょっとこのおっさんが魔族と揉めてたみたいだから、仲裁に入ったんだけどさ………どうやら余計な事だったみたいだ」


思い出した。

こいつイサムって奴だ。

確か2章の最初にちょろっと出て来た召喚勇者だったな。

2章ってなに?とかって突っ込んだら負けだと思うの。


「おい、お前!いまこんな可愛らしい子供を蹴ろうとしたな?」


おお、オシラが立ち上がってイサムを睨み付けている。

可愛い………

チラッとミッシェルを見る。

可愛い?可愛いってなんだっけ?

KAWAII大国日本から来たけど、可愛いの定義が分からない今日この頃。


「あら?おっさん人間なのに、勇者様の行動に何か不満でも?」

「んん?魔族とはいえこんな子供に狼藉を働くような輩が勇者だと?クズの間違いだろ!」

「てめー、世界を救う勇者に対してクズだと?」

「うっせー!子供に手をあげる奴は神だろうが、魔王だろうがクズだろうが!」

「2人ともヤメテ!僕の為に争わないで!」


合ってるけど、違うぞミッシェル!

ふと横を見ると、クライフォードがめっちゃ気まずそうにしてた。

それもそうか。

出会いは最悪だったもんな。

兎の親子に襲い掛かってたもんね………チミ。


「はあ………そんなくだらない事やめて、とっとと行きましょうよイサム」

「だって、この親父とクソ魔族共がさー」


マホが興味無いとばかりに、イサムの腕を引っ張って歩こうとする。

それでも動こうとしないイサムに対して、マホは大きく溜息を吐く。


「まあ、道にゴミが落ちてたら勇者としては気になるわよね?私達日本人だし、道は綺麗にしないと………じゃあ、ゴミは燃やしちゃいましょう!【ヒートランス】」

「えっ?」


言うよりも先に、手先に魔力を集めて炎の槍を作り出すマホ。

そして、それをミッシェルに向けて投げつける。


「アハッ!ゴミは燃やすに限るわよねー」


そう言って大笑いするマホ。

ああ、やっぱ洗脳されてる勇者ってムカつくわ。


「くそっ、あのクズ共が!」


思わず手を出そうとするより先に、動く影がある。

そう、横にいたクライフォードだ。

軽く強化してあるだけあって、目にも止まらない速度(常人に限る)で現場に向かって駆け出す。

俺から見たら止まって見えるレベルだけどね。


「うわぁ!」


ミッシェルが目の前に迫りくる炎の槍に対して、恐怖からか思わず座り込んで顔を手で覆う。


「なっ!」


そして直撃寸前で止められる炎の槍………オシラに。

魔法を放った本人であるマホが「なっ!」って言ったまま口を押えて絶句してるよ。

分かるよ。俺も同じ気持ちだよ?

気が合うね………HAHAHAHA!

………マジでこのおっさん何者だ?


「ふんっ!」


おわっ!

おっさん、片手でヒートランスを掴んで、そのまま握りつぶしちゃったよ。


「農家なめんなゴルァ!」


というかさっきから、カオナシのばあちゃん動かないけど大丈夫かな?

なんかずっとブツブツ言ってるし。

口無いけど。

そういえば、ミッシェルも口無いけどどうやって喋ってるんだろ?


「ちょっ!ありえないし!魔法を素手で掴むとか。っていうか、それ以前に火を手で掴むとか」

「農家は手の皮が厚いんじゃい!」


そう言って思いっきり殴り飛ばされる………イサム。


「なんで?」


軽く3~4mは吹き飛ばされてるね。

まあいいか………なんか、どうでも良くなってきた。

ここは、オシラさんに任せとけばなんとかなりそうだし。

クライフォードも間抜けな恰好で固まってるし、放置で良いか。

一応、念のためにイサムは殺しとくか。

その方が面白い事になりそうだしね。


取りあえず【心魂解放(オシヘン)】をイサムに向かって放つ。


「あれっ?俺何を?」


俺の魔法を受けたイサムが遠くで頭を振っているが、詳しい事はそこのカオナシと、自称農家のおっさんに聞いてくれ。

取りあえず、その場のもめ事は放置して商店が立ち並ぶ通りに歩いて行く。


「おいっ、マホ何してるんだ?」

「いや、このムカつくおっさんが、ゴミ掃除するのを邪魔するから」

「ゴミ?」

「そこの気持ち悪い魔族達よ」

「えっ?お前、こんな可愛い子供と老婆に向かってゴミとかって言う奴だったっけ?」


ん?

今、聞き逃せない言葉が………

可愛い………だと?

日本から来たはずのイサムが可愛いだと?

もしかして俺の感性の方がずれているのか?


「なあ、あの顔の無い子供可愛いか?」

「いや、何考えてるから分からなくて不気味ですね」


俺の言葉に満足のいく答えをくれるクライフォードに安心しつつ、その場を後にする。


「えっ?イサム何を言ってるの?」

「お前こそ何言ってるんだよ!こんな可愛いのに、ゴミとか………お前どうしたんだよ!そんな事言う奴じゃなかっただろ!」

「やめてよ!それじゃ私が悪いみたいじゃない」

「悪いみたいじゃなくて、悪いよ!その発想は悪だよ!」

「二人とも、僕の為に争うのは止めて!」


なにミッシェル?

そのセリフ気に入ってるの?

あってるけどさ………確かに合ってるけど、違うよ!



色々とあってPCを開く事すら出来て無かったので、感覚を取り戻しながらゆっくりと更新を再開しますm(__)m

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新作更新始めました!
(仮)邪神の左手 善神の右手
宜しくお願いしますm(__)m
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