夢の中の君は、いつも死んでいる
目が覚めると、胸が重くて息がしづらかった。
また、あの夢を見た。
それは、いつもと同じ夢だった。
でも、毎回見るたびに、心の奥が痛くなる。
夢の中で、彼女は笑っていた。
白河ユメは、クラスの人気者で、みんなの笑顔の源だった。
でも、その笑顔が最後に見られたのは、きっとこれが最後だった。
夢の中で、彼女が倒れていく。
血が広がっていく。
目の前で、彼女が死んでいく。その瞬間まで、僕は何もできなかった。
ただ立ち尽くして、見ているしかできなかった。
その最後の言葉だけは、頭から離れない。
「ありがとう……ユウトくん」
その言葉を聞いた瞬間、胸の中が締め付けられた。
まるで、現実でもその声が聞こえたかのように感じた。
「うう……!」
目を開けると、すぐに心臓がドキドキと鳴り響く。
布団の中で体を起こし、汗だくになったシャツを引っ張る。
どうしてこんなにも、彼女の死が怖いんだろう。
僕の目の前には、未来が映し出される。
それは、まるで“決まった運命”のように、何度も繰り返し見せられてしまう。
最初は気づかなかった。
ちょっとした予知に過ぎないと思っていた。
でも、彼女の死を夢で見て、それが本当に起きてしまうなんて。
今日は、絶対に彼女を助けるんだ。
ただの夢で終わらせない。
時間は6時。まだ早すぎるけど、もう待っていられない。
学校へ行かなきゃ、彼女を助けるために。
だけど、どれだけ頑張っても、僕の未来には、いつも彼女の死が見え続ける。
何度でも、何度でも——それを止めることができないんだ。
——でも、まだ諦めるわけにはいかない。
(続く)