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七英雄と龍神と田中 中編

ちょっと時間が無いので、中途半端ですが上げます。

進行回本当に苦手です。

「さてと…本当にお館様は見てるだけなんですね」


ジョンが大きな扉の前で溜息を吐いているが知らん。

頑張れ!

さてと8人が立っているのは、この街の領主の館の扉の前だ。

オウガではなく、その側近の蛇族のニョローンという魔族の館らしい。

良くも悪くも、気力が無く統治もほぼ部下に丸投げという状態らしい。


中々に優秀な部下が多いらしく、実質的に運営自体に大きな問題は起こっていないようだが、時々ニョローンが人を食べたいなんてことを抜かして居るらしく、その毒牙に掛かった人間はすでに100人は超えているとのことだ。

といっても、一度食べるとしばらくは満足らしく、1ヶ月から長いときは半年は不要らしいが…まあ、ぬっ殺し対象確定だな。

7人もその話を聞いた事があるらしく、緊張しているらしい。

まあ、そうだろうな。

オウガの側近というくらいだから、ピッグよりは強いはずだ。

ポークと同等かそれ以上だろうな。

まあ、この装備ならポークと戦っても遅れは取らないだろう。


「失礼しまーす…うわっ!」


遠慮がちにトミーが扉を開くと、いきなり剣が振り下ろされる。

すぐに扉を閉めて、難を逃れたようだが剣が扉に激しくぶつかる音がする。


「やばい…リザードマンがわんさか居て気持ち悪い」

「私爬虫類苦手…」

「ん?でも荒神様も蛇だよね?」

「あの人は特別…蛇神様だし、イケメンだから」


フランシスカは爬虫類が苦手なのか…その割には荒神にいつもべったりのようだが。

大蛇形態の荒神を見ても、羨望の眼差しを向けていた癖にどの口が言っているのやら。


「取りあえず3人で逝って来たら?」

「レベッカ…さっきからそればっかりじゃん」


レベッカの言葉にあからさまにマイケルが不満を漏らしているが、無言で睨まれてそのまま押し黙ってしまった。

どこの世界も女が強いのか…


「じゃあ、覚悟を決めていきますか!」


ジョンがそう言って武器を構えると、扉を一気に蹴破って中に突入する。

即座に反応した数人のリザードマン達が剣を振るうが、マイケルがフランシスカ…斧の方ね…をジョンの後ろから投げて戦闘の1体を倒すと、ジョンがその脇に居た2体を切り伏せる。

それからすぐに、倒れたリザードマンの額からフランシスカを抜いてマイケルに投げると、その間にトミーが大量の岩の礫を造り出してロビーに放つ。

この時点で、残りのリザードマンは2体。

すでに戦意は完全に喪失しているようだ。


その2体が武器を捨てて慌てて階段を駆け上がるのを見届けると、3人が他の5人に手招きをする。

全員が中に入ったところで、階上の扉が開く音がして上からでかい塊が二つほど降って来る。

全員が視線をそちらに向けると、不自然に首がへし折れたリザードマン達だ。

といっても、蛇の細かい顔の違いを見分けられる訳もなく、それが先ほどのものと同じ個体かは分からないが、恐らくそうだろう。


「はぁぁぁぁ…面倒くせー」


それから面倒くさそうな声が聞こえると、長身の男が現れる。

その目は蛇の目のように細く鋭く、また細長い舌をチロチロと出し入れしている。

こいつが、ニョローンか…名前の割に綺麗な顔をしているじゃないか。

まあ、化粧もしているみたいだし、ちょっとカマ臭いというか…なんていうかパンクの人?っぽいかな?


「よっと」


それから一気に二階から飛び降りると、8人を見渡す。

そして、辰子のところで視線がとまる。


「駄目じゃん…これ、俺勝ち目無くね?」


それから小声でボソッとつぶやくと、また二階に飛び上がる。

何しに降りて来たんだ?


「ムーリー!悪いけど、逃がしてもらってもいいかな?ダメって言われても逃げるけどさ」


それから、奥の部屋まで一足で飛び込むと、転移の魔力が発動するのを感じる。

ああ、そこに脱出用の魔法陣を組んでいたのか。

魔法陣無しで、転移も出来ないようじゃ大した事なさそうだな。

転移の魔法が発動する瞬間、俺は背後に転移してニョローンを後ろから蹴飛ばして魔法陣の外に吹き飛ばす。


「駄目だよ逃げちゃ。これからお前にはあの7人を鍛えるための糧になってもらうんだからさ」


いきなり蹴飛ばさた事で、状況を理解できていないのか、間抜け面でこっちを指差して口をパクパクさせている。


「えっ?誰?いきなりどこから出て来たの?」


五月蠅い奴だな。

良いからとっとと、やられてこいって。

俺は、ニョローンの顔を掴んで2階から投げ飛ばす。

さっきのリザードマンと同じ状態で、間抜けな姿を晒すかと思いきや空中で1回転して上手に着地する。

あらやだ、意外とやる子じゃん。


「ん?なんで戻って来たの?」


辰子がニョローンの目の前まで歩いていって、見上げている。


「おい辰子、お前は手を出すな。そこの7人でこいつを倒してもらおうと思ってな」

「えっ?ちょっと、勝手に何を?」


俺が2階の手すりから顔を覗けて声を掛けると、全員が驚いた表情をしている。

ニョローンがこっちを見上げて何やら言っているが、取りあえず睨み付けておいた。


「えっと、本当にそこの龍のお嬢ちゃんは手を出さないんですか?」

「ねえ、パパ!私は見てるだけで良いの?」

「ああ、手を出させないさ。7人に勝つ事が出来たら、お前を逃がしてやろう。殺しても大丈夫だからな?復活させるから」


俺の言葉に、ニョローンがニヤリとイヤらしい表情を浮かべる。


「ちょっ!お館様殺しても大丈夫って!そんなわけないでしょう!」

「あの人絶対頭おかしい。おかしいって…可愛い国民を殺して大丈夫とか何言ってんの?」

「あー…でも、お館様の回復魔法って異常だからねー…確かに死んでも大丈夫かも」

「いや、レベッカ…死んでも生き返るからって、死んで良いわけでも殺して良いわけからね?」

「最後に生きて立っていた方が勝ち!だから問題無いんじゃない」

「うん、フランシスカも良い感じにおかしいわ」

「まあ、私たちは後ろだもんねエルザ?」

「ジェシカ…私もう帰りたい」


7人が口々に喚いているが、強化のために連れて来たんだからちっちゃな事を気にするな。

それに、装備だって超一流の神話級の装備ばかりなんだから、大丈夫だっつーに。


「あのさー…それ以上ごねると、その装備…没収するよ?」

「ははは!そこの蛇野郎!とっとと掛かって来い」

「俺のこの斧が、お前を殺せと囁いている」

「ふん、土の棺で未来永劫眠るが良い」

「私の極大合成魔法でお前は塵すら……………残さない!」

「私とジェシカで!」

「貴方はハリネズミになる運命みたいね!」

「死んだら、ちゃんと浄化しますのでご安心を」


途端に7人がやる気マンマンになっている。

フランシスカの溜めもどうかと思うが、エルザとジェシカの息のあった決め台詞もイタイな。

カインもだったが、この世界の人間というのは力を手にしたら皆中二に戻るのだろうか?


「ふふん!オウガ様の右腕と呼ばれた僕を嘗めないでもらいたいね…そこの2人と比べて、あまりにも貴方達は弱すぎる。装備頼みといってもってうわっ!」


ニョローンが喋っている途中だというのに、マイケルがフランシスカを投げつけた為慌てて身をかがめる。

しかもフランシスカがちゃんと円の軌道を描いてマイケルの手元に返って来ている様には少し驚いた。


「喋っている途中で、攻撃してくるとは!これだから人間は野蛮でってちょ!」

「人を食ってる奴に、野蛮呼ばわりとは心外だな」


ジョンが足に身体強化を掛けて、一気に間合いを詰めて斬りかかるのを間一髪、身をくねらせて避ける。


「足元がお留守ですよ?」


次の瞬間、地面から土の顎が現れてニョローンに喰らい付こうとする。

それも土の顎の先を蹴って上空に避難することで逃れる。


「空中で避けられますか?」

「この1000の矢が!」


さらに、そこに向けてエルザとジェシカが高速で矢を番えて放っていく。

流石にこれは躱しきれずに、咄嗟に手を交差して受ける事を選択したみたいだが、前半分がハリネズミみたいになっている。


「やった!」

「美味しいとこ頂き!」


全弾命中させてはしゃぐ2人を、戦闘向けじゃないレベッカ以外の4人が恨めしそうに見ている。


「くそがぁ!嘗めるなぁぁぁぁぁ!」


次の瞬間に魔力が弾けたかと思うと、ニョローンに刺さっていた矢が8人に向かって飛んでいく。


「嘗めてませんけど?」


しかし、すぐにトミーが土の壁を作り出して、それを全て防ぐ。


「まさか人間相手に、人化を解くことになるとは…な?」


人化を解いて、巨大な蛇に変化したニョローンが、大量の汗をかき始める。

蛇って汗腺無いから汗かかないはずなんだけどね。


「今さ…私にも攻撃した?」


見ると辰子が怒気を顕わにしてニョローンの背後から、首に手を当てている。

いや、まあ一緒に居たらそうなるよね?

それはいくらなんでも、乱暴じゃないかなー?

なんて事を思っていたら、ニョローンが慌てて人化して辰子に土下座している。


「申し訳ありません。ちょっとあの状況でお嬢様だけを避けて矢を弾き返すのは流石にちょっと」

「私なら矢に魔力を纏わせて、簡単に対象のみに向けられるけど?さらに言うと、パパなら矢を転移させて相手の身体に直接埋め込むと思う」


凄く冷たい声で言っているが、普通はそんな事むりだけどな?

100本近い矢全てに魔力を込めて操るなんて、俺とお前と…あとは絶倫あたりくらいしか出来ないと思うぞ。


「そ…それは自身の未熟さを棚にあげ、大変お見苦しい言い訳を致しました…その、出来ればあちらの男性の魔人様の傍で見学をしていただけると、もう少しやりやすいのですが」


とうとう、土下座して地面の1点を見つめたまま祈るような想いで声を絞り出しているのが分かって可哀想になってくる。


「おい、辰子そのくらいしてやれ。そこの魔族程度じゃ無理な相談だ。俺と辰子は特別だからな?」


俺の言葉に、辰子がハッとした表情を浮かべニヘラとしただらしない顔になる。


「そっかー、私はパパと一緒で特別なんだね?」


一瞬で地面を蹴って、俺の横までくると俺の抱き着いて来て見上げてくる。

うん、可愛いな。


「ごめんね!蛇さん!蛇さんじゃ無理だよねー?もう邪魔しないから、頑張って殺されてね」


うん、その言葉の掛け方もどうかと思うけどな。


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(仮)邪神の左手 善神の右手
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