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第35話「初めての遠征(下)」

※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。

馬車はゆっくりと動き出した。


馬車の中には僕を含めて6人いる。


僕とアメリア様とエルス様とその他騎士様達だ。


ウィルは別の馬車に乗っている。正直肩身狭いな。


会話も無いし。仕方ない。僕の方から話を振るか。


「アメリア様。今回のワイバーンの討伐ってどんな特徴があるのですか?」


「ん?ああ、そうか。カナメは初めてだったな。改めて説明するか。」


そう言って、アメリア様は姿勢を正して教えてくれる。


「今回の討伐対象は、アストラプスという小型のワイバーンだ。雑食性で畑を荒らす。さらには、人も襲う獰猛なワイバーンだな。個体としてはそんなに大きくはない。成体でも1mぐらいだが、数は多く群れで行動するから、積極的に駆除するに限る。」


そこまで説明して、エルスも乗っかってくる。


「今回は我の領地の北東あたりに丘がある。そのあたりで目撃例が出たのだ。そこで、我々に依頼が出たということさ。」


「そうなんですね。この馬車は、その丘に向かってるのですか?」


「うむ!その通りだ。」


エルスって子は悪い子じゃないと思うのだけど、一々偉そうだな。貴族なんだから、実際偉いだろうけど。


「でも、そこの丘に目撃例があったとしても、丘に生息してるとは限らないのでは?」


「アストラプスは帰巣本能があるのと繁殖力が高い。一匹いたら百匹はいると思え。常識だ。十中八九そこを根城にしてるだろうな。」


ゴキブリかよ!でも、人を襲うのか。だったら、見過ごせないな。


アメリア様が追加で教えてくれる。


「アストラプスは雷属性を持っている。電撃を飛ばしてくるから、それも注意だな。まぁ今回は耐雷属性の装備も持ってきている。連続で攻撃されない限り大丈夫だ。それに私達騎士団もいる。安心してくれ。」


「はい。ありがとうございます。でも、僕も役に立てるように頑張ります。」


「気負いすぎるなよ。」


うんうん。流石アメリア様。僕に気を使ってくれてるな。


思えば、アグルニは別にして、魔物を討伐しようとして良い思い出がないな。


ここらへんで、ちゃんと成功体験を積んでおきたいな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


遠征の最初の夜が来た。流石に夜も行動するわけじゃなかった。


村からサリハンに来る時もそうだったからね。


それに、異世界には街灯もヘッドライトも無い。暗闇で進軍するのは、無理だよね。


周りに聞きながら、手伝っていく。


「我の魔法で火を起こしてやろう!」


エルス様が変に宣言して、火起こしをしている。こうしてみると、やっぱり火属性とか水属性は便利だな。


特に水属性は水さえ生み出せれば、最悪の場合でもある程度なんとかなりそうだし。


そんなこんなで夕飯の準備だ。騎士様達がお肉を焼いてくれている。


そのお肉をウィルが受け取って、僕の所に来る。


「はい。カナメ。一緒に食べよう。」


「ウィル。ありがとう!」


一緒にお肉を食べる。うん。塩とスパイスで味付けされてるね。美味しい。


「意外とおいしいご飯が出てくるんだね。」


「今回は教会もギルドも騎士団も出てるからね。」


「そんなに大事な討伐なの?」


「うーん。そういうわけでもないけど、油断できる魔物でもない。だから、カナメ。君も絶対に油断しないように。」


「うん。わかったよ。」


勿論油断する気はない。過去の経験があるからね。


「もう一つ。君も夜番もあるからね。休める時にしっかり休むんだよ。」


「それもわかったよ。」


街に来る時は気にしてなかったけど、今回は遠征だからね。夜番はあるか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


僕の番が来るまで、寝てていいみたい。馬車の中で横になってるけど、眠ることはできないな。


目をつむりながらも外の声が聞こえてきた。


「あー全く。貴族と黒髪のガキのお守りかよ。もっと良い人選あっただろ。」


「一々言うな。決まったことだ。誰が聞いてるかわからん。」


うん。僕が聞いてる。っていうか、聞いちゃっただけなんだけどね。


「さて、交代だな。黒髪と他3人を起こしてこい。」


「あいよ。」


騎士様が僕に近づいてきて起こす。


「ほら、カナメっていったか?お前の番だ。」


「はい。わかりました。」


夜番は4人で行うみたいだな。


「あのー。」


「なんだ?」


「僕は何をすれば?」


「焚火の近くにいればいい。他は余計な事はするな。」


「あ・・・はい。」


なんというか、話しかけるなって空気だ。あんまり、歓迎されてないようにも見える。


気が重いな。


しばらく、焚火の面倒を見ていると、ウィルが起きてきた。


「お疲れ様。交代するよ。今日は休んだほうがいい。」


「ウィル。うん。お願いね。」


今度こそ、テントもあるけど、僕は馬車に戻って休んだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2日かけて、丘に到着した。


木も沢山あって森みたいになってるけど、傾斜も低い。


アメリア様がこちらに胸当てとマントを持ってきた。


「カナメ。これを着るんだ。雷属性に耐性を持っている装備だ。これがあるのと無いのでは全然違うからな。」


「ありがとうございます。有難く使わせていただきます。」


「一応言っておくが、貸すだけだからな。これが終わったら返してもらうぞ。」


「分かってますよ。アメリア様。」


言葉ではそう言ったが貰えないのか。しょうがないな。


「ガッカリ感を出すな。こんなお古の装備だが普通に購入すると結構高いんだぞ。」


「申し訳ございません。」


残念感が伝わったのだろう。次から気を付けよう。


胸当てとマントを装備したら、ウィルが来た。


「うん。ちゃんと装備してるみたいだね。」


「勿論。でもウィルは装備しなくていいの?」


「一応、僕の服は雷属性と土属性を吸収して自分の魔力にできるんだよ。物理攻撃には無力だけどね。」


「おお!流石ウィル!」


「こう見えて、エリートだからね!」


ウィルはそう言って胸を張る。自分の事をエリートって言いつつ、威張ったりもしないからウィルは付き合いやすいんだよな。


アメリア様が声を大にして宣言する。


「これからアストラプスの駆除を行う。覚悟はいいな!」


騎士団も聖職者、勿論僕達も整列する。


「これより、作戦を実行する!」


「は!フレンジーコロンを使用します!」


フレンジーコロン?聞き慣れない言葉に戸惑う。


っていうか、今思ったけど、作戦?何も聞いてないけど。


「ウィル。フレンジーコロンって何?」


「魔物を呼び寄せる匂い玉さ。さあ!来るよ!ちゃんと準備して!」


「え!!?ちょっと待って!!準備!?準備って言われても!」


「大丈夫!ちゃんとフォローするから!」


ちょっと!フォローするって言われても。


騎士団が枕?くらいの袋に火をつける。袋は一気に燃え広がり、煙が出てくる。しかも、独特な匂いがする。ちょっと生臭いか?


そう思ったら、緑色のワイバーンが一斉に飛んできた!


え!?何体いるんだ?数えられないくらいいる!


「かかれ!打ち落とすんだ!」


騎士団たちが弓矢で打ち落として、地面に落ちたアストラプスを切り伏せる。


流石騎士様だ。アストラプスを一刀両断だ。アメリア様は無駄なく首を飛ばしてる。


「プロミネンスバルカン!カナメ!何をボサっとしてる!汝もやることがあるだろ!」


「ご・・・ごめんなさい!」


エルス様が8つ小さい火の球が回転したと思ったら、弾丸のように打ち出してる。まるでガトリング砲だ!


あまりに圧巻でボーっとしてしまった。エルス様もすごい。偉そうって思ってしまって二重にごめんなさい。


しかし、僕も技名を考えたほうがいいのだろうか。


今できることは・・・重力加重してアストラプスを地面に落とすか。


重力を加重するから、そうだ!絶対重力:ジオセンターと名付けるか!


「落ちろ!――ジオセンター!」


範囲的に重力加重してアストラプスを一気に地面に叩き落とす。勿論、味方には加重しないように気を付けてね。


あの後、結構特訓したし、効果範囲も制御も上手くなったんだ!これくらい僕にもできる!


「いいぞ!カナメ!その調子で奴らを地面に落としてくれ!」


アメリア様に言われて、次々と地面に落とす!


今までそんなに僕の魔法が役に立ったって認識は無かったけど、今回は役に立ってる!


「ホーリーブライトレイ!私達も戦いますが、魔力の使い過ぎには注意なさい。最悪でも6割くらい残しておかないと治癒ができなくなりますよ!」


聖職者の人達もビームみたいなものを打ち出してアストラプスを打ち落としている。


やっぱり飛び道具があるといいな。上空にいる敵も攻撃できるし。


「がぁあー!」


アストラプスが電撃の球を僕に向かって放ってきた!


「うわ!」


なんとか当たらなかったけど、もし当たったら・・・!


「カナメ!攻撃されたからって茫然としない!」


「ご・・・ごめん!」


何をしているんだ、僕は!攻撃されて放心してるんじゃない。


「ジオセンター!」


この調子でどんどんアストラプスを地面に落としていく。


よしよし!やれる!大丈夫だ!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一体いつまで戦うんだ?もう2時間くらいは戦ってる。


「カナメ!しっかりしろ!まだ来るぞ!」


「は・・・はい!ジオセンター!」


アメリア様に叱咤激励されながら、ジオセンターでアストラプスを地面に叩き落とし、騎士様が切り伏せる。


「黒髪の君。これを飲みたまえ。エーテルだ。」


「あ・・・ありがとうございます。」


聖職者の人が瓶を渡してくる。


魔力が回復する魔法薬。エーテルを飲み干す。今日だけで5本目だ。


身体が暖かく感じる魔力が回復してる。こんな感じでずっと戦ってる。


ちなみに、へばっているのは僕だけだ。


アメリア様や騎士団、エルス様、ウィル。皆まだ余力ありそうだ。


「があがぁあ!」


アストラプスが電撃の球を飛ばしてきて、僕に直撃する。


「ぐっ・・・!」


身体中に痛みが走る。そこまで強い痛みじゃないから我慢できるけど、耐雷装備をしていてこれか。これが何も準備していなかったら、どうなるんだろう。


「ググルァ!」


別の個体が僕を掴み空に持ち上げる。


「ぐっ!ジオセンター!」


重力加重で叩き落とす。勿論、僕もろとも地面に叩きつけられる。


「がはっ!」


焦って、一気に加重したから、右肩から地面に叩きつけられる。骨は大丈夫そうだけど、かなり痛い。


「ガァ!ガァッア!」「ガガガッア!」


僕が穴と思われたのか、電撃の球を僕に集中してくる。転がりながら避けたけど、三発ほど被弾してしまった。


「うぐぅ!・・・」


聖職者の人が駆け寄ってきてくれる。


「ホーリーヒール!黒髪の君。あまり無茶するな。後、攻撃だけじゃなくて、回避にも意識を向けたまえ!」


「は・・はい!ありがとうございます!」


回復してくれたと同時に注意される。


思えば、雷撃の攻撃を直撃したのは僕だけだ。


他は皆回避しながら戦ってる。


これが実戦経験の差なんだろうか。エルス様もなんだかんだで、直撃はしていない。しっかり回避して、魔法を使ってる。


まだ終わらないのか。周囲はアストラプスの死骸の山だ。まだ続くのか?


永遠に戦わなきゃいけないんじゃないか?そう思い始めたとき。


丘からアストラプスが出てこなくなった。


「よし!これで終わりだ!きばれ!」


「おう!」


アメリア様が号令を行い、僕は最後の気力を振り絞る。


最後のアストラプスを切り伏せる。


「よーし!討伐完了だ!皆よくやった!」


やっと終わった。どっと疲れてきた。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ようやく、終わった。」


「お疲れ様。カナメ。初めての遠征にしては頑張ってね。偉い偉い!」


ウィルが声を掛けてくれる。完全に使われる僕と比べて、まだ余裕がある顔をしてる。


「これからアストラプスをストレージボックスに入れる作業があるよ。」


「え?」


まだやらなきゃいけないことがあるの?完全に終わったと思ったのに。


「魔物の死骸を放置したら、死肉に釣られて別の魔物が来たりする。他にも弊害はあるけどね。」


マジかよ・・・。この状態からまだ仕事があるのか。


がっくりしている所にアメリア様がやってきた。


「カナメ。辛いだろうが最後の仕事だ。アストラプスは一応可食部もあるし、骨と皮は武器防具の素材になる。全部回収するぞ。」


「はい・・・わかりました。」


疲れ切った身体に鞭を打って死骸を回収する。


重力を軽くしてストレージボックスにポイっと入れる。


こうしてみると、死骸だらけ。血の匂いもすごい。まさに地獄だ。


この感じ。村の惨劇を思い出してしまった。気分が悪い。


「カナメ?顔色が悪いな。一体どうしたんだい?」


「大丈夫・・・な訳がないか。申し訳ない。気が利いていなかった。馬車で休んでいても構わない。」


ウィルとアメリア様が心配してくれる。


「いえ。僕は大丈夫です。最後までやります。」


「そうか。無理だけはしないようにな。」


気を使ってくれるだけありがたい。


でも、今はなるべく考えないようにしよう。無心で死骸をストレージボックスに入れる。


ようやく全ての死骸を回収した。


「ふぅ。ようやく終わったね。」


「うん。カナメ。お疲れ様。」


そうして、周りを見渡す。改めて周囲には血が沢山ぶちまけられてる。


ひどい光景だ。聖職者の人達が何か粉を撒いている。


「ウィル。アレは何をやっているの?」


「アレは、浄化さ。清めの粉という粉末を撒いて聖属性の範囲魔法で浄化するっていうのが教会のやり方さ。正直、ゲン担ぎみたいなものさ。」


「そうなんだ。」


宗教的な風習なのだろうか。ウィルの言い方だと、あんまり良いイメージが湧いてこないな。


「さあ!諸君!任務は終わった!後は帰還するだけだ!」


エルス様が何故か仕切り始めた。なんだかんだで元気な子だな。


「ご苦労だったな。カナメ!我も遠征は初めてだったがカナメも良い動きをしていたぞ。」


「ありがとうございます。エルス様も凄かったです。」


これは本心だ。貴族のボンボンかと思ったけど、実際凄かった。


「うむ。胸を張って帰還しよう。」


「エルス様。帰還するまでが遠征です。最後まで油断なさらぬようにお願いします。」


アメリア様がエルス様を諫めている。おそらくだけど、アメリア様含む騎士団は、アルケール領の騎士団なんだろうな。


「すみません。僕は先に馬車に乗りますね。あ、後この装備返します。」


胸当てとマントを騎士様に返す。


もう疲労困憊だ。流石に休ませてもらおう。


馬車に乗って、座って落ち着いたら、急に眠くなってきた。


もうダメだ。そのまま、意識が落ちた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「カナメ。カナメ!起きて!夜番だよ!」


「え?」


ウィルが僕を起こしてくれた。すっかり眠ってしまったみたいだ。


「ごめん。寝てたみたい。」


「良いんだよ。全部初めての事だからね。疲れてたんだよ。」


そう思って身体を起こそうと思ったけど、思ったより身体が重い。いや、これ虚脱感がある。まだ魔力が回復していないのか?


「魔力枯渇しそうになって、エーテルを飲んで無理やり回復していたからね。思ったより疲れてるんだよ。当番だから起こしたけど、無理せず休んでいいよ。」


「い、いえ、やります。ちゃんと最後までね。」


「そうかい?でも、無理しないでね。」


なんとか身体を起こして、ウィルに付いて行く。


火は起されている。騎士様は周りにいるけど、距離が離れてるね。


そうだ。聞きたかった事を今聞こう。


「ウィル。そういえば、黒髪ってだけで腫物みたいに扱われるんだけど、なぜなの?」


「え?うーん。それはね。」


答えずらそうにしている。村長ははぐらかしたけど、ウィルはちゃんと教えてくれそうな気がする。


「まず大前提から言うけど、これは迷信に近い話なんだ。それはね。黒髪は人間に厄災をもたらすって言われてる。」


「え?」


何それ?そんな迷信があるの?


「なぜ、その迷信が出来たかというと、魔族に黒髪が多いから。それが理由の一つ。もう一つは」


もう一つは・・・なんだろう?


「神話というか書籍によると、定期的に人類の敵が現れるその者は黒髪だった。それで、黒髪が忌み嫌うようになったとされてるね。」


「そ・・・そうなんだ。」


そんな話があったのか。


「騎士団もその傾向はあるけど、教会はどうしても神話とか迷信を大切にしているからね。カナメにとっては気分良くないと思うけど、そういうものなんだ。」


「うん。わかるよ。」


「誓っていうけど、私はカナメをそんなふうに見てはいない。君を信用しているよ。」


「うん。ありがとう。ウィル。」


そう言ってもらえると気が休まるね。


「それにしても、ジオセンターだっけ?広範囲重力加重とかカナメも中々すごくなったね。」


「ウィルが訓練に付き合ってくれたおかげだよ。それにユミル先生もね。」


「うんうん。今回の遠征で課題っていうか。何か足りないと思ったものはあるかい?」


「うん。あるかな。」


やっぱり飛び道具が無いと厳しいなと思った。なんとかして、飛び道具が出来るようにしないといけないと思ったかな。


「うん。それならよかったかな。」


「おい。お前達、そろそろ交代するぞ。」


騎士様達が起きてきた。有難い。ウィルと話をしていたからまだ大丈夫だったけど、正直眠い。疲労感と虚脱感がひどい。


「ああ。では、よろしくお願いします。じゃあ、カナメ。今日は寝ようか。」


「うん。よろしくお願いします。」


そう言って、夜番を交代する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


身体の疲労感が抜けないまま、2日かけて街に戻ってきた。


アメリア様とエルス様が宣言する。


「よし、無事帰還した。皆よく頑張ってくれた。ここで解散とする。」


「諸君らご苦労!これにて解散とする!」


教会の人達も次々に挨拶をして帰っていく中、僕は最後に挨拶をしようとして、アメリア様とエルス様に近づく。


「アメリア様、エルス様。今回はありがとうございました。」


「カナメ。初めての遠征だったと思うがよくやったな。」


「うむ!改めて、ご苦労だった!よく休むといい。」


「はい。二人共ありがとうございました。それでは。僕はこれで。」


そう思って、孤児院に帰ろうとした。そうしたら、ウィルも近寄ってきて。


「私が誘ったからね。孤児院まで送るよ。それでは、私もこれで。」


そう言って僕に付いてきてくれる。


孤児院に付いたら、真っ先にリーネが抱き着いてきて迎えてくれた。


「カナメ!良かった!良かったよー!無事帰ってきてくれて!」


「リーネ。ただいま。」


僕の方から抱きしめ返すとリーネが安心したように笑ってくれるがちょっと涙が出ている。


今回は仕方が無いとはいえ、泣かせてしまったな。


ユミル先生も迎えてくれた。


「カナメ君。お疲れさまでした。良く帰ってきましたね。でも、これからは安易に安請け合いしないようにしてください。」


「はい。ユミル先生。次からそうします。」


「ユミル様は手厳しいね。それではカナメ。僕はこれで。」


「うん。ウィル。ありがとう。」


「それではまた。」


そう言って、ウィルは去っていく。


こうして、僕の前世も含めて最初の遠征が終わった。


ただ、疲労感は完全に抜けたわけじゃなかったみたいだ。


孤児院に帰ってきての最初の夜。僕は泥のように眠った。

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