表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い  作者: へたまろ
最終章:最終決戦!神と魔神
131/172

魔帝センター・オブ・ザ・ライスフィールド 前編

「おい聞いたか?またエンペラー・ライスフィールドが勇者を倒したらしいぞ!」


街を歩いていると、すれ違うまりも族の男が興奮した様子で友達らしき魔族に話しかけている。

ちなみに友達は人の身体に鮭の頭が乗っかっているから、鮭族だろう。


「ああ、凄いな…一人なのに魔帝を名乗ってるんだろ?」

「えっ?そっち?」


まりも族の男が、鮭族の男の発言に驚いているが、俺も同じことを思ったのは言うまでも無い。

なんか俺が痛い人みたいではないか!

ちょっと憤りを感じるが目立つつもりも無いので、そのまま耳をダンボのように大きくして話の内容を聞く。


「マジであの人凄いよ、ヒュドラとスキュラのキメラだっけ?」


おい!どんだけ頭があるんだよ!

多数の蛇の頭を持った、下半身が多数の犬族とかもはやただの動物の群れじゃ無いか!


「俺は、クラーケンとオクトパスのキメラって聞いたけど」


今度は足?

というか、俺は何かしら多い種族と思われているのか。

まあ、噂話が当てにならんというのは良く分かった。


「でも、西の方でまた一つ町が勇者に飲まれた」

「ああ…お袋の従弟の友達のお姉さんの知り合いが居たんだが…大丈夫だろうか?」

「それって他人だよね?」


鮭族の発言にまりもが思いっきり突っ込んでいる。

というか、こいつら本当はふざけてるんじゃなかろうか。

しかし、ここらへんは大分落ち着いたが、今度は西の方か…

俺は2人組の話にもう意味は無いと思い姿を消すと、転移で西の大陸に移動する。


確かここらへんは西の大陸にある、ニシーノ平原だっけ?

取りあえず、あっちの森の方から魔族の気配がするな。

少し行ったところから、複数の魔族の気配がするので取りあえずそちらに向かってみる。

一応念の為に、魔力を極限まで抑えて姿も蛙族にしておく。

誰も蛙族が強いとは思わないだろうしな。


「止まれ!」


森の中をしばらく進んでいくと、狼族の男に止められる。

うん、恰好からして兵士のようだが、鎧はあちこちが傷んでいるし、手に持った槍も刃こぼれしているな。

取りあえず、言われた通りに止まると両手を上げて、敵意が無い事をアピールしておく。


「お前も村を追われたのか?」


兵士に問いかけられたが、俺は首を横に振る。

設定は無難に旅人にしてあるからな。

変に嘘をついて、後でボロを出すよりはある程度は作った設定で行った方が良いだろうし。


「いや、旅人だよ。俺は元々家を持たないからな。それより、偉く警戒してるが勇者絡みか?」


俺の言葉に兵士は疑いの目を向けつつ、そうだとだけ簡単に答える。

こっちも結構荒れてるみたいだしな。


「まあ、詳しい事は聞かないよ。それよりも、休めるところを探している。この先に村があると思うんだが」

「!」


途端に兵士が剣を構えて俺を睨み付けてくる。


「どこでそれを!」


ああ、隠れ里的なところだったのか。

ちょっと失敗したな。

しょうがない。


「いや、俺は気配を読むことが出来るからさ。ほら、旅なんかしてると、色んなもんに襲われるだろ?だからさ」

「本当か?チッ…厄介な奴だな。だが、村の場所を教える訳にはいかない。来た道を引き返せ」


兵士がそう言ってしっしと手を振るが、人の話を聞いてなかったのか?

気配が読めると言ってるんだから、村の場所は分かってるのにな。

さてどうしたもんか…

ここは正攻法で行く事にしよう。


「そうは言っても、もう三日も何も食べて無いんで…今から戻るとなると確実に餓死しますよ」


取りあえずへりくだっておこう。


「本当にしょうがない奴だな…こっちだって食料に余裕は無いんだ。迂闊に村から出れないからな」

「いや、食べられない物ならあるんですけど…例えば」


俺はそう言ってマジックバッグから、劣化版グングニルの槍を取り出す。


「なっ、やっぱり野党の類か!」


盛大に勘違いされた。

いや、まあこっちも配慮が足りなかったけどさ。


「まさか。この槍をあんたにあげるっていう意味さ。村を守る兵士がそんな刃こぼれした槍しか持ってないんじゃ不安だろ?」


俺はそう言って手に持った劣化版グングニルを男の前に突き刺す。


「ほっ?本当か?というか、その槍なら俺を殺す事など簡単なように思えるのだが…」

「だから、俺は野党じゃないって!ただの旅人が、旅でお世話になるかもしれない場所を減らしてどうするんだよ」


俺の言葉をまだ全面的に信用した訳では無さそうだが、兵士は手に持った槍を下げる。

そして劣化版グングニルに近付いて行く。


「おいっ!これどう見ても伝説級の武器にしか見えないんだけどさ?いいのか?」


男がそう言って槍に手をかけて抜こうとする。


「ん?」


そして首を傾げると、手にぺっぺと唾を吐いて、今度は両手でしっかり掴んで思いっきり引っ張る。


「んん?」


だんだんと顔が赤くなっていって、ムギーとか、フギーとかって言い出した。


「騙したのか?」


どうやっても抜けない槍を前に、怒り出した。

いやいやいや、騙すとか意味無いことしないし。


「いや、そんな神器のなりそこないの槍なんてあげてもいいけど、その前に村に寄らせてもらう約束をしてもらわないとね」

「そ…それもそうだな。うん、村まで案内するから、槍をくれ!」


正直だね。

実際に間近で見て、手で触れてみてどれだけ凄いものか分かったんだろうな。


「本当だろうな?」

「ああ本当だから、早く!早くその槍を!」


目が血走ってて、とても怖い。

けど、まあそんな槍一本持ったところで、俺に勝てる訳も無いしくれてやろう。


「契約譲渡…兵士さん、名前は?」

「俺か?俺はウルフだ」


あらやだ、そのまんま。

まあいいや。


「契約譲渡…ウルフへ槍の所有権を移す事を許可する」


俺がそういうと槍が一瞬輝きを放ち、光をウルフへと向ける。


「なっ!何をする!うわっ!光に刺された!もうダメだ!俺は死ぬんだ!」


なんていうか、なんていうんだろうねって性格だわ。

ウルフの警戒心が薄れるにつれて、こいつ結構雑な性格してるのが分かって来た。

槍一本で買収されるような兵士なんか、信用しててこいつの村大丈夫か?


「いや、槍の主をウルフさんに変えただけだよ。その光は契約譲渡が完了したって事だから。試しに槍を呼んでみ?」


俺に言われたウルフが、ちょっと恥ずかしそうにする。


「いや、良い槍だけどさ?槍に話しかけるとかヤバい奴じゃね?」

「うっせー!とっととやりやがれ!」


無性にイラッとしたので、取り合えず蹴りをかます。

ウルフが反応しきれずに吹き飛ばされる。


「い…良い蹴りしてるじゃねえか…ガクッ」


ガクッじゃねーよ!

弱すぎじゃね?

兵士弱すぎじゃね?


「起きろ!起きて槍を呼べ馬鹿者!」


大声で怒鳴ると、ウルフがビクッと震えたかと思うと飛び起きて槍に呼びかける。


「槍よ来い!」

「あいよー!」


槍に声を掛けた途端、槍が呑気な返事を返してバシュッと言う音とともに地面から一気にウルフの手に向かっていく。


「うわっ!」


ウルフが驚いて手を避けたため槍が凄い勢いで横を通り過ぎて木に刺さる。


「おい、よけんなよ!」

「いや、だって刺さるかと…」


槍に怒られてウルフの耳がシュンとなっている。

こいつウルフじゃなくて、チキンじゃね?


―――――――――

無事村に案内してもらうことは出来た。

だが、道中でめっちゃウルフが槍に怒られてた。

曰く、わしを手にするには1000年早い!

これからは、わしがお前に訓練をつけてやるとかなんとか。

余りに調子に乗ってたので、劣化コピーの癖にあんま調子乗んなよ?と睨んでおいた。


「そ…そちらの蛙様のように、僕を自由自在に使えるよう懇切丁寧に教えてあげるよ」


なんて口調まで変わってしまったので、ウルフがかなり訝し気にこっちを見ていた。

ちなみに、ウルフにもとっとと歩けとばかりに睨み付けてやると、ビクッとして無言で前を向いて歩き始めた。

あっ…こいつダメな奴かも。

そんな事を考えて歩いて居たら、村にどうにか辿り着く事が出来た。


「取りあえず宿泊施設的なものはそこにしか無いからな…といっても迷い人や数少ない行商人の為の民宿だが」


そう言って案内されたのは2階建ての一軒家だった。

周りの家よりは少し大きい程度だが、別段それ以外と口調の無い建物だ。


「おい、おかみさんいるかい?」

「ん?お客さんかい?」


ウルフの呼びかけに答えたのは、見た目20代後半くらいの兎人族の女性だ。

まあ、魔族だから見た目20代でも、平気で3桁オーバーとからあるから余り当てにはならないが。


「ああ、蛙の旅人だ。何日か泊めてやってくれ…宿泊費はこれで足りるかい?」


そう言ってウルフが金の入った袋を渡す。

ここでは、兵士が金を払うのか?

んな訳無いか…


「あら、珍しいね。どケチなあんたが人に金出すなんて」


おかみさんが驚いていることから、そんな風習はなさそうだ。


「なに、ちょっとした恩があってね」

「そうだろうね…じゃなきゃ、こんな時に余所者なんか招きいれないだろうからね」


おかみがジトっとした目をウルフに向けているが、ウルフは自分の槍をチラッチラッと見るだけで全く気付いていないようだ。

幸せな奴め。


「ちょっといま手が離せないからね。ヨルミ!お客さんを部屋に案内しとくれ」


おかみさんが家の中に呼びかけると、8歳くらいの兎族の女の子が出て来た。

そして、おかみさんの陰からこちらを覗くとペコリと頭を下げる。


「ヨルミです!こっちにどうぞ!」


というと脱兎よろしく、凄い速さで掛けって行ってしまった。

おい!

案内するんじゃないのかよ!


「全くあの子は、すみませんね。ちょっと人見知りなところがあって」

「えっ?ああ、分かりました。取りあえずあの子の後に付いて行ったら良いんですね?」


そんな子に案内させるなよ!

そんな事を思いながら、ヨルミが掛けって行った方に向かう。


「はっ?」


という声が聞こえたが、足音を辿れば良いだけだろ。

俺は迷うことなくヨルミが居るであろう方向へと向かう。


「あの人何者だい?」

「うん?旅人だよ?それより俺帰って良い?」


背後でそんなやり取りが聞こえたが、まあいいだろう。

また一話でまとまらなかった件…

そして、全然進行もしてない件…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作更新始めました!
(仮)邪神の左手 善神の右手
宜しくお願いしますm(__)m
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ