第36話「疲労感」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
「・・・メ・・・きて・・・」
何か聞こえる。でも、動く気が全く起きない。
もっと、安らかな感じに身を委ねていたい。
そんな意思とは裏腹に意識は覚醒していく。
「カナメ!起きて!起きてよ!」
目を開けたら、リーネがいた。正直もっと寝ていたい。昨日の遠征の疲労感が抜けていないんだ。なんとか気合で身体を起こす。
「う~ん。どうしたのさ。リーネ。」
「起きた・・・やっと、起きた。」
え?なにこれ?リーネが泣きそうになってる。って言うか、僕に抱き着いて泣き出してしまった。
「うわーん!良かった!良かったよぅ。」
「え?何?何がなんだか。」
わからない。周りを見ると他の孤児達とユミル先生も一緒だ。
何だ何だ?何があったんだ?
「こんな朝から何なの?」
そう聞いたら、ユミル先生が答えてくれる。
「カナメ君。朝じゃありません。もう、夕方ですよ。」
「え!?」
そういえば、日の光がいつもと違う。夕方?マジで!?僕もしかして、下手したら18時間とか寝てたのか?
「今日のカナメはめっちゃ寝坊助だな!」
ディエがいじってくるけど、全然反応できない。まだ、目覚めて意識がはっきりしてない。
「いくら呼びかけても起きなくて・・・もう目が覚めなくなっちゃったかと思ったよ。」
リーネが泣いている。こんな泣かれるとは思ってなかったかも。
「ごめんね。リーネ。本当に心配かけた。」
「うん。」
なんとかリーネを落ち着かせる。
「とりあえず、布団をしまっちゃおうか。後、お腹空いたかも。」
「おいおい。布団しまっても、すぐ出すことになるぞ。」
「まぁまぁ。好きにさせてあげようじゃないか。」
ローレンがフォローしようとしてるみたいだけど、フォローになってない。
「ユミル先生。ごめんなさい。思った以上に疲れてまして。」
「しょうがありませんね。カナメ君。とりあえず、お布団をしまって食事にしましょう。」
ユミル先生が話を纏めてくれた。
「はい。リーネ。手伝ってもらっていいかな?」
「うん。」
一旦、お布団をしまって、リーネと一緒に夕飯を食べる。
全然食欲がわかない。なんなら、まだ疲労感が強いし、正直眠い。
「カナメ。食欲無いの?」
「大丈夫だよ。リーネ。」
心配させてしまった。気合でご飯を食べる。
「ごちそうさまでした。リーネ。お片付けしようか。」
「うん!」
二人で一緒にお片付けしようとしたら、別の子が話掛けてくる。
「カナメ君。疲れてるんだよね?ウチがやってあげようか?」
この子はカミラって女の子。結構年下の女の子だけど、この孤児院の中では活発なほうな子だ。
「ううん。大丈夫。ちゃんとやるよ。ありがとうね。」
「そう?辛かったら、いつでも声かけてね。」
気を使ってくれるのはありがたいね。
でも、お片付けくらいはちゃんとやろう。
なんとか片付けをすませて、就眠の時間になった。さっきしまったお布団をまた出していく。
「カナメ・・・本当に大丈夫?」
「大丈夫さ。ちょっとまだ疲れてるし眠いけどね。」
本当はちょっとじゃないけど、心配させないようにしないと。
お布団に入ったら、リーネが僕のお布団に入ってくる。
疲労感と眠気に勝てず、僕はまた意識を手放した。
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「カナメ!起きて!」
「う~ん。」
今日もリーネに起こされた。まだ疲労感が抜けない。これは結構長引くかもしれない。
「おはよう。リーネ。今時間はどのくらい?」
「もうお昼だよ。カナメ。」
お昼か。昨日よりは早く起きれたな。
「起きるのおっせーな。カナメ。」
ディエが揶揄ってくる。
「うん。どうやら、本当に疲れてるみたいだ。でも、ちゃんと起きるよ。」
「カナメ。私も手伝うよ。」
「リーネ。ありがとう。」
リーネと一緒にお布団を片付ける。
「カナメは寝坊したからな!今日の掃除はカナメがやれよな!」
あの戦いを終えた後の僕には、その子供らしい図々しささえ、どこか眩しく見えた。これが、守るべき日常なんだと思った。
「・・・わかったよ。寝坊したのは事実だしね」
実際寝坊したのは確かだしね。ただ、その言い方はちょっとむっと来るね。
「それじゃあ、まずはご飯食べようか。」
「うん。もうお昼ご飯だけど。」
「俺も行くぜ!」
ディエは笑いながら食堂へ駆けていく。
リーネとディエと一緒に食堂に行き、食事を済ませる。昨日よりは食欲があるな。
「それじゃな!」
食事が終わったら、ディエは飛び出していってしまう。本当に元気な子だな。
「あの子嫌い。いつも何かにつけてカナメに押し付けてる。」
「まぁまぁ。リーネ。僕は気にしていないから。お掃除を手伝ってくれる?」
「うん!」
元気な返事をしてくれる。やっぱり笑ってるリーネが一番可愛い。
リーネと一緒に廊下を掃除しているとカミラがこっちに来た。
「あれ?カナメ君?ディエ君は?」
「ああ。僕が寝坊したから、ディエは僕に掃除を任せたんだ。」
「それ、仕事を押し付けてるだけじゃん。ウチも手伝ってあげるよ。」
「本当に?ありがとうカミラ。良かったね。リーネ。」
「・・・うん。」
なんとなく面白くない感じな返事をする。
あまりカミラと仲良くないのかな?
何はともあれ、3人で掃除を終わらせる。
「終わったね。ありがとうリーネ。カミラもね。」
「かまへんかまへん。それじゃあね。」
そのままカミラはどこか走って行ってしまった。
「リーネは、カミラとは仲良くないの?」
「そういうわけじゃないけど。」
うーん。リーネは他の子とも仲良くしてほしいけど。
「カナメ君。ちょっといいですか?」
ユミル先生が僕の元に来る。
「はい。何でしょう?」
「ちょっとこちらに。」
ユミル先生にリーネと一緒についていく。
ちょっとした保健室みたいな場所に来た。
「昨日はちゃんと診れなかったですからね。上を脱いでください。」
「はい。」
言われた通りに上半身の服を脱いでいく。
「わわ!」
リーネがちょっと恥ずかしそうに顔を赤くしている。
上半身だけなのに、大げさだな。
「カナメ君。そのままですよ。ホーリーヒール。」
ユミル先生が比較的長めに治癒をかけてくれる。
「うん。身体的には大丈夫ですね。でも、これでも疲労感が消えてないですね。」
「はい。正直、まだ疲れてるし、正直眠いです。」
「それは、エーテルで魔力を回復させましたね。しかも、一回じゃなくて、それなりに沢山。」
「ええ。その通りです。」
「それが原因ですね。魔力消費と魔力を強制回復を繰り返すと強烈な疲労感が来ます。でも、良かったです。異常は無いみたいなので。」
なるほど。そういえば、かなり飲んだ。エーテルを、何本も。
気づいたら、ユミル先生がかなりジト目をしている。
「リーネちゃんを泣かせてまで参加した遠征は良い経験になりましたか?」
「ユミル先生。僕を虐めないでくださいよ。」
「カナメ君がいないときのリーネちゃんは見ていられませんでした。私もとても心配しました。」
かなり、責めてくるな。服を着ながらどう答えるか。考える。
「悪かったとは思ってます。でも、いずれ必要になる。そう思ったから、参加しました。」
「・・・」
ユミル先生はため息をつく。
「僕なりに良い経験を出来たと思います。」
「そうですか。あまり心配をかけては駄目ですよ。」
「わかってます。」
これは釘を刺された感じかな。
「はい。次は気を付けてくださいね。」
「ユミル先生ありがとうございます。」
疲労感は無くなってないけど、身体に異常があるわけでは無いってことは分かったから、良かったかな。
そうして、ユミル先生と分かれるとリーネと歩いていると今度は、メラニーとリンダが寄ってきた。
「カナメ君。遠征に行ったんだって!?すごいねー!」
「カナメ君は将来、賞金稼ぎになるの?かっこいいなー!」
女の子二人に言い寄られて悪い気分はしない。
「うーん。正直命の危機もあったから、割りに合うかと言われるとどうだろうね?」
「でも、すごいよ!カナメ君って魔力適正があったんだ。」
「うんうん。うらやましいなー!」
二人して凄い凄いと褒めてくれる。
「むっ。カナメ!あんまりデレデレしないで!」
リーネが手を掴んで引っ張ってきた。
「いや、デレデレはしてないけど。」
「いいじゃん。いつもリーネが独占してるんだから。」
「少しは分け前を頂戴よー。」
「ダメ!」
3人で姦しいとはこのことかな?悪い気はしないけど、リーネが不機嫌になってくるので、ほどほどにしよう。
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その後もリーネと一緒にご飯を食べて。お風呂も入る。いつものルーティーンだ。
今日も早めに寝ることにする。
しばらくこの調子は続くだろう。
ちゃんと起きれるようになったら、魔道ギルドに行こう。
あの場で、一番役に立っていなかったのは、僕だ。
皆、余裕があった。限界だったのは、僕だけだった。
……課題はいくつもある。魔力も、経験も足りない。でも——まずは一つだ。
上空の敵に、届く力。飛び道具が、必要だ。そう考えたところで、限界だった。僕の意識は、そのまま眠りに落ちた。




