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妄執の幻影

 亡者の仮面群を一掃し尽くした黒雷の鬼神の仮面の男は、荒涼とした荒野の奥地にいるであろう、女王と高官たちのもとへと歩んでいた。 

どんな抵抗をしてくるのか、それを打ち破れば闇に堕ち帰すのみ。

そのことを考えながら歩いていた。そして、奥地へと辿り着いた。

 そこに、妄執が幻影と成り黒雷の鬼神の仮面の男へと襲いかかる。

それは生贄による甘露を貪り喰らっていた者たちの抵抗。

 しかし、悲しいかな。その抵抗は黒雷の鬼神の仮面の男にとっては無意味。

亡者の仮面群のように群れを成していようが、関係無い。幻影はしょせん幻影に過ぎないのだから。実体を持って襲いかかろうが散らされる運命には変わりない。

 黒雷の鬼神の仮面の男は亡者の仮面群を薙ぎ払った時と同じように、黄金の剣を振るう。

そして、妄執の幻影を散らす。暴風の前には煙は散らされるが如く。

実体が有ろうが無かろうが、関係無い。等しく滅びをもたらすのみ。

 嵐が過ぎ去ったかのように残っているのは、それを引き起こした張本人である黒雷の鬼神の仮面の男だけ。それだけが立っていた。圧倒的な力を見せつけるようにして。

 残されているのは、女王と高官たちのみ。

生贄による甘露はもう無い。貪り喰らうことはもうできない。

完全なる詰み。定められた結末を覆す力は絶無と化す。

逃亡することは不可能。むしろ、逃がすまいとして、黒雷の鬼神の仮面の男の餌食となるしか無い。

 しかし、立ち向かおうとしても、圧倒的な力の前には無力でしかない。

結末は黒雷の鬼神の仮面の男の手にかかって、闇に帰することだけ。

 どちらにしても、女王と高官たちは闇に帰するしかないのだ。

遅かれ早かれどちらかを選ぶしかない。定められた運命というのは残酷な結末しか用意していないのだから。

 否、その結末へと自ら選んだのかもしれない。

 生贄による繁栄など、末路は滅びでしか無いのだから。

 荒涼とした荒野の奥地の最奥へと、黒雷の鬼神の仮面の男は歩んでいく。

無駄な抵抗だと知らしめるために。自分の役割を果たすために。

 足音を響かせながら。ゆっくりと。確実に恐怖を煽るために――。



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