第15話「静かな増加」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
前回のお目出度発言で、母さんが妊娠したことを知った。
勿論、家の手伝いを増やして、母さんを楽させてあげないとね。
薪割り、畑仕事、水汲み、洗濯。
日課のようにこなしていき、合間を縫って、重力制御の練習も続けている。
そして、今日は村長の講義の日だ。
「母さん。村長の講義に行ってくるね。」
「ええ。行ってらっしゃい。」
母さんに報告して、村長の家に行こう。
家から出ようとしたら、いつものようにリーネが迎えに来てくれる。
「カナメ!一緒に行こう!」
「うん。一緒に行こうか。」
リーネと一緒に村長の家に向かう。これもいつも通り。
そうだ。たまには、こっちから手をつないでみるか。手を出して、リーネと手を繋いでみる。
「っー!!」
リーネはびっくりした顔をしたが、手を離すことはなく、照れたように握り返してくる。
こういうのも悪くない。
「おーい!カナメ―!」
ヴァンが走りながらこっちに向かってくる。
「ヴァンも一緒に行こうか。」
「おう!」
いつもの通り3人で向かう。
「カナメ。実は俺のうち、兄弟が出来るかも!」
「本当に?実は僕もだよ。母さんが妊娠したんだ。」
「ええ!そうなの。実はママも妊娠したんだ。皆同じだね!」
これはめでたい。この村でベビーブームが起きている。
異世界だから、次の子孫を残すことに全力投球しているだけなのかもしれないけどね。
村長の家に到着したら、いつもの通りに講義をするが、村長から。
「カナメ。お前は賢い。ワシも講義をするが、子が増えてきたからお主も教えてやってくれ。」
と言われてしまったので、僕も教える側になった。
簡単な数学ぐらいだったら、僕でも教えてあげられるからね。
「よし。じゃあ、お芋が5個入った麻袋が6個あるとする。お芋は合計何個かな?」
「えーと・・・えーと・・・うーん。」
「大丈夫。じっくり考えてみれば、分かるよ。商人も使う数え方でね、こう考えると良いんだ。」
本当はインド式数学とか教えてあげれば良かったのかもしれないけど、僕の前世ではそんなの習わなかったからね。
「わかった。答えは30個?」
「いいね!正解だ!」
「やったー!」
うんうん!素晴らしい。まぁこのくらいなら教えられるよね。古代ローマとか江戸時代なんかは、実は高度な数学があったみたいだし。
そんなこんなで講義は終わって、僕はこの前の黒髪の疑問を村長にぶつけてみた。
「村長。黒髪って何が悪いのでしょうか?この前の税の徴収で僕は注目されていて、正直気分悪かったです。」
「ふむ。黒髪か・・・。カナメ。お主はそんなこと気にしなくても良いのだ。お主は賢いし、善人だ。ワシはそれを良くわかっておる。何を言われたかは知らんが、気にするでない。」
あ、これは今言えないやつだな。やはり、黒髪には何かあるようだ。
「わかりました。今日はありがとうございました。村長!」
「うむ。気をつけてな。」
そして、リーネとヴァンの3人で帰る。これもいつもの事。
「カナメ。次も狩りに行こうな!」
「え!?カナメ狩りに行ってるの!?」
リーネが驚く。そういえば、リーネには言ってなかったな。
「うん。まだ1回だけだけど、狩りに参加させてもらったよ。」
「むーっ!」
何故かリーネがむくれる。リーネは僕が狩りに行くことはあまり良く思っていないようだ。
「リーネは狩りが嫌いなの?」
「狩り自体は別に好きでも嫌いでもない。でも・・・。」
疎外感だろうか?流石に、狩りにリーネを連れてはいけない。
「へへっ!女は狩りに付いてこれないからな!」
「むー!!!ヴァンなんてまた大怪我しちゃえばいいんだ!」
ヴァン。お前と言う奴はそうやって、煽るから好感度が無くなるんだぞ。
「カナメには、狩りに行って欲しくないかも。」
「リーネはそれは難しいよ。遅かれ早かれ男の子だったら、狩りに出るんだよ。そうしないと、お肉が食べれないし、税も払えない。」
「そうだけど・・・」
感情が認めてくれないって感じだね。こればかりはなー。
「リーネ!ヴァン。カナメ君。」
前からアルスさんがやってきた。
「こんにちは!アルスさん」
「こんちはー!」
「2人共、いつもリーネを守ってくれてありがとう!」
「守ってくれるのは、カナメだけだもん。」
リーネ・・・。そう言いたくなると思うけど、ヴァンも一緒にいる以上、守ってはいるんだよ。
でも、なんだかアルスさんの顔が疲れてるような気がする。
「アルスさん。どうかしましたか?困ったことでもあったんですか?」
僕に何が出来るわけでもないけど、とりあえず聞いてみる。
「ああ・・・実はな、税の徴収が少しだけ上がったんだ。」
「はぁ!あんだけ、持って行ってるのに、まだ上げるのかよ!貴族や国の奴らは!」
「理由は?どうして上げたんですか?」
「わからねぇ。次から少し徴収を増やすの一点張りだ。俺らは所詮平民。従うしかないからな。狩りの回数を増やしていくしかないな。」
「納得いかねぇー!!こっちは、お袋のために沢山肉が必要なのによ!!」
納得いかないのは、そりゃそうだけど、何の理由も無しか。
権力者というものは、そういうものって言われればそうなんだけど。
「カナメ・・・」
リーネは不安そうに僕を見ている。しかし、現状どうしようもない。
こちらも、お肉は必要だ。狩りの回数を増やすしかない。
僕も狩りに参加させてもらえるように父さんに頼んでみるか。
そう思う一日だった。




