文化祭の女装メイドと着ぐるみクマくん
なろうでは初のボーイズラブものですが、表現は軽いです。
楽しんで頂けたら幸いです(^∇^)/
…あー…なんで俺、執事喫茶で女装してメイドやってるんだろう…。
ここは、とある片田舎にある少し大きな男子高校。そして、ただいま文化祭真っ最中。
顔が可愛いからって理由で女装させられた俺・磯村雅は、誰もいない空き教室の隅であぐらをかいてスマホを弄っていた。
LINEを開いて、俺の恋人に向けてメッセージを送る。
『疲れた。女装してメイドちょっとやっただけで、男が寄ってきて辛い。今俺は1年D組の空き教室にいるから来て』
こういうメッセージを送ったあと、俺は大きくため息をついて教室の天井を見上げた。
…本当は、女装は恋人にだけ見せたかった。
だって…恥ずかしいし、恋人にだけ『可愛い』って言われたいし…。
『もうこのメイド服脱ぎ捨てたいな』と思った次の瞬間、いきなり教室のドアがガランと大きな音を立てて開いた。そして、教室に入ってきたのは…。
大きな大きなクマの着ぐるみだった。
「みやび〜…。おまたせ〜…」
「ひいいぃ!!」
いきなり、圧の強すぎる低音ボイスのクマ(の着ぐるみ)が、のっそのっそと俺の方に近付いてくる。
ついに教室の端に追いやられてしまい、殺られると思ってギュッと目を瞑ったその時、
何故か俺は、そのクマの着ぐるみに優しく抱きしめられていた。
「…ミヤビィ…女の子怖いぃ…。クマの着ぐるみ着ても追いかけてくるぅ…」
「…あー…」
そういえば、くぐもってちゃんと声聞こえてなかったけれど、この少し独特な呼び方で理解したわ。
この着ぐるみの中の奴、俺の恋人だ。
俺の恋人は、こう見えて女子にめちゃくちゃモテる。
しかも俺と同じクラスで執事喫茶の執事をしてるから、そりゃあもう文化祭に来た女子を骨抜きにした事だろう。
でも、コイツは俺にゾッコンだし、嫉妬する要素は全くないんだけどな。
「うっ…やっぱり執事喫茶は嫌だったんだよ!可愛い俺だけのミヤビが女装するのも嫌だったし!」
「でも、文化祭は青春謳歌の場じゃないのか?」
「そうだけども!でも、ミヤビが男にモテるのが嫌なんだよぉ…。だってミヤビ、ゲイだし…」
「…はぁ〜。例えゲイでも、俺はお前しか愛さないからな。分かってるだろ?」
「…うん…」
本当に、俺の恋人は嫉妬深くて可愛い。
このまま、このクマの着ぐるみを脱がしてキスしたい気持ちもあったが、今日は文化祭だ。
たまには違う格好のままイチャイチャしてもいいだろう。
そして、俺はメイド服のままクマの着ぐるみの口にキスをして、笑ったのだった。
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