第233話 運搬法考案
爆弾製造の目途が立ち、ヨシュアとマリア、それにペラを加えて一日20個の投擲弾を作ってもらうことにした。一日分の材料を俺が二人に渡し、でき上がった投擲弾を俺が収納する。
「アスカ、投擲弾の威力は相当あるようだけど、うまくゴーレム当てないとマズいし、手前で爆発すると危険だろ? そこを何とかしたいな」
「練習するしかありません。爆弾の数はそんなに作れませんから、練習用のダミーの爆弾と、爆発時間別の的でも作ってみましょう」
「爆発時間別の的?」
「振りかぶって放物線状に爆弾を投げつけて5秒で到達できる距離に的を置いて、そこにうまくダミーの爆弾が当たるよう練習すればいいと思います。
5秒で慣れたら、4秒、3秒と実際の戦闘距離になるように短めに調整していきます。あと、爆発から自分たちを守るために持たせる盾はある程度大型のものにした方がいいかもしれません。
投擲したら、爆風が後ろに逃げるように盾を斜めにかぶせるようにして、腰をおとして構えるとか工夫をしていけばおそらく問題ないでしょう」
「なるほどそうだな。そこらへんはそれで何とかなるとして、後は、たおしたゴーレムの運搬だよな。なにせこんどのゴーレムは鉄気だから相当重たいぞ。四人でも、ヘマタイト・ゴーレム一体分を運ぶのは大変だと思うぞ」
「そうですね。なにかいい運搬方法があればいいんですが。ヘマタイトでも持った感じでは比重が5程度ありましたから、おそらくヘマタイト・ゴーレム一体は1トン程度の重さがあります」
「四人だと、一人250キロか。それじゃあとてもじゃないが持てないな。つくづく俺の収納はチートだ。アイテム・バッグが安く手に入ればだいぶ楽になるんだが、あれってそれなりに高いものなんだろ?」
「容量などによってピンキリなんでしょうが、そもそも出回っていないようです」
「そうか、それじゃあ、しかたないのか。うーん。ところで、赤鉄鉱は売ってどの程度の値がつくのかな?」
「相場物でしょうから、はっきりした値段は分かりませんが、鉄が1キロ、大銅貨1枚と銅貨5枚ほどだったと思いますから、ヘマタイトの三分の二が鉄として、精鉄費を引いて銅貨5枚ほどにはなると思います」
「となると、魔石は別として、ヘマタイト・ゴーレム一体たおすと、1トンで、1キロの1000倍だから小金貨5枚か。四人で経費を除いて一人小金貨1枚。そんなに悪くないな」
「十分食べていけますし、装備を更新しながらでもそれなりの蓄えも可能な金額だと思います」
「ますます、運搬手段を考えないといけないな」
「『鉄の迷宮』の床はきれいな石畳でしたので、四輪の人力車でも作ってみますか?」
「人力車か。1トンものゴーレムを乗せて、人力で動かせるかな? できたとしてもダンジョンの階段が厳しいよな」
「軸受けがちゃんとした車なら1トン程度の荷重は二人がかりで押すなり引くなりすれば余裕で動かせると思います。
人力車では階段の移動はできませんから、2層以下は思い切って諦めて訓練には1層だけですませましょう。それでも二体のゴーレム相手ですし、どうせ、ダンジョンに挑戦するのは訓練生だけですので、マスターがダンジョンマスター権限でゴーレムの出現数を調節してしまってもいいと思います」
「そうだな、最初の出現数はゴーレム一体じゃないとマズいよな。二体たおしても持って帰れるか分からないし。あとは、コアに余裕があれば1層をもうすこし広げてみるか。あれだと少し狭いからな」
「いまはまだ、ダンジョンポイントの余裕はないでしょうから、徐々にですね。今度行ったときにでも、マスターがコアに魔力を供給してやればダンジョンポイントが増えるかも知れません」
「そうなのか? 知らなかった」
「魔力からダンジョンポイントへの変換効率がどの程度かは分かりませんが多分できるはずです」
「ふーん。今度行ったらやってみるか、いくらかでも1層が充実した方がいいからな。ところでコアはダンジョンポイントをどうやって手に入れているんだろ?」
「おそらくですが、自然増加分に加え外部からの侵入者が内部で活動することでポイントが増えるのではないかと思います」
「まさに謎だな。だからダンジョンなんだろうけどな。そういったものだと思っておくしかないな。今日はもうしなければいけないこともないから、アスカがさっき言ってた四輪車でも考えてみよう」
「試しに一台作ってみますか。作ってみて不具合などを改めて行けばいいものができるでしょうし」
「楽しみだな。もしも、四輪車がうまくいったとして、坑口からダンジョンの出入り口までが斜坑になっててあそこはさすがに登れないだろう? 坑口のところまで、ダンジョンの出入り口を移した方がいいな。四輪車が楽に移動できるよう坑口周辺も舗装しておいたほうが良さそうだ。まだまだやることはあるな」




