表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

空から落ちてきた死

朝の夢の通り、白河ユメの“死”は確かにやってきた。

でも、運命はただの繰り返しではなかった――手段を変えて、彼女を奪おうとしてくる。


放課後の帰り道。

笑いながら横を歩くユメの声が、いつもより少し遠くに感じた。


「それでね、その店のケーキがすっごく可愛くて……」

ユメは話し続けていたけど、ユウトの意識は、彼女の足元と周囲に張り巡らされていた。


(ここまでは夢と違う。まだ“起きてない”。でも、だからこそ……)


そのときだった。


カーン――

どこか上から、小さな金属音が響いた。


「……ん?」


ユメが顔を上げる。


空を見上げた瞬間、ユウトの中の何かが叫んだ。


「――危ないっ!!」


腕を掴んで引き寄せる。

次の瞬間、轟音とともに重たい金属がアスファルトを叩きつけた。


ガッシャァン!!


地面に突き刺さったのは、ビルの高所から落ちた鉄パイプ。

削られたアスファルト、跳ね上がった破片――

ユメの立っていた場所に、それはあった。


彼女はユウトの腕の中で、呆然とその光景を見つめていた。


「……え……?」


声にならない言葉が、唇の隙間からこぼれる。


辺りに人が集まり、騒ぎが広がっていく。


ユウトは、ただ震えていた。


(助かった……けど……)


何かが変わったような気がしたのに、

それでも“死”は、やっぱり彼女を追いかけていた。


その日の夜。


夢の中で、また彼女は死んだ。


今度は、教室の中。


午後の柔らかな日差しが差し込む窓辺で、

彼女は、ふっと笑った直後に崩れるように机に伏せた。


「白河さん……?」


誰かの声。ざわつく教室。


彼女の口元から血が伝い、机にぽたりと落ちた。


赤い、赤い、信じられないほど鮮やかな赤。


制服に広がる血の染み。叫ぶクラスメイト。


そして、何もできずに立ち尽くす自分。


(まただ……また……!)


夢の中で、ユウトはただ叫んだ。


「やめろよ……!やめてくれ……!」


目を覚ましたとき、息が乱れ、胸が苦しかった。

冷や汗が背中を伝い、喉が焼けるように乾いていた。


(何度助けても、何度でも死ぬ……)


心が、軋む音を立てているようだった。

どれだけ変えようとしても、違う形で、死はやってくる。


これは運命なんかじゃない。

もっと残酷で、もっと意地の悪い何か。


(俺が壊れるのが先か……運命が折れるのが先か……)


その問いに、誰も答えてはくれない。


彼の長い、終わりの見えない戦いが始まろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ