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四天王集結

やっと、進行回終わりです。

「まさか、この俺が人間の…しかも子供達に負けるとわーっす!」


そう言いながらオウガが地面を激しく叩く。

軽い地響きが起きているし、少し五月蠅いな。


「もぉ!ジェシカとエルザがこんなに強いなんて知らなかったよ」


トミーが二階から飛び降りて、2人の元に掛けっていく。


「当然!私達は荒神様から秘密の特訓受けて来たから」

「秘密特訓だから、実力は秘密なのよねー!」


2人が仲良く目を合わせて、首を曲げて声を揃える。

うん、今はまだ可愛いがもう少し歳を重ねるとウザい事になりそうだな。


「何それ、ズルーい!」


マイケルが口を尖らせているが、お前はいっつも訓練が終わったらダッシュで子供達の所に戻ってたもんな。

面倒見が良いのは良い事だが、ちょっと心配性過ぎる気がしなくもない。


「という事で、オウガとニョローンは俺の部下な?」

「えっ?」


俺の言葉に対して、オウガが間抜け面で聞き返してくる。

折角のイケメンが台無しだぞ?


「だから、お前とニョローンは俺の部下になれって言ったの」

「んー…ニョローンは死んだっすよ?」


そんな事は大した問題じゃないんだよ。

一応、うちの住人が殺したから魂献上されてるから、すぐに生き返らせられるし。

全く関係の無い所で死んだ人は、魂が消える前に捕まえないと復活させられないが、俺に捧げられた魂の場合、肉体さえあればすぐに生き返らせられるしな。

ということで、取りあえず復活させとくか。


「あれっ?ここは?はっ!オウガ様?」

「んだ、生き返らせたんすね。まあいいや、俺も倒されたからタナカさんの下に付けって言われてるんだけどさ?どうする?俺的にはちょっと、大魔王様裏切るの難しいんすねー…こいつなら問題ないと思うんすけど」

「えっ?オウガ様まで?」

「ああ、呪縛なら直接解呪するから大丈夫だ」


そう言ってオウガの胸に手を突き刺し、いつもの作業を行う。


「それと、知ってると思うがお前の妹とその部下もいるぞ」

「えっ?あれっ?呪印が消えてるっす…何してくれるんすか。これじゃ戻れないっすよー」


オウガがジトっとした目を向けてくるが、元々戻すつもりは無いわけで、別にこれで良いじゃん?としか思わない。

むしろ裏切りの既成事実が出来た事で、より引き込みやすくなったわけだし。


「丁度いいじゃん?うち来いよ!」

「なんすかその軽いノリ、まあ、もういいっすけどね。どのみち勝ち目も無いわけですし、逃げ切る事も難しそうですしね」

「あの、オウガ様?私の意思は?」

「えっ?俺がこっちに付くのにお前逃げんの?お前敵か?俺の敵か?そっち行ったらお前敵だからな?断った瞬間に排除するけど?どうなん?お前どっちなん?」

「はっ!私めは偉大なるそちらの魔人様の忠実な僕でございます」

「だよなっ?」


うわあ、軽いくせに結構部下に酷いなー。

つっても、絶対に断られないって分かっててわざと言ってる節あるし、本人は揶揄ってるつもりなんだろうな。

多分、ニョローンはマジで受け取ってたけど。


「パパ―!新しい子分が増えたのー?」


辰子が二階から飛び降りてくる。

その辰子をオウガがマジマジと見つめる。


「はっ!まさかタナカ様と我が妹の娘?てことは姪っ子?」


スパーンと子気味良い音がホールをこだまする。


「痛いっす!」

「んなわけあるか!俺は独身だ!というか、お前の妹とどうこうなるつもりはない」


俺の言葉にオウガが信じられないものを見るような眼を向けてくる。


「あんなベッピンな鬼を手元に置いて、欲情しないなんて…しかも独身?まさか…自分はノーマルっすよー」


それから慌てて変な事を言ってくる。

スパーン!と本日二度目の良い音がホールにこだました。


―――――――――

城に戻ると、丁度カイン達も戻って来たようで、何やらピンク色の髪をした全身ピンクのドレスの鬼がカインにしだれかかっている。


「あの、ピンキーさんもうちょっと離れてくれないと歩きにくいのですが?」

「んもう!タケル様ってば照れ屋さんなんだからー」


何やらピンク色のオーラを放っているが、カインが心底迷惑そうにしている。

これがオウキと同じメスの鬼とは思えないくらいに、整った顔立ちをしていてとってもベッピンさんだ。

とはいえ、ピンクの髪にピンクの瞳、透き通るような白い肌に、チラッと除く八重歯。

額から申し訳程度の角が一本生えている。

どっからどうみても、海外のハイクオリティレイヤーさんにしか見えない。


「楽しそうだな…カイン」

「あっ?誰だおめー?てかカインって誰だよ!つーかお前、何気安く話しかけて来てんだよ」


俺が溜息交じりにカインに話しかけると、ピンキーに思いっきり凄まれた。

何この子…これ、絶対に惚れられたらダメな奴でしょ?

カイン大丈夫か?


「こらっ!こちらは、私の主のタナカ様だぞ」

「ふぇ~ん。タケル様が起こったー…でも怒った顔もス・テ・キ♪」


カインに怒られていきなり泣き真似をしたかと思うと、すぐに目をハートにしてカインを見上げている。

俺がジトっとした目で、後で敬意を説明しろと無言で伝えるとカインが憔悴しきった表情で頷く。


「はあ、ようやくピンキーの眼鏡に適う男性が現れたみたいっすね」

「ん?ああ、オウガか…お前もやられたのかよ!情けねーな…これで四天王全員が陥落か」


コロコロと表情が変わるが、よく間違えずに使い分けができるもんだ。

正直感心するよ。


「はは、まあちょっと相手が悪かったすわ…」

「そんなもやしみてーな男にやられるはなあ…西の黄金鬼も落ちたもんだな」


そう言ってピンキーが鼻で笑う。

なんて性格が悪い子なんだ。

これなら、オウキの方がよっぽどマシじゃねーか…


「いや…まあタナカ様に負けたわけじゃないっすけどね」


ばつが悪そうに頬を掻きながらオウガが答えると、ピンキーが訝し気な表情を浮かべる。

それから俺の周りを見回す。


「つっても、そいつ以外ガキばっかじゃねーか。まさかそのガキに…って、可愛い!何この子!動くの?生きてるの?んもう!食べちゃいたい!」


それから辰子のところで視線が止まると、ピンキーがカインから離れて辰子に抱き着いてくる。

辰子が目を白黒させて俺に助けを求めてくるが、咄嗟の事で俺も反応が出来なかった。

というか、この子大丈夫かな?

これでも東の四天王なんだよね?東って変な奴が集まりやすいのかな?


「カイン…本当にどうしたんだこれ?」

「えっと、自分も良く分からないんですけどね。適当にその方の部下を片手で半分くらい叩きつぶした後で、彼女の攻撃もつい片手で弾いたら、こうなちゃいました」


俺の質問に対して、カインが困惑した様子で答えてくる。


「ああ、タナカ様深く考えては駄目です。彼女の中で自分より強いイケメンと、可愛い子供達意外は塵数多の存在でしかないので」


ブルータスが申し訳なさそうに答えてくる。


「まあ同等の俺達ですら、媚びられる事無いからなー…ある意味分かりやすいっちゃあ、分かりやすいけどな」


シャッキも呆れた様子だ。

そんなやり取りをしてたら、またまたピンキーが眉間に皺を寄せて近づいてくる。


「だからさっきから、おめーはなんなんだよ!つーか、カインって誰だオラッ!」


それから、いきなり俺の顔面に頭突きをかましてきたので、取りあえず転移で背後に移動する。

カインみたいに片手で止めたら、どうなるか分かったもんじゃないし、こいつの担当はカインだしな。


「避けてんじゃねーぞこのヘタレが!って、イッターイ!」


とうとう後ろから見るに見かねたカインが拳骨を落としていた。

それから、ピンキーを軽く睨み付ける。


「だから、こちらの方が私の主様です。そしてカインとは私の事ですよ?」


それからそう言ってカモフラージュ用の純白の鎧から漆黒のいつもの装備に変化する。

あっ…それあかんやつや。

案の定、ピンキーがキラキラした目をカインに向けている。


「何それ!素敵過ぎる…純白の鎧姿も素敵でしたが、その禍々しい鎧…まるで暗黒の騎士のようですわ!」


それからカインに抱き着こうとして、かわされる。


「んもう!つれない方ですわね」


頬っぺたを膨らませているが、中々に可愛いとは思う…思うけどさ?絶対に仲良くはしたくないね。


「俺は黒騎士のカイン…そちらのタナカ様の剣であり、盾だ」

「えっ?この冴えない魔族がタケル様の…カイン?カインって?」

「私の真名だ」


多分…この子…


「いやーん!何それ!素敵すぎますわ!人間を守る勇者のフリをしながら、その実態はこの冴えない魔族の側近の騎士だなんて。はあはあ…もう、私はタケル様にぞっこんラブですわぁ!」


カイン…ご愁傷様。


―――――――――

いつまでも城門の前でだべっていてもキリが無いので、オウガとニョローンと、ピンキー…さらにその付き人の虎人族の女魔族と、狼人族の女魔族を城内に案内する。

オウガの案内はブルータスとシャッキが、ニョローンは荒神を見た瞬間に蛇の姿に戻って完全に忠誠を誓い、同じところに住むのは失礼にあたると固辞したため、こいつの為だけに離れを一つ用意した。

そっちのがよっぽど手間で迷惑だとは思わなかったのだろうか。

ついでに、ハクとコウも赤子とそこに住ませる事にした。


ちなみにピンキーにはボクッコを当てようと思ったが、カインか辰子以外いやだと言って聞かないので、辰子にお願いすることにした。


「それにしても、本当に出鱈目っす!なんすかこの城…てか、この城の方が俺より強いんじゃないっすか?」


他の四天王に比べて、魔力を読むことに長けているようですぐにマヨヒガが、自立型の屋敷型魔族だと気付いてもらす。

マヨヒガも認めて貰えて嬉しいようで、ブルッと震えてキーンという家鳴りを鳴らす。

あちこちから、ヒッ!とかうわっ!という小さな悲鳴が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。


「ああ、そうだな…この館の中で俺や荒神、辰子に逆らったら間違いなくマヨヒガの栄養にされると思った方が良い」

「えっ?自分は?」


今言ったメンバーの中に自分が含まれていない事がちょっと引っかかったらしく、カインが何か言っているがしょうがない。

だってカインなんだもん。


「ハハハ、その3人に逆らおうなんて誰も思わないっすよ」

「えっ?自分は?」


またもや、オウガの答えの中に自分が含まれていない事が引っかかったらしいカインが、自分を指さしてアピールしてくるがしょうがない。

たってカインなんだもん。


―――――――――

3時間後…どうしてこうなった…


大広間に全員を招待して、宴を開こうと思っていたら突然ピンキーが俺の前に跪いて、頭が畳に擦りつけている。


「申し訳ありませんでしたー!」


ん?まあ、この城の事を知れば知る程、俺の凄さが分かるって事だろうが、この掌返しはそれだけじゃない気がするな。

カインの方をチラリと見るが、慌てて首を振って自分じゃないアピールをしている。


「えっと?どうしたのこの子?」


俺が困った表情で、同僚のブルータス、シャッキ、オウガに視線を送るが全員が分からないといった表情を浮かべ、スッと目線を外してくる。

流石同僚…仲が良くてうらやましいなおいっ!


「まさか、タナカ様がこの超絶天才美少女の辰子様の父上とは存じ上げずに、失礼な物言いを…平に平にご容赦を!タナカ様の許しを得ない事には、辰子様が仲良くしてくださらないのです」


あっ、察し…

辰子の方を見ると素敵な笑顔でこっちを見てサムズアップしているが、余計なお世話だと言いたい。

まあ、可愛い我が子が、俺のために取り計らってくれたくれた事だ、無碍には出来ないな。


「ああ、別に良いよ。気にしてないから」

「さ…流石、アブソリュートプリチープリンセス辰子様のパパですわ!なんて広い懐の持ち主なんでしょう」


俺の許しを得た事で、感動したピンキーが目を潤ませているが一つだけはっきりと言える事がある。

彼女を人間の住む区域には絶対に近づけてはいけない。

あそこには、着物を着た子供達しかいないが…綺麗にして着物を着た子供達はとっても可愛いかった。

そんなところに彼女が訪れたらと思うと、寒気が襲ってくる。


「相変わらずですねピンキーさん」

「キャー!キングオブビューティオーガのオウキちゃんじゃなーい!貴女もここに住んでたのね!…はっ、もしかしてここが天国DE・SU・KA?」


理解出来ない言葉が色々と飛び出してきたが…なんだろう?耳だけ状態異常にでもなったか?

おかしいな、完全状態異常無効なはずなのに、若干混乱のバッドステータスも発生していそうだ。


「おう、マイスイートプリンセスのオウキか!相変わらず美人で、お兄ちゃん他人になりたいわ!そして、結婚したいぜ」

「もう、兄様ったら…先週お会いしたばかりですわ」


…?

あー、あー、あー…

えっ?ん?

やばい、これガチの混乱って奴か?

と思っていたら、荒神が俺の肩を軽く叩く。


「安心してください、鬼族の同族に対する美的センスは、他の魔族には理解できません。同族以外の種族に対する審美眼は標準的なのですが…どうも同族の場合には私達に理解しがたいフィルターが掛かるようです」


荒神の説明にホッと胸を撫で下ろす。

てっきり俺がおかしくなったのかと思ったわ。

それから、その後宴が終わったあとは、当然のようにオウガもピンキーも俺の忠実な僕と化したわ。


キリがいいところまで来たので、しばらく閑話と日常回をネタを考えながら投稿します。

ブクマ、評価、感想頂けると幸せです。

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新作更新始めました!
(仮)邪神の左手 善神の右手
宜しくお願いしますm(__)m
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