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第17話「いつもの村」

前回からの狩りから翌日。


「カナメ。ちょっと来なさい。」


いつものお手伝いをこなしていたら、父さんから呼ばれた。


振り返ると村長もアルスさんもヴァンのお父さんもいた。


「ちょっと来なさい。」


「はい。」


ついに来たか・・・。なんとなく予想はしているけど。


家の中に父さん、アルスさん、ヴァンのお父さん、村長が前に座った。


「カナメ。賢いお前の事だ。何の話か分かっているな。」


うん。分かってる。だから、僕の方から打ち明けてほしいって感じだ。


「うん。実はね。僕には、能力があって、重力制御ができるんだ。」


話した直後、誰もすぐ返事しない。村長が目を細める。


返事を待つ時間が長く感じる。


「重力制御・・・?それは、本当なのか?」


父さんが僕に聞いてくる。


「おそらく、本当なんじゃないか?今思えば、カナメ君がアグルニもビックリュコスも不自然に抵抗を止めたときがあった。」


僕が答える前に、ヴァンのお父さんが答える。


「村長。カナメ君に魔力適正があるのはわかりました。でも、魔力属性が重力ってそんなのあるんですか?」


「いや、聞いたことがないのぅ。属性は闇や聖のようなレア属性くらいなら聞いたことあるが・・・」


闇属性と聖属性ってレア属性なんだ。


「なんにせよ。無理やり聞き出してしまった感じではあるが、ちゃんと話してくれて嬉しいの。」


村長が笑っている。


「いずれ、魔法の事も教えんといかんとは思っていたが、独学で習得したようじゃ。お主は特別な子なのじゃろう。」


うん。転生者だからね。そうしたら、父さんが僕に近寄って抱きしめてくれる。


「うん。カナメ。お前は俺の自慢の子だ。」


「うん。嬉しいよ。父さん。」


これは本心だ。これで良いんだって思える。


その日は解散となった。


翌日、薪割りをしていたら。


「カナメ君。今日は君に解体を教えたい。シンヤさんからも言われているんだ。」


アルスさんが声かけてくれた。


「わかりました。今行きます。」


二つ返事で了承する。そして、付いていくと、広場よりちょっと離れた場所に小屋に入っていった。


この小屋ずっとあることは知っていたけど、屠畜場だったのか。


「この小屋は、アグルニを解体している小屋だな。後、ちょっとした食料保管庫が地下にあるよ。」


たしかに、床に扉がある。中に入ったことはないが。


「カナメ君は初めての解体だからね。ちゃんと教えるからね。」


手取り足取り教えてくれるみたいだ。


ただ、小屋の中に入ったら・・・なんというか、血の匂いとか生臭い・・・強烈な臭いだ。


実際の食肉解体の現場ってこんな感じなのか?結構きついな。


「これは、誰かがやらないといけない仕事なんだ。皆の好きなお肉も解体しないと誰も食べれない。」


「はい。分かっています。」


「うん。それじゃあ、まずは毛を剃っていくよ。二人で分担してやろう!」


「はい!アルスさん。」


これも生きていくのに必要な事だ。頑張ろう。


しばらく、一通りの毛を沿った。


「次は、内臓を取り出していくよ。準備はいいかい?」


「はい!アルスさん!」


しっかり返事をしていく。そして、腹に刃物を当てる。思っていたより抵抗がある。重い・・・。昨日まで生きていた魔物だ。


腹を裂いて、内臓を取り出していく。しかし・・・。


「うっ!!!」


これも強烈な臭いだ!水か何かで洗い流したい気持ちになるが、異世界に水道なんてものはない。


しかも、視覚的に良い気分じゃない。でも、致し方ない。辛いがこのまま頑張るしかない。


しかし、個体が大きいからかなり大変だ。


「よし、次は部分的に切っていくよ。」


「はっ。はい。」


徐々に元気が無くなってくる。アルスさんはいつもこんな大変なことをやってくれていたのか。


部位ごとに切り分けていく。僕もやるけど、手際が良くない。


「初めてなんだから、上手く出来なくて当然だよ。回数をこなせば自然と出来るようになる。」


うん。その言葉でもうちょっと頑張れる。


そんなこんなで、部位ごとに切り分けて、骨も取った。


「うん。今日はこれでおしまい。お疲れ様。カナメ君。」


「はい!ありがとうございました!」


結構しんどかった。後は、部位ごとに地下室に置いた。


小屋の外に出たら、リーネがいた。


「パパ!カナメ!うわ!くっさーい!!一体何してたの!?」


「リーネ。カナメ君と一緒にアグルニを解体していたんだ。その臭いだよ。」


「うわー。近寄りたくない臭いー。」


致し方ないけど、確かに臭い。ずっと同じ場所にいると気にならなくなってくるけどね。


「うん。身体を拭いてくるよ。リーネ。ちょっと待っててね。」


「いや、カナメ君。この小屋の横に水が入った壺があるから、それで身体を拭こう。」


そのまま、アルスさんの言葉に甘えた。


一通り身体を拭いた。臭いはかなり消えたはずだけど。


「うー。まだ臭い。」


そうだよね。


「リーネ。僕は臭いみたいだから、今日は家に帰るよ。」


「え!?えーと、えーと・・・」


「カナメ君。リーネはカナメ君と一緒に居たいみたいだから、遊んでやってくれないかな?」


「パパ!」


なるほど、そうでしたか。


「そうかな?じゃあ、リーネ。行こうか!アルスさん。行ってきます。」


「うん!」


「はい。行ってらっしゃい。」


アルスさんは送り出してくれる。


リーネといつもの通りおしゃべりをしながら、散歩する。


「えっとね。ママがね。最近お腹が大きくなってきてね。」


「うんうん。そうなんだね。きっと元気な子が生まれてくるよ。」


リーネのお話を聞いて、返事をする。


「おーい!カナメ―!」


「また、ヴァンだ。ヴァンはいつも邪魔をする。」


「まぁまぁ。良いじゃないか。3人一緒でさ。」


こうしていつも通り3人で散歩する。ヴァンが揶揄って、リーネがむくれて。


家々に明かりが灯り始め、どこかの家から夕食の匂いが流れてきた。


そうして、空の色が変わっていく。


この日常を続けば・・・続くと思っていた。

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