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タナカ国建国活動始動

日常回です。

「いや、ほんとねーわ!なんなのここ…めっちゃ日本!マジ日本でワロタ」

「本当にねー…元魔王なんですってね」

「そうですよ、なんか魔人に転生してすぐに北の魔王を倒したらしくて」

「出鱈目ですよねー」


いま、タナカ城のすぐ近くに作った社と言う名のマンションのロビーに4人の女性が集まっている。

ロビーには談話室が用意してあり、みんながそれぞれ飲み物を片手に話をしている。


「にしても、私が西条、で貴方が北条さん、東条さんに、南条さんってなんなの女神の選定基準。雑!マジ雑!」


西条と名乗った女性が、何やら喚いているがこうして見てみると4人とも女神としての威厳なんて、一つも感じねーわ。

えっ?俺が何してるかって?

それはもう…


「はい、ミセスドーナツのフレンチクルーラーと、ポンデリング、オールドファッションと、エンゼルフレンチお待ち」


そう…お茶菓子の提供係だ。

あのあと、すぐに東条さんと西条さんを救出に行き、城に連れて帰ったついでに北条さんも迎えに行ったのだが、北条さんが俺が日本食を作り出せる事を漏らしたため、こうして女子会に強引に拉致された訳だ。

ちなみに北の教皇のコウズは、魔族の子供達と人間の子供達に大変なつかれていたため、今回は本人の意思であっちに残ることになったんだが、蛞蝓族の子供や、メデューサボール族の子供に対しても慈愛の目を向けて、愛でる姿は教皇に相応しいと感じた。

どうやら、魔族に対する恨みは無くなったわけではないものの、子供達には関係の無い事と割り切ったらしい。


「しっかし、田中つったっけ?あんたスゲーな!」


西条さん口悪すぎるだろう。


「わたくしもそう思いますわ。神気を操ったところで物質を作り出す事なんて出来そうもないですしね。魔力って万能なんですね」


この上品な女性が東条さんだ。


「私も魔族に転生した方が良かったかも」

「そうですね。女神って言ってもすぐに封印されて、神気だけを吸い取られる存在でしたしね」

「えっ?」

「何それ、酷い!」

「えっ?」


普通の口調の女性が南条さん、丁寧な口調が北条さんだが、北条さんの言葉に対して西条さんと東条さんの2人が驚きの表情を浮かべている。

それに対して、今度は北条さんと南条さんが不思議そうな顔をする。


「私はとっとと逃げ出して、西条教っての立ち上げたんだけど?」

「私も比嘉という同郷の男性の方に助けて頂いて、普通にお城に部屋を貰っておりましたわ」

「私は封印されてたよ。すぐに中野に連れ去られたけどさ…」

「私もずっと封印されてたのに…ズルいです」


あの封印から抜け出すとか…いや、西条さんなら出来そうだな。

それから、比嘉がちゃんと勇者してたことにびっくりだわ。


「そ!そんな事より、このマンションすげーな!」

「そ…そうですわね。私が日本で住んでた屋敷と比べてもよっぽど快適ですわ!」

「や…屋敷?」

「金持ちめ!」


東条さんの言葉に、南条北条ペアから負のオーラが漏れ出している。

とてもじゃないが、女神の放つオーラじゃない。

とにかくこの場から離れた方が良さそうだ。


「あー、俺は忙しいから一旦ここから離れるけど、何かあったらそこの電話で呼んでくれ。一応俺の脳内に直接つながるようになってるから」

「なにこの管理人さん!テラ優秀!」


なんか西条さんのノリについていける気がしないけど、取りあえず逃げるように転移で人間区画に移動する。

ここのインフラも大分進んで来た。

道は一応土で作ってあるが、家と家の間を走る太い道は石畳を敷いてある。


「あっ!タナカ様だー!」

「わー!」

「今日は何しに来たの?」


俺の姿を見つけた子供達が群がって来る。

うんうん、愛い奴等め。

どれ、美味しいものでも振る舞ってやろうか。

そんな事を思いながら【キューピー】を唱えようとすると、レベッカが近付いてくる。


「もう、タナカ様!まだおやつには早すぎます」


凄いな…魔力の流れを読み取って俺が何をしようとしていたのか分かったのか?


「いっつも来るたびにお菓子やらケーキを振る舞ってたら分かりますよ!」


心まで読まれた!

って、そりゃそうだな。

子供達が集まって来ると、ついつい甘やかしてしまうのは俺の悪い癖だ。

よし、今回は取りあえずドーナツを振る舞って次から少し自重しよう。

レベッカの制止を無視して、大量のドーナツを作り出して全員に配るとレベッカが呆れたような表情を浮かべる。

いいじゃん!別に俺が好きでやってるんだから。


「わあ!」

「美味しそう!」

「フレア、こぼしちゃダメだよ?こんな高そうなお菓子、ポロポロこぼしたら勿体ないよ?」

「わあってうお!じょーずにたべえるもん!」


年上の子が年下の子を気遣いながらも、欲張ることなく一つずつ取って食べている。

うんうん、中々に意識も高くてこの国の住人に相応しいな。

大人達ならこうはいかないだろうな…そこで勝手に参加して、両手にドーナツを抱えているアホ魔族共みたいに。

取りあえず、ボクッコとネネとバニーの手にあるドーナツを一つだけ残して、皿に戻す。


「はっ、私のドーナツが消えた!」

「私のも無くなっちゃったね」

「ドーナツ…」


レベッカが彼女たちをゴミを見るような目で見ていると、3人がこっちに気付いてばつが悪そうな表情を浮かべる。

それから少しずつ後ずさって、一気に城まで走っていく。

まったく、あいつらいつから居たんだ?


「それでタナカ様。今日はどのような用事ですか?」

「ん?ああ、そろそろここの住人をもっと増やそうと思ってな。それで、生産系の仕事や、販売。お金の概念というものも授業に加えようと思って、ポークと待ち合わせをしていたのだが」


俺がそう言って城の方を眺めていると、1頭の豚が走って来るのが見える。


「ブヒッ…ブヒッ…タナカ様、遅くなり申し訳ない。少し、城内の資産の算出に時間が掛かりまして…タナカ様の作り出す調度品の奇天烈さや、有用性、美術性を加味するとそれぞれがとんでもない価値を持っておると考えられるのですが、いかんせん前例のないものばかりでして…その価値の参考資料が圧倒的に足りないのですわ」


ポークが息を切らしてブヒブヒ言いながら、俺の頼んでいた仕事の途中報告を行ってくる。

いや、鉱石を作り出せるからいくらでもお金になるものは作れるんだが、他にも現地のお金を調達するのに俺の作った美術品やら家具がどれほどの価値があるか気になって調べて貰ってたんだった。

前に、ジュリアに椅子をあげた時に、凄く高級そうな事を言ってたから、これでお金を得る事が出来るかもと考えたのだが。


「そ…そうか。その報告だけでも、この村の予算に関してはなんとかなりそうだな…」


鬼気迫る表情のポークに気圧されながらも、どうにか尊大に振る舞ってみせたが少し売っただけで結構な金額になりそうだ。


「えっと…タナカ様の城のものを売るのですか?もしかしてお金が足りないのですか?」


俺とポークの会話を聞いて、レベッカが心配そうにこっちを見てくる。

うーん、確かにこのやり取りだけ効いてたら、この村の予算の捻出のために城のものを売るとも聞こえなくはないか。

というかか、そうとしか聞こえないか。


「いやいや、違うよ。これから子供達にも仕事をしてもらおうと思ってね。農作業や畜産を行う者、加工や調理を行う者、さらには俺の作った物を真似して物を作る者を育てていくためにね。これからこの村を支えていくのは今居る子供達だからね」

「そうそう、そしてその対価として支払うお金を取りあえず用意するために、お金と交換できるものをさがしとるというわけじゃ。まあ、ここにあるものはタナカ様が魔力で作り出しておるゆえ、原価は0円じゃからのう」

「原価ですか?」


聞きなれない言葉にレベッカが質問を投げかけてくる。

確かに、ストリートチルドレンの子供達にはこういった知識が圧倒的に掛けているのは否めない。


「そうだな、そういった事もこれからポークに授業に組み込んでもらうのだが、まず原価といのは物を作るのに掛かったお金だな。例えば、そこの家をを作るなら、木材や土、釘や紙、その他もろもろの材料に掛かるお金、それからそれを作る大工に払うお金が発生するな。もし、土地を購入したとなるとその費用も原価に含まれるだろう。そういった金額が原価だ」

「はあ…なんとなく分かりました」

「それから、その原価を元に利益を足して価格を決めるのだが、一ヶ月掛かって作るようなものなら、その原価に対して一ヶ月の生活費は最低限利益として上乗せしないと生活が成り立たないよな?」

「はあ…」


あっ、ダメだな…これ中途半端にしか理解出来てないパターンだ。

レベッカが若干目を泳がせながら、こっちに視線を合わせようとしない。


「ま…まあ、そういった考え方をこれから学んでいってもらうつもりだからな」

「えっと、子供達を使えばタダで物が作れるから、その原価が安くなるってことですか?」

「…違うぞ?働いたらちゃんとお金を払うって言ったよね?そのために、お金を用意するんだけど」


なかなか鬼畜な発想をする子だが、たぶんこれまでの生活環境がそうだったからだろうな。

どちらかというと搾取される側だったわけだし。

でも、俺の国ではすべての国民に対して等しく役割を与えて、適正な対価を支払ってやりたいからな。

うん…なんだろう、これから俺がめっちゃ苦労する予感がしてきたぜ!


「とにかくだ、まずはお店やさんごっこをしつつ、授業で社会の仕組みを理解してだな…それから、自立して生活を送れるようにしようということだ。まあ、食べ物も住居も、日用品まで魔法で俺が作り出せるから、どこまでいってもごっこ遊びでしかないが、俺に何かあっても、問題無いようにしたいからな」


そこまで言って、ようやくレベッカが納得したような表情を浮かべる。

どこか薄っぺらい気がするが、まあいいだろう。

あとはポークの授業次第だな。


取りあえず村は出来たから、次は村人の意識の向上といこうか。

こんなに幼い頃から、しっかりとした教育を受ければ今のこの世界の大人達じゃあ、太刀打ちできないだろうな。

将来が楽しみだ。

ブクマ、評価、感想お待ちしてますm(_ _)m

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(仮)邪神の左手 善神の右手
宜しくお願いしますm(__)m
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