プロローグ
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
「ただいまー・・・って言っても誰も返事しないんだけどね。」
独り言を言いながら、アパートに入る。
いつも通りの日常。
何の変化もない。
清廉潔白では無かったかもしれない。
けど、それなりに武道をやって。
それなりに体育会系で鍛えられて。
大学で馬鹿をやって。
不況の中、大手に就職して、必死で今まで生きてきて。
気が付けば、僕は今年で42歳。
もう若くない。
他の同期は、皆結婚してる。
僕だけが独身だ。
羨ましいって思われるけど、変化が無さすぎて生きてる気がしない。
ふと、貯金通帳を見る。
8桁の数字が並んでる。
「昔は、貯金が多くなってくるたびに、嬉しい気持ちになってたなー。」
今は、正直空しい気持ちが勝る。
不幸ではない。
でも決して幸福じゃない。
でも、もっと冒険して良かったのでは?
1回くらい結婚してみても良かったのでは?
そう思わずにはいられない。
「父さん、母さん、ただいま」
いつもの通りに両親の写真に挨拶する。
二人共とっくに他界している。
二人を見送ったとき、正直ごめんねって感想だった。
孫くらい抱かせてあげたらなー。
いつもの通りに、テレビをつける。
僕には関係ない下らない報道ばっかりだ。
「いいなー。不倫する相手がいて。僕なんて、浮気する相手もいないや」
自分で言ってて悲しくなる。
でも、一人しかいないから、返事が無くても口に出す。
なんとなく、気が紛れるから。
「はっは。さて、ご飯を作るか。って言っても温めるだけなんだけどね。」
いつもの通り、鳥の胸肉、ブロッコリー、アスパラを取り出して、レンジで温める。 身体を鍛え、健康に気を使い、重い責任を背負って生きてきた。 その結果が、この静かすぎる部屋だ。
「……重いな」
何が重いのかは分からない。責任か、孤独か、あるいはこの体そのものか。
「うっ!!」
急に心臓が、見えない巨大な足で踏みつけられたように軋んだ。 立っていられない。膝から崩れ落ちる。 床に伏した視線の先で、レンジのタイマーが残り数秒を刻んでいる。
ああ、もっとしない生き方をしていれば。
レンジの終了を告げる電子音が、遠くで鳴った気がした。




