一話……出逢い……そして慟哭
一話目です(☆∀☆)
幼少期に聞いてしまった話……心のどこかでひっかかり……。
星霜だけ過ぎ去っても、消化不良のまま頭の片隅を陣取っていた。
ボクが母のお腹の中で誕生するよりも昔の話。
幼き母が一番懐いていた、いつも、いつも、びったりと離れなかった親戚のおねえちゃんが疾走……そう、学校で神隠しにあったと語り継がれる事件。
全国のテレビニュースで毎日のように取り上げられ、神隠しや人拐い……はたまた、変態志向のマッドサイエンティストに捕まって人体実験などと、いい加減な噂が流れたあの事件。
あの40年前の事件で一躍有名になった学園にボクは在籍していた。
「今日からこのクラスに新しい仲間が増えることになった、入ってきなさい」
ボクの思考をかき消す独身歴35年、体育会系の先生のドラ声。
まったく品のないどら声は某ゴ○ラの雄叫びではないか!? と思えるほど体育会系の流派を組む威圧型兵器だ。
ボクは興味なさげに窓の外に広がる校庭に顔を向けようとすると。
おおおーっ! とクラスが男共の声がビックウェーブの如く湧き上がる。
「すげぇーっ、可愛い子が入ってきたぞ」
「天使ちゃん! 下界におりた眉目秀麗黒髪萌えの天使ちゃんだ!」
「もう、転校生に見つめられただけでどんぶり飯五杯はいけるでごわす!」
お前ら変態かーっ!?
教室の扉を開けて入ってきた転校生の女の子にバカな男子生徒たちが鼻の下が伸びきって巻き寿司でも巻けるのでは!? と思える程のだらしない指数が鰻のぼりだ。
騒がしくなった教室に入ってくる転校生の女の子。
どんな角度から見ても美がつく少女……もう高嶺の花、カースト制度があれば頂点とれそうなレベルだ。
引き締まった表情に知性を感じる美少女だけど……ボクとは住む世界が違う気がする。
そう、ボクの第六感が転校生の女の子に近づくな! と警鐘をならす。
「皆さん、はじめまして。こちらのクラスに転入してきました黒田美樹といいます。こちらの学校に来るのは久しぶりなのでよろしくお願いします」
教壇上で堂々とした自己紹介、美少女転校生のしなやかでバランスのとれた肢体を包む一点の乱れ見ないブレザー姿にクラスの男子だけではなく女子も瞠目してしまう。
「とりあえず、佐々木のとなりでよいだろう」
先生が放つ水素爆弾級の破壊力……佐々木……それはボクの苗字。
フルネームは佐々木良介、そう先生は窓際の一番後ろに陣取る僕のとなりを指名したのだ。
興奮マックス! 賑やかすぎた教室が示し合わせたようにシーンと静まり返る。
クラスの男共が納得のいかないとばかりに怒りを込めあげた視線がボクを貫きつくす!
そして、一部の百合を愛する女子たちからは猫又の如く『百年は呪い尽くす』と言わんばかりのメデューサの瞳クラスの眼圧をぶつけてくる。
そんなボクに超絶美少女は引き締まった口元をクイッとあげて、涼しげな眼差しでクラスを見回す。
「佐々木君……佐々木良介君だよね」
黒田さんはニッコリはにかむ。
「守ってあげるから……ね」
ううーん、黒田さん『守ってあげるね』って意味わからねーし……って、もしかして今のこの状況からでしょうか。
楽しんでいただけましたら嬉しいです。
次話より恐怖体験がはじまります(☆∀☆)