第29話「新たなる決意」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
僕は重たい脚を引きずって魔道ギルドに向かっている。
いつもの定期演習では無いけど、ウィル達に会って話をしたかった。
「僕は・・・一体何をやってるんだろうな。」
そう独り言を言いつつ、ギルドの受付した。
「すみません。ウィルとボラン師匠とベーゼル様に会いたいのですが。」
「ベーゼル様は今日は不在です。ですが、ウィル様とボラン様はいらっしゃいます。」
「わかりました。面会したいのですが。」
「しばらくお待ちください。」
しばらく待つと、ギルドの受付嬢から前の演習と同じ場所に案内される。
「カナメ!また来たんだね。」
「うむ。カナメ。今日は一体どうした?」
二人共、修行をしていたっぽいな。
「はい。えーと・・・。」
僕が口ごもっていると、何か察したみたいだ。
「椅子を用意しよう。何があったんだい?」「うむ。ちょっとお茶を用意しよう。」
二人共僕を迎えてくれた。
「この前の蜂の襲撃の時なのですが・・・。」
「ディリスフィカの事だね。うん。続きを話してくれ。」
僕は心に残ってるものを全て話した。
自分の力を過信して戦闘に参加しようとしたこと。
ディリスフィカに範囲外で攻撃出来なかった事。
そのことで幼馴染を危険に晒したこと。
「「・・・」」
二人共黙って聞いてくれた。そうして、ウィルが重むろに声をかけた。
「カナメ。まず、君は自分を罰しているだろ。」
「え?」
そう言われて困惑する。自分を?罰する?
続けざまに言う。
「もう一つ言うことがあるとしたら、英雄になろうとしないほうがいい。」
英雄になろうと思ってたわけじゃない。ただ、僕は・・・。
「カナメ。生き急ぐな。君はまだ10歳。本来なら何かを背負うには若すぎるのだ。」
そう言ってくれた。
「ちょっとだけ、私に付き合ってほしい。ちょっと僕に重力をかけてみてくれ。」
「え!?」
ウィルの意図がわからない。ボラン師匠を見ると頷いている。
これはやるしかないか・・・。
そう思って、椅子から立って、お互い向き合って、ウィルに重力を加重しよう。
魔力を込めるイメージをする。
「っ!?」
あの時の・・・ディリスフィカの時を思い出してしまう。
もし、間に合わなかったら?針の当たり所が悪かったら?
流血するリーネのイメージ。それを払拭することができない。
魔力を込めようとしても発散してしまう。
足元が軋んでいる気がする。
焦る。どうしてしまったんだ僕は。どんどん魔力を込めようとしたら、ウィルから肩を叩かれる。
「それでいい。それが普通なんだよ。」
「はぁ・・・はぁ・・・」
いつの間にか、息が乱れていた。何もしていないのにどっと疲れる。
「深呼吸だ。何も考えなくていい。」
魔力が引いていくのがわかる。分からないがまずい状態だったみたいだ。少しずつ、落ち着いていく。
そうして、ボラン師匠も何か瓶を持ってきてくれた。
「魔力回復薬。エーテルだ。飲みなさい。そして、今日は魔法の練習はしなくていい。しっかり休むんだ。」
言われた通りに、エーテルを飲み干す。美味しくない。むしろ苦い。けど、飲んだら力が湧いてきた。魔力が回復しているのだろうか?
「扉まで送るよ。ボラン師匠。」
「ああ。」
そうして、ギルドの扉を開けて、外に出る。
「今日はまっ直ぐ帰ること。そして、魔法の練習はしないこと。いいね。」
「はい・・・。」
返事して思って帰ろうとしたら、最後にウィルが声をかけてきた。
「焦るなよ。・・・そう言う奴から帰ってこなくなる。」
「え?」
「じゃあね、また。」
そう言って、ギルドの中に入っていった。
僕は悶々として思いを持ちながら、孤児院に戻った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日は眠れない。目の前にリーネがいる。
起こさないようにして、孤児院の外に出る。
空を見上げながら、独り言を言う。
「僕は結局何をしていたんだろう。前世でも大した人生でもなかったしなー。」
思えば、転生するときに「次は後悔しないように生きなさい」と言われた。
何かをしろとも成し遂げろとも言われていない。
あれは神様だったのだろうか。
何のために、この力を授かったのか。たまたま能力を手にして人生をやり直すことができた。
けど、確かに僕は英雄でもない。戦争経験者でもない。
普通のサラリーマンの前世だったんだ。そんな僕が異世界で何かを守ろうというのは烏滸がましいのだろうか。
「眠れないのですか?」
そう思っていたら、後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにはユミル先生がいた。
「はい・・・ちょっと考え事がありまして。」
「この前の襲撃の件ですね。」
図星だ。まぁ、流石に分かるよね。
「はい。僕は・・・あまり強くなってる実感が無くて・・・。」
今まで、この能力が通用したこと自体少ない。
そして、僕の能力は今の時点ではあまり強力でもない。
もっと、火とか雷のほうが汎用性が高くて強いのではないだろうか。
そう思ってきた。
「力の強弱の問題では無いと私は思います。」
そうユミル先生は言ってきた。
「・・・」
反論したいけど、何を言うべきなのかわからない。
「カナメ君。貴方は、守りたいのではなく、失いたくないのですね。」
「煙に巻くような言い方しないでくださいよ。」
「必要な事ですよ。おそらく自分で理解しないといけません。そして、誰も貴方に強くなるなと言ってるわけでは無い。それは分かってほしい。」
その言い方は卑怯だ。あいまいな事を言って、考えさせようとしてる。
「私は戻ります。夜は冷えますから、カナメ君もほどほどにね。」
そう言って、ユミル先生は孤児院に戻っていった。
「・・・」
また、空を見ながら、独り言を言う。
「僕は・・・守れるかどうかはわからない。それでも、僕は側にいることはやめない。」
最後に独り言をつぶやいて、皆が寝てる部屋に戻る。
リーネは小さく寝息を立てている。少しだけ安心する。
僕達がこの孤児院に来て、かなりの日が経ったけど、今だリーネは一人だと寝られない。
リーネの毛布を掛けなおして、僕もその毛布の中に入った。




