第31話「誘拐事件と助け(下)」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
一体なんだって?リーネが?連れてかれた?
「ちょっと待ってくれ。もう一回言ってくれ。リーネがなんだって?」
「リーネが男の人に連れてかれちゃったの!」
「わ・・・わかった!二人はとりあえず、ユミル先生に伝えるんだ。僕はリーネを探す!」
「探すってどうやって!」
「それも探しながら、考える!ユミル先生に伝えるんだぞ!いいな!」
そういって、返事を聞かずに僕は飛び出す。
やっぱり、一緒に行けば良かった。何で付いて行かなかった?
何をやっているんだ僕は!そう思いながら、必死に走る。
「とは言っても・・・」
当てなんてない。どうすればいいんだ?慌てながら考えてるから良い案なんて思い浮かぶわけない。
そう思ってきたら、ウィルの顔を思い浮かべた。
ウィルに会えばなんとかしてくれるかもしれない。
ただの思い付きだ。でも、他に縋るものなんてない。
そういって、魔道ギルドまで走った。
自分の重力を若干軽くしながら走る。
そうして、魔道ギルドが見えた!
普段だったら、遠慮しながら開ける扉を一気に開ける!
「ウィル!ウィルに会いたいんだ!」
扉を開けるなり、大声で叫ぶ。周囲に注目されてるが、恥とかそんなの考える余裕なんてない。
魔道ギルドに入ったら、受付の近くに丁度ウィルがいた。
「ウィル!助けてほしいんだ!」
「カナメ?どうした?一体。まずは外に出よう。」
なりふり構わない僕に驚きながらも落ち着いている。
「何があった?」
「えっと、僕の幼馴染のリーネって子がいるんですけど、誘拐されたみたいで。」
「うんうん。」
「助けないといけないです!だから力を貸してください!」
「うんうん。良かったよ。」
「え?」
良かった?何を言ってるんだこの人は!そう思った。
「君が自分だけで解決しようとしなくて本当に良かった。うん。今ならなんとかなる。」
そう言って、指を鳴らした。そうしたら、梟?のような鳥が飛んできた。
「まずは、ボラン師匠を呼んでくれ。いいね。」
「うん。よし、まずは子爵様の家に向かう。」
「え?どうして??」
「行けばわかるさ。さあ行くよ!」
行くよと言われたから、走ろうと思ったら、ウィルに肩を掴まれる。
「ヴォルテックスフライト!」
竜巻が発生して、一気に空を飛ぶ!驚きの連続で、冷静でいられるわけがない。
「え!?ちょ!はぁ!!??空飛んでる!!!」
「うんうん。前にも言ったけど、僕はこう見えてエリートだよ!僕は風属性の適正"も"あるからね。」
凄い速度で空を飛びながら、あっという間に立派な屋敷の屋根に到着する。
「ちょちょちょ!」
「大丈夫さ。落ちないよ。子爵様の屋敷は街の中心にある。子爵様には悪いけど、困った時はここを使わせてもらっている。皆には内緒だよ。」
「待たせたかな?」
今度は、ボラン師匠とさっきの梟が来た。
「ボラン師匠。ちょっとした事件ですよ。」
「うむ。誘拐だな。これを持ってきた。」
何だ?見た目だけなら無線機みたいなのを持ってきたけど。
「これは、ノーネームビーコン(名もなき者の道標)だ。簡単に言うけど、イメージした人をどちらの方向にいるかわかる。」
そう説明して、今度は梟がしゃべり始めた。
「さぁ。カナメ。君が魔力を込めて、そのリーネっていう子をイメージするんだ。」
「はい・・・ってえええ?その梟!喋れるの!?」
「そんなことを言ってる場合か!さっさとやれ!」
そして怒られる。パニックで何がなんだか。でも、その通り。リーネが心配だ。
僕は、ノーネームビーコン?を持ってリーネをイメージする。
そうしたら、アンテナっぽいのが街の東を指している。
「よし!じゃあ行こうか!ヴォルテックスフライト!」
もう一回皆で空を飛ぶ。改めて思う。この人達すごい。そう思わずにいられない。
そうしたら、建物が無造作に乱立しているような場所に来た。
「スラム街ね。まぁ予想は付いたけど。」
「夕方の門が閉まる頃にシレっと外に出るだろうな。この手の輩は相変わらず毎回同じ手を使う。」
そう言いながら、倉庫のような場所に到着する。
「おそらくここです。」
ビーコンがこの倉庫を指している。
「中に何人いるか。次第かな。」
「今回は人質救出だ。お構いなしに攻撃は出来んぞ。」
「それくらい分かってますよ。ボラン師匠。」
梟とウィルとボラン師匠は冷静に話合っている。僕は早く助けに行きたいのに。
「落ち着きなさい。カナメ君。中に何人いるかわかる?」
僕の後ろから、ユミル先生が声を掛ける。いつの間に?
「おや。ユミル様。ご機嫌麗しゅう。」
「今は挨拶をしている場合ではないでしょう。」
「その通りですね。」
ウィルが挨拶するが、ピシャリを言われている。
「知り合いなの?」
僕が聞いてみると。
「この街の魔導士でユミル様を知らない人はおそらくいないね。」
「な・・・なるほど。」
ユミル先生はちょっとした有名人らしい。
「カナメ君。」
「あっと。僕が、ちょっと調べてみます。」
ユミル先生にせかされて、マススキャナーを使う。今度は、ちゃんと冷静に、リーネを助け出すんだ。
そう思って、意識を集中させる。
中にいるのは・・・約11人だ。
「えっと、扉から見て、左に3人、右に2人、前に2人でその奥が4人ですね。」
「どれがリーネちゃんかわかる?」
「僕は物体というか質量は分かるんですけど、それだけなんです。」
「そう・・・。」
「突入してみるしかないだろうな。だが、おそらく、奥にいる4人の内のどれかがその女の子だろう。大きさは分かるのか?」
ボラン師匠が予想をする。
「はい。奥の4人に一人だけ小さいのがいるんで、それがリーネだと思います。」
「ふむ。後は突入して確認するか。」
「やばい!1人がリーネに覆いかぶさってる奴がいる!」
「それはまずいね。じゃあ、私が手前、ユミル様が奥、ボラン師匠が左右をお願いします。カナメは一直線にリーネって子の所に行けばいい。いいね。」
「はい。」
「それじゃあ、行くよ!エアロショックウェーブ!」
てっきり、扉を蹴り破るのかと思ったら、魔法でドアを粉砕した。
僕は言われた通りに、突っ走る!
リーネがいた!手足が縛られてる。しかも、男が覆いかぶさっているところにこっちを見ている!
「この野郎!」
「なんだてめぇ!」
「ストームブラスター!」「ハイドロプレッシャーボム!」「ボルテージスパーク!」
風、水、雷の魔法が一気に来て、賊を打ち倒してる。僕はというと。
「リーネ!この!」
言われた通り、敵まで一直線に走っていく。
「このガキ!」
僕に標準を合わせて、短剣を振るってくる!
「うぎゃ!」
一気に敵は吹っ飛ばされてる。
リーネに近寄って怪我してないか確かめる。
「リーネ!大丈夫!」
「カナメ・・・?カナメー!怖かったよー」
「良かった。本当に良かったよ!」
リーネが僕に抱き着こうとしたけど、縛られてて動けない。
「待ってて。えーと・・・あれ?」
もう縄は切れている。何で?っと思って振り向いたら、ウィルがウインクしてる。
本当に頼りになる先輩だよ。
「カナメ・・・来てくれた。うぅぅ。うわーん。」
「うん。本当に一緒に居なくてごめんね。リーネ」
リーネはしばらく泣いていた。
その後の事は、そんなに言うことがない。
いつの間にか。あの梟が騎士団を呼んでいたみたい。
10人の賊はお縄になった。アメリア騎士団長自ら来てくれたんだ。
「君は本当に勇敢だな。」
そう言われた。ウィルも。
「ちゃんとやれたじゃないか。」
そう言われた。
改めて僕は思う。僕は未熟だ。
リーネを送り出したのも、呼び止めなかったのも僕だ。
リーネを見つけたのも、賊を蹴散らしたのもウィルやボラン師匠とユミル先生だ。
僕は何も出来てない。そう思ったら、自分の手が震えている。
もし、間に合っていなかったら?そう思ったら・・・リーネと手を繋いでいた手を強く握ってしまう。
「痛っ。痛いよカナメ。」
「あっ。ごめん。」
焦って、手を緩める。でも震えは止まってはくれなかった。




