二話……死霊の慟哭
楽しんでいただけましたら嬉しいです。
それはまるで地獄絵図を実写化したような光景。
精神が毒気に蝕まれそうな……思わず喉が詰まる。
美少女転校生がやってきて一ヶ月目、三時間目の授業。
保健委員だったボクは授業中にコケて膝小僧を擦りむいた同級生のために体育館から保健室に赤チンを取りに行くために旧校舎の第一保健室に向かっていたが生理現象に勝てずにトイレに寄り道レッツゴー!。
外からは人の気配を感じない旧校舎のトイレに駆け込んだ。
誰もいないはずのトイレ、いや誰もいないと言う言葉は間違えだ、異様さが際立っていた。
累々と横たわる生徒……ある者は腹わたから蛆虫が湧き出ている、ある者は皮膚が青白く血抜きをされたように干からびている。
血なまぐさく、そして腐乱臭が漂うトイレに嗅覚どころか意識までもが飛んでしまいそうになる。
こ、これは、ドッキリじゃないよな……脳みそがまともに働かない。
「……あっ」
震える手足……ボクは見てしまった。
洋式トイレから顔半分だけ見せる人影と目が合ってしまう。
「だ、誰……?」
こわい、こわい、こわい……こんな荒唐無稽な恐怖から逃げ出したいボクの気持ちを代弁する言葉が唇から漏れる。
「虐める……あたしを虐める?」
「絶対にいじめない! いじめません! いじめません!」
明確な殺気……驚愕し続けているボクは恐怖を押し殺すように大仰に首を横に振って敵対の意思がないことを全力アピール。
張り詰めた緊張感、『殺される』かもという極度のストレス状態。
「あたしを虐めないんだ」
人影はそう呟くと酷くおぞましいトイレの光景がいつもの風景に変わっていく。
「もう少し……あいつが来る……あたしを虐めたあいつが来る」
その毒気をおびた声が脳内に響くとボクの意識は無条件に刈られた。
――むちゃくちゃにしたあたしを……魂も捧げたあたしを……ずっとそばに居てくれるって言ったのに――
いかがでしたか?
あまり怖くないように恐怖は薄めにしてあります(☆∀☆)