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2話

 腕輪を手にいれた圭は1日中、飛突剣を投げる練習をしていた。その結果、翌日・・・



「痛い・・・これは筋肉痛だな」


 腕をさすりながら起き上がり、軽くストレッチをして体をほぐす。


 異世界に来て3日。この建物から出て、食料や人を探す予定だ。水は建物内に驚くほど綺麗なのが流れ続ける場所があったので利用している。


 外に出ると建物の周りは高い木が生えていた。草も生い茂り、この建物に人がほとんど来ていないのがよくわかる。


 早速、両手に飛突剣を一本づつ出し、草を刈り取りながら進む。


「あっ!木の実発見」


 木の上に生っていた赤いリンゴのような果実に向けて右手の飛突剣を投げる。

 多少痛みはあるが、練習の成果か、腕輪から流れた情報のおかげか定かではないが格段に投擲が上手くなっており、狙い通り果実の上に当たり落下した。


 その果実は見た目通り、リンゴの味がした。

 何個か同じように取り、建物に戻った。すると建物から人の話し声が聞こえてきた。

 人が居る事に喜びつつ、警戒を高め、音を発てないように近付いていく。


「これが、選武せんぶの箱か?」


「はい、ご主人様。この箱でその者に適した武器を判別できます。さぁご主人様、一度蓋を閉めて、開けて下さい」


「早く・・・早く・・・」


 人は3人のようで、男1人女2人だった。

 遠くて分かりにくいが男は黒髪で、胸当てをして腰に剣を刺している。女の1人は黒いローブを身に付けた背の低い子と、金髪の綺麗な剣士風の女性だった。


 男が蓋を開けると、圭の時と同じように光輝き、一本の刀が箱の上に浮いていた。


「凄いですご主人様。これは刀という剣ですね。宝物庫にも先代の勇者が残した刀が有りました。早速城に戻りましょう」


 金髪剣士が刀そっちのけで男の腕を掴み出て行こうとする。


「ま、待ってエリナ。この刀はどうするんだ?見た目は普通だが、Lvも有るみたいだから強いんじゃないのか?」


「確かにLvがある武器はこの選武の箱からだけですが、Lvの上がる条件が全て違い、1つ上がるのも稀です。歴史上最高はLv3まで上げた者がいたそうですが、見た目も材質も変わらないので持ち続ける意味がありません。この刀ならばLvは無いですが、ドワーフなら造る事が出来るでしょう。なので、この箱では自身に合った武器を確かめる為の物です」


「そ、そうなんだ・・・。うんエリナがそう言うなら帰ろう。ルナ、いくぞ」


「・・・うん」


 3人は足早に外に出るとローブの少女が小さな玉を取り出し地面に叩き付けた。すると3人は丸い光の繭に包まれて空に飛んで行った。


 圭は帰る3人に話し掛けよとしたが、出ると同時に繭に包まれたので異世界初のコンタクトは上手くいかなかった。





◇◇◇

「なんでそんなに急いで帰ってきたんだ?貴重な魔法玉まで使って」


 黒髪の青年は王都の道を歩きながら両隣に居る女の子達に聞いた。するとルナが答えた。


「・・・人食いの森」


「人食いの森?えっ?でもあそこは選武の森って言わなかったか?」


 それに答えたのはエリナだった。


「はい。正式名は選武の森ですが、別名で人食いの森とも呼ばれています」


「禍禍しいな。何か有ったのか?動物もいなかったし、静かな森だとは思ったが」


「あの森では人が消えるのです。あの建物も100年前まで人住んでいたのですが、突如全員が一晩で消えました。そして、建物も今のように崩れてしまいました。原因はいまだにわかっておらず、調査に出た人もあの森で消えてしまいました。それ以降、あの森にはあまり人は近付かなくなりました。今回はご主人様の適正武器を調べる為に短時間で奥まで行きました。ですが、やはりご主人様に何かあれば大変なのでルナに帰還の玉を使って頂きました」


「そうだったのか、エリナも怖かったのか?」


 青年はニヤニヤしながらエリナに問い掛けた。それに顔を赤らめて答えた。


「わ、私にだって怖い物はあります。ご主人様は私を何だと思っているのですか」


「エリナは可愛い女の子だよ。もちろんルナもな」


「・・・嬉しい」


「ご主人様はズルいです」


 そんな会話をしながら3人は人混みに消えていった。圭が彼らに再び会うのはまだ先の事。

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