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第13話「騎士団と視線」

前回の村長の話を聞いて、より一層練習に力が入る。


毎日、虚脱感が出てしんどい思いをするが、お陰様でかなり良い感じになってると思う。


体感だが、かなり広い範囲まで、重力制御できるようになった。


前より遠くのものにも干渉できるようになり、近くのものには、より強い力をかけられるようになった。


石に手をかざして、重力を今の限界まで加重してみたら、石が土に埋まるくらいだ。これはすごい!


何というか、10Gくらいにはなってるんじゃないか?


ふふふ。これは中々すごい魔法だ。ワクワクする。


よーし!もっともっと頑張るぞっと意気込んでいたら。


「カナメ―!」


声をかけられた。この声はリーネだな。


「リーネ。いらっしゃい!」


リーネは本当に僕に会いに来てくれる。中々嬉しいね。


「えーとね。カナメ。えっと・・・うーんと・・・。」


リーネがモジモジしている。おそらく、前回両親から揶揄われたのが気恥ずかしいのかな?


それでも、僕に会いに来てくれるのは純粋に嬉しいかな。


そうだ!たまには、僕のほうから誘ってみるか。


「リーネ。僕と一緒にちょっと出掛けようか。村の周囲を散歩しよう!」


「え!本当!うん!散歩したい!」


二つ返事って感じだね。母さんに了解を取って、リーネと一緒に出掛ける。


「リーネのほうは今日は何をやっていたの?」


「うん!えっと、今日はね。ママのお料理をお手伝いしてね!」


ふむふむ。メイアさんのお手伝いか。まだ、若いを通り越して幼いのに、偉いなー。


「うんうん。そっか。リーネは偉いねー。」


「え?そうかな?えへへ。」


嬉しそうだ。褒められて悪い気はしないよね。


「その調子でお勉強も頑張らないとね。」


と言いつつ、僕も前世ではそんなに勉強が得意だったわけではない。だから、どの口がって感じなんだけどね。


「う・・・お勉強は楽しくないんだもん。」


正直、その気持ちすごい分かる。僕も子供の頃は(今が子供なんだけど)そんな感じだったし。


そうして、広場まで歩いてくると、税の徴収を行っていた。


頻繁に徴収しているのに、気づかなかったのは、僕が魔法の練習をしていて、気にしていなかったからだろうか。


そうだ!騎士に聞いてみたいことがあったんだ。


「すみません。騎士団長様!」


「なんだ。この子供は?・・・黒髪?団長に気安く話しかけるな!」


なんだ?黒髪に何か嫌な思い出でもあるのか?


「止めろ!君は、この前の少年と一緒にいた子だな。何か聞きたいことがあるのか?」


この騎士団長は人間が出来てるな。それに、比べて他の騎士は高圧的だ。


「見ろ!・・・黒髪だぞ。」


「ああ。」


「何か問題起こすんじゃないか?あの黒髪?」


「どうでもいい。」


騎士達が小さな声で話している。いや、聞こえてるんだけどね。


若干一人、無関心って感じの騎士もいる。


思えば、前の税の徴収も父さんはいなかった。この反応は黒髪に何かあるようだ。


「えっと、騎士団長様。貴方のお名前は?」


「名前?うむ。ふふふ。まさかこんな子供にナンパされるとはな。」


いや、違う。別にそんな意図があったわけではない。


「むーっ!」


リーネがむくれて、僕の手を繋いでいた。いや、そんなつもりはないって。


「私の名前は「アメリア」だ。よろしくな少年。」


僕もヴァン同様、少年呼びか。特に問題は無いけどね。


「アメリア様、どうやったら、アメリア様の騎士団に入れますか?」


「騎士団に?いや、それは・・・まぁ・・・なんだ。色々とクリアしなきゃいけないことがあるんだがな。」


苦笑いしながらも、何とも歯切れが悪い。なんとなくだけど、お金の力か騎士団の家系とかの世襲制なんだろうか。


子供の夢を壊さないような配慮をしながら言ってる感じだ。


でも、僕の目線に合わせて、真剣な目で答えてくれた。


「でも、魔法の適性があれば、チャンスはあるだろう。将来、君を部下に入れることを楽しみにしている。」


何とも綺麗な終わらせ方をしたな。


「はい。ありがとうございます!」


それで、広場を後にした。


「カナメは騎士団に入りたいの?」


「そういうわけじゃないけどね。将来の選択肢は沢山持っておきたいなって思ってさ。」


「うーん。」


リーネが若干落ち込んでいるように見える。


「カナメは・・・この村から出て行っちゃうの?」


「今の所はその予定は無いよ。」


「騎士団になるって事は、村から出て行っちゃうって事なんじゃ・・・。」


リーネが不安そうに聞く。


「選択肢があったとしても、それを選ぶとは限らないよ。それに、僕はリーネもこの村自体も好きだしね。」


「え!!!本当!?」


リーネが顔を赤くしている。そういうつもりで言ったわけじゃないけど、そう受け取られてしまったようだ。でも、否定する気も起きなかったため、そのまま続けた。


「リーネは将来なりたいものあるの?」


「私?私は・・・考えたことないけど・・・うーん。」


顔赤くしつつもチラチラこちらの顔を見てくる。


うん。気持ちは嬉しいよ。ただね、子供の頃の気持ちは年と共に変わっていくものさ。


「将来何になるか。今のうちから考えておこうね。村から出るって事も選択肢の一つさ。」


「うーん。うん。」


釈然としないって返事だね。まぁ、リーネと僕は同じ年だから、8歳の子供に将来のなりたいものって無いだろう。


前世の日本なら、プロ野球選手とかプロサッカー選手とか色々あったけどね。


その後も、何気ない話をして、リーネの家に送ってあげた。


しかし、村から出る。


これを自分の意図しない形で実現するって事をこの頃の僕はこれっぽっちも予想していなかった。

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