第22話「残された者」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
アメリア騎士団長に僕達は助けられた。
3人なんとか地下室から上がる。
「大丈夫か。まずは、これを食べてくれ。」
黒パンと・・・これは水か?水袋を出してくれた。
「あ・・・ありがとうございます。いただきます。」
同様のものをリーネもヴァンも受け取る。
二人とも一斉に食べ始める。勿論、僕も食べる。
う・・・酸っぱい。でも、贅沢を言っていられない。
「アメリア様。ありがとうございます。」
お腹に食べ物を入れたら、ちょっとだけ余裕が出てきた。
「うむ。さあ、ここから離れるぞ。」
そうして、ようやく小屋から外に出た。
久しぶりの日光だ。そう思って周りを見るが、家という家が破壊されている。
それに、大きな荷車に騎士団の人が何かを積んでいる。
これは・・・死体!!?見覚えのあるの服の柄。それらが詰まれていく。
「うっ!」
吐きそうになったが、堪える。前世でもスプラッタ映画はそれなりに見てきたが、目の前の光景に頭が拒否した。
「ああ・・・ああああああ・・・。」
後ろを見ると、リーネが真っ青な顔をしている。
しまった!自分の事だけで精一杯で気が利いていなかった!
「リーネ!見るな!見るんじゃない!」
そう言って、胸に顔を抱きしめて、目隠しをした。
リーネは大人しく、僕の胸に顔を埋める。でも震えが止まらない。
「うう・・・おぇ!」
見れば、ヴァンも吐きそうになりながら、膝をついている。
「ヴァン!君も」
手を貸そうとしたが、ヴァンは拒否する。
「だ・・・大丈夫だ。」
「でも」
「大丈夫だって言ってるだろ!」
怒鳴ってごまかす。どう見ても強がりだ。でも、そう言われたら何も言えない。
「分かった。リーネ。目は開けなくていい。しっかり僕についてきて。」
リーネは返事をしなかったが、頷いてはくれた。
「おい!こっちには生存者がいるんだ!見えないところでやれ!すまない。君たちに配慮が足りていなかった。」
アメリア様はこちらに謝罪してくる。
「いえ、・・・アメリア様。僕たちはどこにいけば。」
「外に馬車を待機させてある。私も同行しよう。」
「わかりました。リーネ。行くよ。」
リーネを抱きしめながら、アメリア様に付いていく。
そうして、村の出口までやってきた。門を出ようとするとき、門の先端に何かついているのを見つけた。
これは、アンナのおんぶ紐!?
「っ!!!」
僕は拾えなかった。考えることを止めた。ただ、アメリア様についていくだけだ。
「この馬車に乗ってくれ。」
もはや、何か言う気力が出てこない。言われた通りに馬車に乗る。ヴァンもリーネもだ。
馬車に座るけど、今更リーネが僕の胸にしがみつくようにくっついてくる。
「生存者を載せた。馬車を出せ!」
そう言って、馬車が動き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばらく時間が経った。会話なんて無い。
けど、確認しないといけないことは山ほどあった。
「アメリア様。僕たちはどこに向かっているのでしょうか?」
「ああ。サリハンという街に行く。アルケール領の騎士団本部がある街だ。」
サリハン・・・勿論聞いたことが無い。いや、もっというと、改めてこの世界のことを全然知らないな。
「サリハンには一応孤児院がある。事情を話せば、制限はあるが孤児院にも入れる。」
制限とはなんだろう・・・?そう思ったが、聞くような雰囲気ではない。
そうすると、アメリア様は僕に向かって忠告した。
「もう寝たほうがいい。君は疲れている。それでは、もたないぞ。」
うん。そうだろう。前世でも特別英雄だったわけでもない。普通のサラリーマンだ。ただ、年食ってただけの。
そう思ったとき、胸の奥が急に軽くなった。
違う。軽くなったんじゃない。
張りつめていたものが、切れた。
いつの間にか、リーネは僕の服を握ったまま眠っていた。
反対側では、ヴァンも壁に寄りかかって眠っている。
もう、僕が何か言わなくてもいい。
そう気づいた瞬間、視界が滲んだ。
まだ何も分かっていないはずなのに、
もう取り戻せない気がした。
涙が止まらなかった。
「・・・今は休め。」
声をかけられて、初めて自分が泣いていると分かった。
しばらく泣いた後、意識を手放した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3日だろうか。黒パンと水を貰いながら、街につく。
大きな城壁に覆われた街みたいだ。
そうしたら、騎士団の人々が待っていた。
「騎士団長!お待ちしておりました。」
「ああ。子供の生存者がいたのでな。なんとか連れ帰ってきた。」
アメリア様が馬車を降りると僕らも同様に馬車を降りる。
ヴァンもリーネも一応顔色はなんとかマシになった。
「カナメ。私達どうなっちゃうの?」
わからない。けど、今はアメリア様を信じるしかない。
「わからない。けど、大丈夫。僕達は一緒だよ。」
そういって、右手でリーネの左手を繋ぐ。
騎士の一人がこちらに向かって言う。
「お前ら良かったな。」
良かった・・・?なんて無神経な奴だ!
そう思ったが、僕は我慢した。リーネは僕の右腕にしがみついてきた。
「・・・」
ヴァンは下向いているが、しばらくして。
「・・・どこがだよ。」
そう呟いた。そして、一気に爆発した。
「どこがだよ!どこも良く無いだろ!親父を!村の皆を助けてくれなかったのに、何が良いんだよ!」
「ヴァン!よせ!」
制止したが、ヴァンは止まってはくれない。
「無駄に税だけ持っていったくせに!騎士団は頼りになるから大丈夫だって言ってたのに!肝心な時に来てくれないのかよ!この役立たず!!!」
怒りのままに、騎士団を罵倒する。ヴァン、気持ちは分かるけど。
そう思ったが、騎士の方が早かった。
「このクソガキ!誰のおかげで生き残れたと思ってやがる!」
騎士が剣に手をかける。まずい!ここで騎士団と揉めると・・・。
アメリア様が割って入った。
「止めろ!剣を引け!」
「騎士団長!しかし、この侮辱!許しては・・・!」
「良いんだ!あの顔は私も見覚えがある。」
そういって、ヴァンに向き合う。
「少年。君の気持ちはもっともだ。私達騎士団は、自分達の無力さが恥ずかしい。気が済まないなら・・・殴りたいなら殴って構わん。私は避けない。」
そう言って、ヴァンの前に正座する。
「うるあぁ!」
ヴァンは思いっきり、アメリア様の顔面に一発お見舞いする。ちょっと、赤くなったが、所詮子供の腕力だ。たかが知れてる。
「騎士団長!」
「こいつ!」
騎士団がイラつき始める。
「止めろと言っている!少年。君の怒りは正当なものだ。でも、これで勘弁してほしい。」
そうして、アメリア様は立つ。
リーネが握り返す力だけが、現実だった。




