第26話「悪夢と買い物」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
目の前には惨劇が広がっている。ひどい光景だ。
家は燃えて、アグルニやビックリュコスに追い回され、喰われている人達が沢山いる。
これは・・・僕がいた村だ。何をしているだ!早くなんとかしないと!
でも、身体は動かない。見ているだけだ。僕は何もできない。
ただ、村が蹂躙されているのを見ているだけ。
何のために、力を授かったんだ。何のために、今まで練習してきたんだ!
そう思っているはずなのに、身体は動いてくれない。どうして僕は何もできないんだ!
「っはあ!」
布団から飛び起きた。気持ち悪い汗だ。
「すー。すー。」
目の前にはリーネが寝ていた。まだ、リーネは僕がいないと寝てくれない。
リーネはまだ立ち直っていない。けど、僕はどうだろう?
前世でも経験しなかった体験に僕も立ち直れていないのだろうか?
思考しているとどんどん悪い方に考えてしまいそうだ。
何も考えず二度寝しよう。そう思っても中々身体は寝てくれなかった。
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この孤児院は毎日が同じような日々が続く。
「それじゃあ、カナメ君。リーネちゃん。買い出しお願いね。」
「「分かりました。」」
二人で返事をする。今日は、ユミル先生に頼まれて買い出しだ。
「行くよ。リーネ。離れないようにね。」
「うん。」
二人で手を繋いで、明日使う食材を買うために、リーネと一緒に大通りを抜けて、商店街に行く。
まぁ、商店街って言っても、屋台や露店が並んでるだけなんだけどね。
商売で大きく当てた人とか何代かに渡って商売を継続できた家系は、自分のお店というか建物を買う事は出来るらしいけどね。
駆け出しや中堅の商人は屋台や露店がほとんどらしい。
「今日も沢山人がいるね。」
「うん。」
返事は短いけど、リーネのほうを見ると顔色は悪くない。今日は大丈夫そうかな。そう思っていたら、リーネの方から話掛けてくる。
「何買えばいいの?」
「えーと、メモによると、人参と大根と豚肉と鶏肉。それと林檎だね。」
推測だけど、肉類は野生の魔物を狩って、解体して並んでいると思う。
村でも畜産施設は無かった。この街の隅々まで確認したわけじゃないけど、なんとなくそんな気がする。
「うん。じゃあ、すぐに終わるね。」
「そうだね。」
リーネと二人で歩いて、まずはお肉屋さんに向かう。
その途中で、焼き鳥屋さんや串肉を売ってる屋台もある。
焼ける匂いだ・・・。そう思ったら、あの時の・・・家が焼けたイメージが浮かんできた。
「ぐっ!」
よろめいてしまう。気持ちが悪い。
「だ・・・大丈夫?カナメ!」
リーネの声で意識を戻す。
「うん。ごめん。大丈夫だよ。リーネ。」
気持ち悪さを奥に引っ込めて、改めてお肉屋さんに向かう。
「いらっしゃい。お二人さん。仲いいな!手なんか繋いじゃってよ!」
「ありがとうございます。」
「・・・」
僕は普通に返事をするが、リーネはちょっと赤くして俯いてしまった。
「んで。何が欲しいんだ。」
「えーと・・・鶏肉と・・・豚肉をください。」
おお!この街に来てから、リーネが僕以外からの人に返事をしてくれた。これは良い傾向だと思いたい。
塞ぎこんでいるより全然良いのだから。
「あいよ。鶏肉と豚肉な。ちょっと待ってな。」
お肉屋さんの亭主はすぐにお肉を包んでくれた。
そのまま、八百屋に行く途中で僕はリーネに話しかける。
「良かったよ。リーネも他の人と話出来るようになって。」
「それは、カナメがいてくれるから。」
うん。それでもいい。少しでも、立ち直ってくれるなら。
それと同時に、僕自身もちゃんと立ち直らなきゃいけない。
そう思った。
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今日のユミル先生の授業は各種族に対して基礎知識だった。
「はい。この世界には、種族は人間、亜人、ドワーフ、エルフ、魔族の5種族がいます。」
うん。それは村長も言っていた事だね。
「人間は、国王と貴族がいて、封建国家によって国が運営されています。」
うん。なんとなく分かってはいた事だ。
「亜人とドワーフは、国王はいませんが、代表者が集まって国を運営する寡頭制国家です。さらに、エルフはハイエルフが国のすべてを決める独裁国家となっています。」
成程。それぞれやり方が違うのか。そりゃそうか。
「最後に魔族ですが、正直よくわかっていないというのが現状です。魔族の土地に行くものがいないという事もあって、誰も知ろうとしていないのです。」
うん。村長も魔族には人間を食料とするものがいるって言っていた気がする。
おそらく、そういうのもあって、誰も交易しようとしないんだろう。
その後もユミル先生の授業を黙って聞く。
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授業が終わり、今日も魔法の練習だ。
最初だけ、孤児院で行ったけど、床が抜けそうになるので、2回目以降ずっとお庭でやることになった。
「カナメ君。今日も始めていきましょう。リーネちゃんは私の傍にいましょうね。」
「はい。先生。」「はい。」
リーネも返事をして、先生のそばにいく。
「カナメ君。まず、石を置くわね。」
僕の前後左右に50cm置きに、石を置いていき、一列に10個置いた。
「さあ。自分の中心から重力の加重、軽減、加重と交互に制御してみて。勿論、ちゃんと均等に出来るようにね。」
「うっ!」
中々難しい。そもそも、村でも似たような練習はしていたが、ここまで広範囲では無かったし、複合的な練習もしていない。
「カナメ君。最初から完璧にできると思わないでね。これは練習なのだから、できないことを反復して出来るようにするの。分かったわね?」
「はい。わかりました。」
正論を言われて、練習を行う。意外にも、ユミル先生は魔法の練習は厳しいものだ。
これで、虚脱感が出るまで、練習する。これは・・・これから厳しいものになる。そう思った。




