第21話「託されたもの」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
保管庫に閉じ込められた。真っ暗で何も見えない。
「おい!カナメ!村は大丈夫だよな!皆は無事だよね。」
「カナメ!パパとママは大丈夫だよね?」
リーネとヴァンが僕に聞いてくる。そんなこと、僕に分かるわけ無いだろっと思ったが、そんなこと言えない。
「・・・わからない。でも、ここにいれば安全だ。僕たちは自分達が生き残ることを考えよう!」
気休めだ。そんなこと分かってる。でも、現実的な事を言う気にはならない。
そうだ!袋の中には何がある?
確かめてみると、ナイフ、これは・・・フレイムストーン?結構前に行商人が見せてくれたやつだ。後は、蝋燭が数本入っていた。
「まずは、明かりを付けよう。」
「う・・・うん。」「ああ」
リーネとヴァンが返事をする。袋から1本の蝋燭を出して、右手でフレイムストーンを持つ。
でも、魔石ってどうやって使うんだ?リーネとヴァンに聞いてみた。
「魔石の使い方ってわかる?」
「え?・・・わからない。」「知らないな。」
うん。そうだと思った。じゃあ、自分でやってみるしかない。
右手から魔石に力を流れ込むイメージをするように意識を集中した。
そうしたら、フレイムストーンがどんどん暖かくなっていく。そして。
「火が出た。すごーい。」「おお!流石だな!カナメ!」
フレイムストーンから火が出てきた!不思議だ。暖かい。本当なら炎が出てるなら、火傷するはずなのに。
魔力を直接注入したものには、害が無いのであろうか?
ともかく、蝋燭に火をつけて。辺りを調べる。
棚にお肉が塊で4個置いてある。これは生肉だろう。後は、これは瓶だ。6個ある。中に何が入ってるのだろう?
ちょっと飲んでみると、ツーンとした味だ。
「これお酒だ!そんなに強くないみたいだけど。」
後は、小さな鍋と、大きな口をした壺?が置いてある。
最悪なんとかなりそうだ。
「よし。リーネ、ヴァン。二人共大丈夫だ。ちょっと我慢してもらうけどね。」
「うん。カナメと一緒なら。」「おう。皆無事だと良いな。」
そうして、ヴァンとリーネに安心させるために、話掛けながら過ごす。
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しばらく、経っただろうか。外がどうなっているのかわからない。
ヴァンは玉に立ったり、座ったりしている。
リーネは僕の隣にいて、腕に手をまわしてくっついている。
こんな状況じゃなければ嬉しかったかもしれないが。
蝋燭の炎だけを見てたまに会話をしながら時間を過ごしていると。
「カナメ。腹減ってきた!」
ヴァンが空腹を訴えてきた。
「私もちょっと・・・」
リーネも同様だったようだ。
「うん。じゃあ、食事にしよう。」
とりあえず、お肉を薄く切って、鍋の中に入れる。釜戸が欲しいな。
周囲には拳よりちょっと小さいくらいの石が3個ある。これで代用するしかない。
鍋を3点で支えて、その下に魔力を込めたフレイムストーンを置く。
「お肉を焼いて食べよう。お肉が焼けたら、お酒を少しだけ飲もう。」
「はぁ!?俺達に飲ませる気かよ!」
「違う。これしか安全に飲めるものがないんだ!ここには、水が無い。少しでも水分補給しないとまずい。」
幸い、アルコール度数は高くないみたいだからね。言わなかったけど。
お肉を分け合って、3人で食べる。
「美味しくない」「塩とか無いのかよ。」
正直、味がしない。淡泊な味だ。
いや、美味しくないんじゃない。味覚がおかしくなっているのか?お酒も飲む。
「苦い・・・」「なんだこれ?まずいぞ。」
うん。子供にはそうだろう。でも我慢してもらうしかない。
「うん。大丈夫。少しだけさ。村の人達も無事さ。」
「きっと大丈夫。」
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「カナメ」
「うん?リーネ。どうしたの?」
「えっと・・・。」
足までモジモジしている。何だろう?と思ったが、すぐ分かった。
だが、ここには便所はない。どうしようと思ったが、壺しかない。
「リーネ。この壺にその・・・してくれ。」
「ええ!?」
リーネは驚愕するが、それしかない。
「頼むよ。リーネ。我慢してくれ。」
「ううぅ・・・。あっち向いてて。後、耳も塞いでてね!」
「うん。分かったよ。ヴァン。君もだ。」
「ちっ。しゃーねーな。」
壺を部屋の角に置いて、僕とヴァンは後ろを向いて耳をふさいだ。
・・・・・・しばらく経つと、服を引っ張られる。
「もういいよ。」
暗くて分からないが、顔が赤い気がする。それは、酒のせいか照れのせいか分からなかった。
リーネはまた僕の隣に座る。
壺のほうから、匂いがする。誰も壺の方向に話題を振らない。
「うん。・・・そういえば、リーネって最初会ったことは、全然話してくれなかったよね。」
「ええ?いきなりどうしたの?」
どうでもいい話題をリーネに振る。何か話してないと頭がおかしくなりそうだ。
「うん。何か急に思い出してね。」
「あの時はそのー・・・恥ずかしかったから。」
「俺の時もそうだったよな!」
「ヴァンは、最初から意地悪だった!」
僕の目線では、意地悪というか、高圧的だったんだよな。まぁ、ヴァンなりのコミュニケーションの取り方だったんだろうが。
「うん。ヴァンもリーネも、大丈夫さ。大丈夫。」
返事はなかった。
それでも、僕はもう一度言った。
「大丈夫だよ。」
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そのうち、眠くなって、3人で横になって寝る。寝心地は良くない。しかも、排泄物が入った壺が近くにあるから、臭い。
でも、何もすることがない。ただ、待つだけ。
最初はあった会話も徐々に無くなっていく。
ただ、蝋燭の炎を見ているだけになってる。
「後、何本蝋燭あったっけ?」
僕が質問するが、ヴァンもリーネも答えてくれなくなった。
ヴァンも最初こそ、立ったり座ったりしていたのに、座ったままになっている。
リーネも僕の隣にいることは一緒だか、話しかけても返事してくれなくなってきた。
まずい。希望を失いかけてる。僕だって、そんなに余裕があるわけじゃない。
ただ、ここで怒ったって何にもならない。仕方なく、蝋燭の残りを数える。
後、4本・・・心もとない。お肉の数は・・・後、1個か。
本当に助けは来るのか・・・?ここは、重力制御で天井扉を破壊して脱出したほうがいいのでは?
でも、もし魔物がまだいた場合、ここに残ってるヴァンとリーネは・・・。
そう思い、踏みとどまる。蝋燭は無駄遣いしないようにしよう。
「きっと、大丈夫さ。」
誰も返事をしなかった。
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いよいよ、お肉が無くなった。これで、後は本当に待つだけになった。
「大丈夫。助かるよ。二人共」
そう思っていたら、ヴァンが耐えきれなくなったようだ。
「いつまで待てばいいんだよ!!ずっと、助かる助かるって言ってて、全然何もおきねーだろ!」
不安が怒りになって爆発している。
「ヴァン落ち着け!ここで怒ってもなんにもならない。」
「親父がいたときに、一緒に戦えばよかっただろ!そうすれば、全員助かったんだ!カナメ!どうして戦わなかったんだよ!」
お前は何を言っているんだ!?丸腰の状態で、3匹のビックリュコスを相手に戦う??
こっちは非戦闘員のリーネもいた。他にも魔物は周囲いたかもしれない!そんな状態で追い逸れと応戦できるか!
言い返そうとして、口を開いた。
そのとき、ヴァンの顔が見えた。
怒っている顔じゃなかった。
何かに縋りつくみたいな、必死な目だった。
違う。これは答えを求めている顔じゃない。
ここで「仕方なかった」と言えば、きっと・・・。
僕は口を閉じた。
僕が言いたいことを黙っているとヴァンはしびれを切らして。
「もういい!ここから出ていく!」
「よせ!ヴァン!外に出たって、危険なだけだ!」
「はなせ!」
「ううぅぅ」
ヴァンは暴れ、リーネはちょっと泣いている。
「ヴァン!落ち着け。頼むから落ち着いてくれ。ここで出て行っても、どうにもならない。」
ここで、死なせるわけにはいかないんだ。
「・・・」
ヴァンは黙って、座った。
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いよいよ、お酒も蝋燭も無くなった。
ここで、本当に選択を迫られてる。無理にでも脱出するか、それとも待つか。
今なら辛うじて身体は動く。
ヴァンもリーネも動かない。何をする気力も無くなっている。
どうする?どうする!?どうすればいい!!?
状況が好転する気がしない。
僕の中で緊張がピークに達したころ、外からいくつかこちらに近づいてくる感覚があった。
なんだ?気のせいか?それとも・・・?
そう思っていたら、天井扉が開いて、光が差し込んできた。
まぶしい!光が痛い!
それに、新鮮な空気が入ってくるような気がした。
そして、体感でかなり時間が経ったような気がした。
「おい!生き残りがいたぞ!」
どこかで聞いたような声だ。
「少年!良く生きていたな!良かった。」
そこにいたのは、アメリア騎士団長だった。




