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3.実際は全くの誤解である

初期はテンプレ通り仲悪かったけど、展開に不自然さが出たので仲良しに修正となったのは余談である。

 年頃の令嬢令息達はアーデルとクラーラを仲の悪い姉妹。

 アーデルは血の繋がらない義妹のクラーラを下賤な者として虐げる性悪な義姉。

 皆から好かれる義妹を嫉妬する心が醜い義姉。


 そう信じてるようだが、実際は全くの誤解である。



 アーデルとクラーラの間には血のつながりこそなくとも仲の良い姉妹であった。

 時たま言い合いや殴り合いといった喧嘩はするも、それは喧嘩する程仲の良い証明。

 その事実は二人をみれば……それこそ配膳係を務めるような下っ端。次期王太子妃とほとんど接点ないようなモブでさえ十分察せられる程度に二人の仲は良い。


 加えて、アーデルは身分に全く五月蠅くない。

 アーデルが生まれ育ったアムル辺境伯家は辺鄙な田舎だけあって他貴族との交流がほとんどない。アーデルは同年代の貴族の子ではなく、平民と共に育ったのだ。


 令嬢令息達が口にした『田舎者』は真実といえる。


 だが、田舎者だからといってマナーに疎くはない。

 確かに幼少期は田舎者丸出しな無法者一歩手前だったが、今は次期王太子妃として相応しいマナーや教養を身に着けている。

 それに加え、辺境に逃れざるをえないような訳アリな者と接する機会が多かった事で相手の身分や立場を気にしないフレンドリーな感性も健在。


 アーデルが次期王太子妃としてではなくアーデル個人として接する時は親しく話しかける程……それこそ相手が配膳を務めるような下っ端のモブだろうとも顔と名前……彼が『ビィト』という名前だとしっかり把握した上で接するのだ。

 時には見習いメイドに割り当てられるような雑用、主に厨房での野菜の皮むきといった雑用を息抜きと称して行うぐらいなので、下々から良い意味での田舎者として慕われている。



 逆にデルフリは王太子という身分を嵩にかけて下々を見下す。それでいて自分は分け隔てなく接していると思い込んでる分性質が悪い。


 先ほど配膳モブなビィトがアーデルの怒りを理解して王太子をクズ呼ばわりしたのは、それだけ下々の者から嫌われている証拠でもある。



 言うまでもないが、アーデルの背中を見て育ったクラーラも義姉同様フレンドリーに育った。

 ただし、次期王太子妃で将来はクズなデルフリに代わって国政を取り仕切る立場となるアーデルと違い、クラーラは平民で商売人として生きていく道を選んでいた。貴族社会と関わりがない分、義姉以上に自由気ままで天真爛漫に振舞うため市井ではアーデル以上に人気がある。

 あまりにも自由気まま過ぎるので保護者代わりのアーデルからよく『将来はともかく、今の貴女の身分はまだ貴族令嬢なのよ!少しは節操という物を持ちなさい!!』と説教されるが、クラーラも親しい義姉相手だからと甘えて生意気な態度を取る。


 そうなれば待ってるのは……愛の鞭と称した鉄拳によるわからせだ。


 その光景は人気のある義妹に嫉妬して虐げてる醜悪な義姉の図にみえても、実際に現場を見て来た者からしたら、どちらに非があるかは確定的に明らか。

 それに、クラーラもアーデルに生意気な態度こそとっても本心はお義姉ちゃん大好きっ子。アーデルが居ないところではこれでもかと大好きっぷりをアピールする上に、義姉を侮辱するような者には毅然とした態度で……時には義姉と同じく鉄拳制裁を与えるぐらいなのだ。


 クラーラの鉄拳制裁はアーデルも頭痛い問題でなんとか辞めさせられないかとよく周囲に相談するも、大体は『お前も人の事言えないだろうが』で終わるだけ。



挿絵(By みてみん)


 実際、アーデル自身もクラーラを侮辱する者……大抵はただの早とちり……や婚約を申し込む者相手にその場で手作りした(握り潰した)リンゴジュースを差し出しながら二人っきりでOHANASHIしてるぐらいだ。被害者数は義妹より義姉の方が多いのは確定的に明らか。


 そのせいでアーデルに逆恨みや嫉妬心を抱いた連中にある事ない事でっちあげた噂がささやかれてしまうも、大体はちょっと調べれば誤解だとすぐわかる。それに、噂を広めた連中の大半はクラーラの目の前で武勇伝のように語るのだ。そうなればクラーラの取る行動は一つ。



挿絵(By みてみん)


 笑顔だけど義姉と同じように、その場で手作りした(握り潰した)リンゴジュースを差し出しながら二人っきりでのOHANASHIであった。

 大体はそれで心を入れ替えるのだが、それでも心を入れ替えない者もいる。そんな愚者の待ってる結末は………………


 …………まぁあれだ。物理的な意味で心を入れ替えられるっとでも言っておこう。




 そうしたお義姉ちゃん想いな義妹からのフォローもあって、アーデルの悪女説や義姉妹の不仲説を信じる人はあまりいない。


 逆にデルフリ王太子と同類ともいうべき脳内お花畑なお馬鹿達はでっちあげられた噂を何の根拠もなく信じ込んでいた。


 そんなお馬鹿達が『真実の愛』と称しているデルフリ王太子とクラーラの仲だが……当然ながら違っていた。

物理的に心を入れ替える……


その方法はまぁあれだ。

ご想像にお任せと言っておこう。うん

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― 新着の感想 ―
挿絵が可愛いのに怖いʕ•ᴥ•ʔ!? 美少女2人にリンゴぐっしゃーされながらOhanasi!! 怖すぎるのに!くっ、羨ましくもある!!?ʕ•ᴥ•ʔ
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