剥ぎ取りの終わり
黒雷の鬼神の仮面の男が、3人をいずこかへとワープさせた場所。
その場所では癒しの仮面を付けた白髪の少女が、生贄の仮面を剥ぎ取っていた。
1枚。2枚。3枚。4枚。ゆっくりと慎重に。残すことが無いように。
5枚。6枚。7枚。8枚。重ねられた生贄の仮面。ふやけた後のも残さずに。
9枚。10枚。11枚。12枚。13枚。そこにきてようやく、黒花の模様の仮面が現れた。
黒花の仮面はメランコリア。すなわち、うつ病を表している。
医療の仮面を付けた老人の言っていたとおりに。
もう生贄の仮面は被らなくていい。十分、男は苦しんだから。
生贄による甘露はもう無いのだから。もう決して奪わせはしない。
月が蒼い光を放っている。途中で雲に遮られはした。それでも、もう剥ぎ取り終えた。
男が被っているのは黒花の仮面。それはメランコリアの証。長年苦しんだ。それがようやく、ようやく明らかにされた。種が育ち、花を咲かせるようにして。
男を生贄にする亡者の仮面群はもういない。
男を生贄にしようとする高官たちも、もういない。
男を生贄にしようとする女王も、もういない。
一掃され、散らされ、闇に呑み込まれたから、いないのだ。
雨の音が聞こえる。冷たい雨の音が。終わりを告げるかのようにして。
男は救われたのである。うつ病が明らかになることによって。
黒花の仮面の男は、生贄の仮面を剥ぎ取ってくれた癒しの仮面を付けた白髪の少女に言った。
「ありがとう」
その一言だけを。ゆっくりとした声音で。
そして、少女は消え去った。役割を終えたかのようにーー。
《終》




