終演
妄執の幻影を散らし終えた黒雷の鬼神の仮面の男は、荒涼とした荒野の奥地の最奥へと歩みを進めていた。
目的はただ一つ。女王と高官たちを闇に堕とし、帰すること。それだけである。
決死の覚悟を持って高官たちは黒雷の鬼神の仮面の男に挑んできた。だが、黒雷の鬼神の仮面の男にとって、ちょうど良かった。
探しに行く手間が省けたからである。
そのことに気づいているのかは分からないが、高官たちは各自が連携するかのようにして襲いかかってきた。
しかし、それは無駄なこと。最期の悪足掻きに過ぎない。
黒雷の鬼神の仮面の男は高官たちの連携を崩すかのように、瞬間的に近付き黄金の剣を振り下ろした。それだけで十分であるかのように。
そして、背後に回り込むと薙ぎ払うように一閃を繰り出す。
たったそれだけ。それだけで高官たちの連携は崩れ去り、地に倒れ伏す。
その時を待っていたのか、黒雷の鬼神の仮面の男は地面に闇を生み出すと、高官たちを呑み込んだ。それによって闇に帰したのである。
黒雷の鬼神の仮面の男は、最後に残っている女王のもとへと向かった。
自分たちの安寧のために生贄による甘露を貪り喰らっていた女王は喚いていた。
貪っていた甘露が無くなったから。それが得られないことに喚き声を上げていた。
黒雷の鬼神の仮面の男は女王に近付く。足音を響かせながら。ゆっくりと。恐怖心を煽るために。
女王はその足音を聞くやいなや、幻影の獣を呼び出した。しかし、すぐに散らされた。彼女にとっての切り札が意味を成すことは決して無いから。
そのことに気づいた女王は、その場から逃亡しようとした。だが、さらに無意味に終わる。
すぐそこまで雷の鬼神の仮面の男は迫っており、黄金の剣を振り上げていたから。
薪を割るかのように頭上から斬られた女王は地面に倒れ伏す。そして、高官たちを呑み込んだ闇が瞬く間に女王に迫ると呑み込んでしまった。
黒雷の鬼神の仮面の男の役割は終わったのである。
そのことを労うかのように、荒涼とした荒野に冷たい雨が降り出していたーー。




