中野と愉快な仲間達
「まあいいだろう、せっかく来てもらったんだ…一働きしてもらおうか。カサンドラ、エルザべート!あいつらを血祭りにあげろ!」
「畏まりました、我が主よ」
「分かったにゃ!」
中野の合図とともに、2人が突っ込む…と同時に中野の両サイドの気配がまたも歪む。
「大魔王様…総力戦に私を置いて行かれるのはいかがなものかと…」
「おいおい、折角のお祭りに俺を呼ばないとは、どういう了見だ?」
また新キャラ出て来たよ…
自軍サイドだけでも、勧誘のしすぎで把握できてないってのに、中野の部下もどんどん増えていってるし。
「なっ!早い!」
「マイケル!」
そっちに気を取られている間に、戦場に動きがあったようだ。
っていうか、お前らまとまれよ!
くそっ!
「さようなら!」
丁度、カサンドラかエリザベート?のどっちかがマイケルに巻き付いている蔓を切り落として、そのままマイケルを蹴り飛ばすところだった。
というか、自己紹介しろって…
取りあえず、この二人のベッピンさんがカサンドラとエリザベートってのは分かったけど、どっちがどうなの?
「ふふっ、エルザベートったらせっかちにゃ!」
ああ、いま蹴った方がエルザベートか…言いにくいわ!エリザベートの方が語呂よくね?
で、にゃーにゃー言ってるのがカサンドラか。
「おいっ!ノブナガ!何するんだ!」
「チッ!今なら油断してやれるかと思ったのに…」
「おいイエヤス!なんで、こいつ連れて来たんだ!」
えー…今度はそっちでもめ事ですか。
えっと、髪の毛を一本に結んだ細身で、目が細いキツイ顔した奴と、ちょっと丸顔で童顔の微笑みを携えた白髪の壮年の男性のどっちかが中野になんかしたのか?
まあ、イメージ的にキツイ顔した奴の方が、腹に一物抱えてる感じだから、そいつがノブナガかな…
というか、中野のネーミングセンスが若干ビョーキ臭い。
「えっ?最終決戦っておっしゃられてましたよね?なら全勢力で挑むのが常識では?」
「そうそう、イエヤスの言う通りだぜ!ついでに、ちょっと中野をここで亡き者にして、俺が大魔王の座にと…最終決戦で大将が死亡!代わりに指揮をとった、英雄ノブナガ様の誕生って訳だ」
「くそっ、誰だよこんな奴作ったの!」
えっ?キツイ顔した方がイエヤスなの?
で、丸顔がノブナガってイメージ逆だろ普通!
中野バカなの?センス無いの?ダサイの?イモなの?
「おい田中!最後の方、言葉に出てるからな!その部屋の音声拾ってるからな!」
「へー、ほー、ふーん!」
「くそっ!これからお前の部下が「うっ!早すぎる!キャッ!」
あっ、フランシスカが落とされてる…っていうか、マイケルどうなった?
ああ、マヨヒガが落とされた奴等は回収してるのか。
丁度、フランシスカがデカい手にムンズと掴まれてるところだった。
というか、マジでもちつけお前ら!
ゆっくりと、観戦が出来ねーじゃねーか!
「さっきから、その巨大な手はなんにゃのにゃ!」
「そこは、にゃんにゃのにゃじゃないの?」
…
「はっ!」
エルザに突っ込まれたカサンドラが、目を丸くして口を開けて、しまったみたいな顔してる。
「さっきから、その巨大な手はにゃんにゃのにゃ!」
「いや、それなら、その巨大にゃ手はになるんじゃないかしら?」
今度はレベッカから突っ込みが入る。
カサンドラが頭を抱えて少し固まる。
そして、すぐに顔を上げると、爽やかな顔で口を開く。
「さっきから、その巨大にゃ手はにゃんにゃのにゃ!」
言い切った顔してる。
いやあ、堂々としたもんだ。
テイク3とは思えない自信だな。
「いや、無かった事にはならないわよ!」
「遅い!」
ジェシカが叫ぶや否や、矢を番えて放とうとするが一瞬早くエルザベートに風魔法で弦を斬られてしまう。
「うそっ!」
「カサンドラ遊んでないで、真面目にやりなさい!」
そして、そのまま風の刃で体に巻き付いている蔓を斬られ、されに地面に向かって弾き飛ばされる。
がすぐに回収しようと、マヨヒガの手が伸びる。
「ふふん!そう何度も「にゃんども?」…そう、にゃんども邪魔はさせにゃいよ!」
途中レベッカの突っ込みが入ったが、あたかも普通に流して言い直しながら、巨大な爪を召喚してマヨヒガの手に叩き付ける。
「えっ?」
ところが、驚きの声を上げたのはカサンドラの方だった。
なんと、巨大な爪はマヨヒガの腕に当たったと同時に砕け散ってしまったのだ。
「おい、誰だたかが館にあんなに力注いで強化しまくったやつ!」
まあ、俺なのだが…ゴブリンがジトっとした目を向けて来たので、取りあえずぶん殴っといた。
「ププッ!自分に、物理攻撃が聞かない事をお忘れですってイッテー!痛いっす!」
ムカついたので、痛覚に直接ナーガジョロキアぶち込んどいた。
「じゃあ、俺達も真面目にやるか!」
「私は、最初から真面目です」
おっ!イエヤスとノブナガが動くのか?
「くっ!誰?」
って、今度はエルザベートかよ!
てか、中野何してんだよ!
「あれっ?中野が消えた?」
「どうも…」
気が付いたら、中野が横に立っていた。
何してんだコイツ?
「って、なんだよこれ!」
中野が、ソファと炬燵、さらにタコ焼き器を見て驚いている。
「あら、中野さんも来られたのですね」
「誰?」
「いやですわ。貴方が作られたんじゃないですか」
「本当に誰?」
触手に向かって、中野がキョトンとしている。
「いや、何しに来たんだよお前」
「ちょっと、田中さんこそ、何してるんですか!」
「いや、お前が俺に触手プレイかましたから、ちょっと触手を改造しただけだよ?」
俺の言葉に、中野がポカーンとした表情を浮かべている。
「出たな大魔王!覚悟!」
「ちょっ!あぶね!ってゴブリン?なんで?」
「俺が作った」
背後から、ゴブリンが突いてきたタコ焼きをひっくり返す串を躱しつつ、こっちに質問を投げかけてくる。
騒がしい奴だな。
「いや、話し相手も居なくて暇だったからさ。でも、結局触手達が喋れるようになるんだったら、コイツ要らなかったけどね」
「ちょっ!酷い!」
俺の言葉に、ゴブリンがショックを受けているが、生憎鬼畜生に同情するような広い心は持ち合わせていない。
そんな悲痛な表情をされても俺にはなんにも、刺さるものは無いな。
「でお前は何しに来たんだよ」
「いや、ちょっとアイツ苦手なんだよ」
そう言ってノブナガをアップする。
ノブナガはというと、丁度城から飛び出してきたヨシツネと斬り合っている。
っていうか、展開早すぎだろ!
っていうか、さっきエルザベートは何に驚いていたんだ?
あれっ?エルザベート?
「くっ!強すぎる」
「いえ、私が強いのではなく、貴方が弱すぎるのです。私なんて、田中様に比べたら、羽を捥がれた羽虫みたいなもんですよ…」
エルザベートが荒神にボッコボコにやられてた。
しかも、何気に荒神酷いな。
「にゃー!やめるにゃ!ちょっ!追いかけてくるな!」
「追いかけてくるにゃでしょ?」
「追いかけてくるにゃ!」
ちょっと離れた処ではカサンドラがめっちゃ辰子に追い回されていた。
凄い速さで追いかけてくる辰子に、必死の形相で逃げまどっている。
というか、辰子あれ完全に遊んでるよな。
「やるじゃねーか!」
「大体さー…なんで、お前みたいなのが僕より強いと思われてるのかな?ベイベー…うん、言ってみたら案外悪くないかも」
なんだよ、ヨシツネも気に入っているんじゃない。
というか、どこを見たら良いのかわかんねーなこれ…
「フフッ!甘いですよ」
「そうか…そのまま気付かなければ、痛みも感じずに逝けたんだがな」
気が付いたらテルモト、こっそりとイエヤスの背後から剣を突き刺していた。
しかし、そこにはイエヤスが纏ったマントが残されただけで、本人はとっくに逃げ出している。
おお、これは面白そうな…
「やぁめぇるぅにゃー!尻尾を握るにゃー!」
ちょっ、五月蠅いな!
おい、辰子もうちょっと静かに遊べよ。
「なんなんだよ!なんで、テルモトとヨシツネがあんなに強くなってるんだよ!ていうか、そこの蛇の魔族と龍人の出鱈目な強さはなんなんだよ!」
「おまえ、もう大魔王の威厳とか無いのな…」
「日本人相手に、見栄張ったってしょうがないじゃん!」
まあ、そうなんだけどさ…
っていうか、なんで俺と一緒に居るんだこいつ?
ああ、そうだノブナガが苦手だとか言って逃げて来たんだっけ?
「中野さんも食べます?ロシアンと普通のがありますけど」
触手1号は良く働くなー。
手にお皿を持って、中野にタコ焼きを勧めている。
「えっ?うん…っていうか、本当に田中さん何やってるんですか?」
「えっ?タコパ?」
あっ、中野が呆れた目を向けて来てる。
うん、若干イラつくが今俺攻撃手段無いからなー…
「あっ、美味しい」
それから普通にタコ焼きを食べ始める中野を横目に、再度モニターに目を移す。
あー、もうこっちは収拾が付かなくなってるな
カサンドラが自らマヨヒガに捕まりに行ってるわ。
「もぉ!逃げるな猫娘!一緒に遊ぶのだ!」
「ちょっ!手!巨大にゃ手!早く空間閉じるのにゃ!」
「マヨヒガ、そのままよ!」
「おーい!巨大にゃ手!助けてにゃ!」
なんだろう…
どっちが敵だか分かんなくなってきたな。
「大体ですね…そんな、早いだけの攻撃でどうやって相手に致命傷を与えるんですか?」
「えっ?いや、私の攻撃ってほとんどの魔族どころか、鬼の身体すら切り刻むんだけど?」
「はあ…冗談はその裸みたいな着てる意味の全く無い服だけにしてください」
確かに、エルザベートのドレスってどうなんだろ?
隠すとこだけちょっと生地厚くして隠してるけど、基本シースルーでボディライン丸見えだしね。
でも着てる意味くらいはあると思うけど…
「ちょっ!失礼じゃない!」
「ほらっ…そんなに力んだ攻撃なんて、簡単に避けられますよ」
そう言って荒神が肩を少しだけ下げて、エルザベートの蹴りを躱す。
「こうされたら?」
そして目の前のエルザベートの足の膝裏に右手の甲で軽く一撃当てると、フワリとエルザベートの身体が浮く。
「これで終わるでしょう」
そのまま左手でエルザベートの顔を押さえて、彼女の後頭部を地面に叩き付ける。
うん、地面無いな…何に叩き付けたんだ?
見ると、叩き付けた先に雷を集めてた。
「アババババ!」
直接脳に電撃叩き込まれて、感電してる。
エグイな…
せっかくのサラサラヘアーがアフロになってるし。
「ねえ…誰あれ?」
「うん?荒神…」
「そう…」
なんか気まずい。
久しぶりに早く帰れたので、投稿できました。
自分の心境を表すかのように、収拾のつかない戦闘になってしまい頭を抱えております。
というか、中野が自分の想定と違う行動を取ってしまったので、オチを変更することに…
頑張ってオチを考え直しますwww
こちらの話も宜しければ、目にしてやってください。
【異世界転生からの異世界召喚~苦労人系魔王の新人冒険者観察~】
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