プロローグ
いよいよ最終章です。
間が空いてすみません…
「ふんっ、逃げたか」
100人を超す光の勇者を従え、中条がつぶやく。
だが、中条の顔は喜色に歪んでいる。
「まあ良いだろう…中野を倒しその核を手に入れたのだ…田中の残党如きどうにでもなるだろう。」
そう言って中条は自分の中に宿る魔力に手を翳す。
そこから無限に溢れ出る魔力を感じ取り、思わず笑みがこぼれる。
「そう言えば残党で思い出した…田中とやらはどうしているのやら」
ふと顎に指を当てて首を傾げる。
それから何かを思いつくと、すぐに後ろを振り返る。
「選ばれし勇者達よ!夜明けの時は来た!中央世界に虐げられし人々を救うために、魔族を滅ぼせ!」
背後に控えた勇者達に向かって大声で叫ぶと、大きな歓声が上がる。
「蹂躙せよ」
中条の言葉を受け、全ての勇者が光の筋となって中央世界の町々へと飛び立っていく。
各々好き勝手に飛んでいったが、上手い事連携を取れるか少し心配になる。
もしかしたら、同じ町に4人くらい勇者が集まって誰も居ないところとかあるかもと不安にも思った。
まあ、いいだろう
すぐに考える事を止め中条は、自身が閉じ込められていた部屋に隣接した田中の監禁部屋へと転移で向かう。
部屋の中では触手達が適当に寛いでいる。
「なんだお前らは!俺の部屋に居た蔓とは少し様子が違うが…」
ゲームをしたり、モニターに映っている喜劇のようなものを眺めたりしている触手達に少し驚いたが、そういうものなのだろう。
もっとも、中野の力を手に入れた今こいつらも俺の配下なのだからな。
そんな事より、田中ってのはどいつだ?
中条が部屋を見渡すと、触手の1人が何やら紙を手渡してくる。
中条はそれを受け取り、広げてみる。
『探さないで下さい…byタナカ♪PS神だけに紙のメモを残してみました。』
と短く書かれていた。
中条の掌から「グシャッ!」という音が聞こえる。
ふざけた手紙に思わず握りつぶしてしまったのだ。
「中野の言う通り、本当にふざけた奴みたいだな」
まあ逃げたのなら、それでも良いだろう。
ここにはもう用は無いな。
中条はすぐに落ち着きを取り戻すと、今度は天に浮かぶ自身の居城へと転移する。
奇しくも中条も、その住居を天上に構えていた。
ただ田中の作った大陸とは違い、城と庭、外壁に囲まれた程度の小規模なものだ。
「さてと、あいつらにも仕事をしてもらわないとな」
中条は玉座に腰かけると、手に王笏を呼び出すとメッセージを飛ばす。
『おい女神ども、仕事だ集まれ!』
…
……
………
…………
……………
………………?
暫く待つが返事が無い。
取り急ぎ女神の気配を探してみるが、どこからもその気配が感じられない。
それもそのはずだ。
いま4女神は結界が張ってある田中大陸の中、さらにその中でも結界を張ってあるマンション社に居るのだ。
女神はマンションに住むにあたって、田中に色々と言っていた。
その中の一つに、やっぱりセキュリティって大事よね。
オートロックの付いたマンションじゃないと嫌だわ。
そうそう、管理人と住人以外は絶対に入れないレベルがいいですね。
などなど…
まあ、南条さんや北条さんがオートロック付きのマンションに憧れていただけなのだが、その事を感じ取った田中が頑張って作ったのだ。
そのため、そう簡単に侵入出来るようなものでは無かった。
『おーい!』
勿論外部からのテレパシーなども、完全にシャットアウトできるようになっている。
例えそれが神の啓示や、聖痕などとしてもだ。
「くそっ!やられた!まんまと、田中に匿われたか…もしかして、中野の奴が託したのか?」
中条が玉座の肘置きを乱暴に叩く。
大魔王の核を持った創造主の八つ当たりに耐える玉座が凄いのか、中条がその程度の力しか持っていないのかその肘置きには傷一つ付いていないが。
そして、別に匿うわけではなく女神の我儘の結果であることは中条には知る由もない。
勝手に勘違いしてろ!と田中なら言いそうである。
「一人…か」
ちょっと寂しそうである。
とはいえ、女神からは嫌われてたからね貴方。
「まあ、全世界の勇者を取りあえず覚醒させたから、魔族が消えるのも時間の問題だな!ハッハッハッハッハ!」
中条はそうひとりごちると、寂しさを紛らわせるように大声で笑ってみる。
「はぁ…」
余計に虚しくなっただけだった。
「俺は最強の創造主だ!」
唐突に叫ぶ。
人間一人だと、たまにこういった突拍子もない事をしてしまう事もあるだろう。
そして思う…なにやってんだろ…と。
一人暮らしが長い人には心当たりがあるだろう?
いや、無い?
部屋で一人、独り言をつぶやいたり…たまに変な言葉や意味の無い言葉を叫びたくなったりしない?
例えば車で変顔したりとか?無い?
真面目そうな人でもあるよね?無い?
気を付けろ!前の車からバックミラーで見られてるぞ?
たまに見かけるし!
って何の話だ!
自分の心の声に突っ込む中条。
クール系一人暮らし寂しい症候群の末期症状だ。
「何をされてるのですか?」
思いっきり城の管理を任せてた天使に見られてた。
といっても、意志を持たず命令のみを遂行する中条の作り出した仮想生命体に過ぎないが。
良かった…と一人思う中条だった。
真面目な展開で、王道展開の、シリアス展開の、鬱展開からの逆転ハッピーエンドのひねりのないクソ普通の最終章にしようとして、のっけから中条のキャラが崩壊しましたorz
でも、書きたいように書く宣言をしてある話なのでご勘弁をm(__)m
細かい事を気にせず、生暖かい目で最終章の展開を見守ってもらえると有難いですm(__)m
誤字脱字報告はバッチコーイですけどねw(いや、むしろお願いいたしますm(__)m)
とm(__)m多用な後書きでした。