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真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?  作者: 山口遊子


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211/241

第211話 リバーシ再戦?


 上甲板(じょうかんぱん)のキャビン内では、めいめい相手を見つけてリバーシの対戦が始まった。



「お待たせしました」


 木製のティーカップと皿を人数分()せたお盆を持つミラ(姉)とティーポッド二つを片手に一つずつ持つソフィア(妹)が下のキッチンから帰って来た。手に荷物をもって階段をのぼってくるので、いい判断だ。すぐにヨシュアとシャーリーが気付いて手伝っていた。


 上甲板のキャビンスペースは、下の第二甲板のキャビンスペースと比べだいぶ狭いので、キッチンは下の第二甲板のキャビンスペースに作ったのだが、物を持っての階段の上り下りは少し危険だ。俺が収納で運ぶのなら何も問題ないが、なにか出前用の箱のような物か、台所からそういったものを直接上げ下げできる仕組みがあれば便利だ。あとでアスカに検討してもらおう。


 みんなにお茶が回ったところで、ソフィアがアスカのいるブリッジにお茶を1セット運ぼうとしたので、それをとめて、俺がアスカのところに持っていくことにした。まあ、お茶の入ったカップと受け皿を収納してしまうだけなので、大した手間ではない。みんなもいつも見慣れている光景なので驚きはしない。


 階段を上ってブリッジに入り、


「はい、アスカ。お茶を持ってきた」


 そういって、手のひらに取り出したお茶の入ったティーカップを受け皿ごとアスカに渡した。


「ありがとうございます」


 アスカに先ほどのキッチンの件を伝えたら、


「そうですね、上甲板の居間にしているキャビンの床をくり抜いて、キッチンに繋げてしまいましょう。そこに木で作ったレールを上から下に固定して、滑車(かっしゃ)で吊るした箱をレールに沿って上下するようにすればいいと思います。明日にでも作ってしまいましょう」


「さすがはアスカだな。それでどう? 雨の具合は?」


「なかなかみそうにありません」


「しかたないな。最悪、4、5時間()まなくても、俺の収納の中には食べ物はたくさん入っているからな」


「みんなは、リバーシを始めたようですが、マスターはリバーシはしなくていいんですか?」


「誰かさんのせいで、軽いトラウマがあるからな」


「トラウマを克服(こくふく)するためには、まず勝つことだと思います」


「勝つといっても、アスカには勝てないだろ」


「それは、当然です」


 さいですか。きっぱり、ばっさり言われちゃったよ。そうさ、俺はパーフェクト負けの男だよ。


「それじゃあ、トラウマが克服できないじゃないか」


「とりあえず、前回トーナメントに参加していなくて実力の分からないソフィアと対戦してみてはどうです? おそらく姉のミラよりは弱そうですから」


「弱いところから少しずつ上を目指していくわけだな。うーん、ちょっと偵察(ていさつ)してほんとに弱そうなら、対戦してみようかな」


「強きにおもねり、弱きを攻める。これぞ、兵法ひょうほうの基本です」


「基本かどうかは分からないが、一理(いちり)あるよな。『おのれを知り敵を知れば百戦危(ひゃくせんあや)うからず』だったか? それじゃあ偵察してくるか」


「マスターがリバーシで勝とうが負けようが誰も気にしませんから大丈夫です。リバーシが弱いのは、もはやマスターのアイデンティーですから」


 えらい言われようだ。しかしこれも、アスカの愛のムチに違いない。とでも思っておこう。


 確かに、前回アスカとリバーシで対戦した時、相手の実力など何も考えず、手加減無用(てかげんむよう)などと、とんでもないことを言ってしまったが、これからはそのような()は決しておかすまい。賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶのだ。待てよ、俺の場合は経験に学んだのか。と言うことは、俺って? たかだか遊びじゃないか。気にしない、気にしない。



 俺はアスカのいるブリッジを後にして、みんなのいる上甲板のキャビンに()りていった。みんな対戦相手を見つけて、だいぶゲームは進んでいるようだ。


 キャビンの窓の外は相変わらずの雨で()む気配はないが、風が出ていないので問題はないだろう。



 アスカの言っていた『ソフィア弱い?説』を確かめるべく、姉のミラと対戦中のソフィアの後ろに回り、ゲームを観察してみる。


 おっ。アスカのいう通り、ソフィアはあまり強くないのかもしれない。これなら俺でもいけるか?


 ソフィア、そこに打っちゃだめだ! あ、やっちゃった。……あれ? 結局そこでよかったのか?


 またっ! あれれ、なかなかいい手だな。


 ……、あー。30対34か。ぎりぎり惜しい。


 全然ソフィア弱くないじゃないか。ちょっと、ソフィアとの対戦は厳しそうだ。


「ショウタさま、ソフィアと対戦しませんか?」。ミラに勧められてしまった。


「いや、俺はいいから、みんなで楽しんでくれ」。フー。回避(かいひ)成功!


 今はまだ勝てそうにない。今はな!


 俺の対戦候補はやはり若年(じゃくねん)のラッティー一択(いったく)だな。


 どれどれ、ラッティーは前回優勝者のヨシュアと対戦中だな。


 あれ、いい線行ってるんじゃないか? まあ、最後には大きくヨシュアが勝ってしまうんだろうが、ヨシュアが貫禄(かんろく)で接戦を演じてるのか?


 ラッティー、そこ置いちゃダメだ。ほらな。今度はそこ?


 ……、あれ? ヨシュアが打てる場所が無くなっちゃった? ラッティーが前回優勝者のヨシュアに勝っちゃったよ。それも大差で。


 やっぱり俺は、アスカと駄弁だべっておこう。これは戦略的転進(てんしん)というのだ。




「マスター、試合をしなかったようですがいかがしました?」


「誰が相手でも勝てる気がしない。こっちに転進してきた」


「そうでしたか。まあ、リバーシがどれほど()()()()それでどうなるわけではありませんから安心してください」


 普通は、どれほど()()()()って話なんだろうけどな。悪かったよ。


「もちろん弱いことが悪いわけではありませんから」


 悪くはなかったようだ。



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