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4話 大魔女討伐の旅に出発?!

 夕ご飯の支度をして、ミーちゃんと一緒に食卓についた。

 今日のご飯は野菜スープとパン。スープの具材は、うちの裏庭で取れた芋や葉野菜をふんだんに取り入れているんだよ。

 野菜のカッティングはミーちゃんも手伝ってくれた。一見、家事なんてできなさそうなミーちゃんだけど、料理もお掃除も完璧にこなしてくれた。この子、有能すぎない!? さすがは、おばあちゃんが残してくれた魔導書に封印されていた魔神だよ……!


「いただきま~す!」「ミィ~!(食べるぞ~!)」


 ミーちゃんと一緒にスープを啜る。ミーちゃんはタダの黒い毛玉の魔物だと思ってたけど、実は体毛の中に細長い手足を隠していた。今は器用にスプーンを持ち美味しそうに具材を食べてるよ。


「ん~美味しい! ミーちゃんは料理も上手だし、本当に凄いね~! わたし驚いちゃったよ!」

「ミミィ~! ミミミィ~!(えへへ! おいらは凄い魔神だからね~!)」

「でも、ミーちゃんって変わってるよね? わたし、趣味で魔物図鑑とかよく見てたけど、ミーちゃんみたいな魔物は見たことないよ~」

「ミィ~。ミミミミィ。ミミミ(う~ん。実はおいらも昔の記憶がないんだ。自分が超凄い魔神だったことは覚えてるんだけど)」

「え? そうなの?」

「ミミ。ミィ~。ミミミミ(うん。多分、封印される過程で魔力と記憶の大半を削がれたんだと思う。昔のおいらは、もっと強かった気がするし)」


 い、今でも十分強いけどね……! てかミーちゃん、昔はどんだけ凄かったの……?! それを封印したおばあちゃんたちも凄すぎなんだけど……!?

 う~ん。……もしミーちゃんが危険な魔物だったら、このまま記憶を取り戻さないほうがいいんじゃ……? 今のミーちゃんは可愛いし、せっかくお友達になれそうだからね。


「ま、まあ、無理に記憶を取り戻そうとしなくてもいいんじゃないかな……! なんか嫌なこととか思い出しちゃうかもしれないし、い、今が楽しければハッピー! みたいな?」

「ミミミィ。ミミミミミミ(おいらもそう思う~。でも、ひとつだけリリティに伝えなきゃいけないことがあるんだ)」

「伝えなきゃいけないこと?」


 ミーちゃんはコクリと首肯したあと、真剣な面持ちで話した。


「ミミ、ミミミミ~、ミミミミミミ。ミミ、ミミミィ~(実はね、あと三日以内に大魔女エリクシアを倒さないと、このリディア大陸は海の底に沈んじゃうんだ。最近、大魔女の魔力が不安定だからねぇ)」

「…………っ、ええええええええええええええええええええっ?!」


 り、リディア大陸が、海の底に……?! それもタイムリミットはたったの三日……?!

 そ、そんなことって、本当にあるの……?!


「う、嘘だよねぇ?」

「ミ、ミミ~。ミミミ、ミィ~。ミミミミ、ミミミィ~(ううん、本当だよ。おいらは凄い魔神だったから、魔力の気配にはとても敏感なんだ。あと三日もすれば、大魔女の魔力が暴走して大陸は滅ぶだろうね)」

「そ、そんな。……でもたしかに、南部のアウルヴィッツのほうじゃ、大魔女エリクシアの放った魔力波で多くの人々が被害に遭ったって噂を聞いたけど……」


 最近のリディア大陸の情勢を考えれば、今の話がミーちゃんのタダの妄言だと看過するのは憚られるよ。

 それにミーちゃんと精神で繋がっているからかな? この子の言っていることは嘘ではないってことが、直観的にわかる。胸に手を当てると、心臓がドクンドクンと躍動して妙な胸騒ぎがするんだ。

 やっぱり……、ミーちゃんの言っていることは本当なのかも……?


「……そういえば、古い文献で見たことがある。かつて、とある大陸を支配する魔王が力を暴走させて、大陸ごと海の底に沈ませたって記録が残っているって」

「ミミィ。ミミミミミミ。ミミミ。ミミミィ~!(そうそう。だから早く大魔女エリクシアを倒さないといけないだよ。で、大魔女を倒せるのは、それ以上の力を持った魔法使いだけ。つまり君だよ、リリティ!)」

「……え? わ、わたし?」


 困惑! そんなこと言われてもまったく実感もてないよぉ?! だってわたし、身体強化魔法しか使えないダメダメ魔法使いなんだよ……?!


「ミミミミミ、ミィ~! ミミミ、ミミィ~!(おいらの封印を解いたってことは、リリティがおいら以上の潜在能力を持った勇者だからだよ! 普通の人間じゃあ、まずおいらの封印を解くことすらできないからね!)」

「そ、そうなの?! で、でもいきなり自分が勇者だなんて言われても…………いや~、照れますな~! デュフフフ……!」


 なんか頬が緩んじゃうよ! 昔から魔王を倒す勇者様の冒険譚が大好きだったからね!


「ミミミ、ミミィ~。ミミミミ、ミ?(このままだったら、そう遠くないうちに大魔女エリクシアがリディア大陸を消滅させられちゃうよ。リリティは、それでもいいの?)」

「そ、それはダメだよ! だってこのリディア大陸には、おばあちゃんとの思い出がたくさん詰まってるんだから!」


 それにリディア大陸は、世界一自然豊かでとっても素敵な国なんだよ。この場所で平和に暮らしている人たちのためにも、大陸滅亡の危機から救わないと……!


「ミミィ~! ミミミミミ、ミィ~!(それでこそリリティだよ! おいらも力になるから、一緒に頑張ろうね!)」

「わ、わかった! そうと決まれば、早速、出発しよ~!」


 意気揚々と冒険の始まりに胸を高鳴らせるわたしとミーちゃん! 大魔女エリクシアと戦うのは怖いけど、み、ミーちゃんがいるから大丈夫だよね……!


「あ、そうだ! おばあちゃんが残してくれた宝箱、今こそ開けるときだね!」

「ミミミィ?(おばあちゃんが残してくれた宝箱?)」

「うん! おばあちゃんが亡くなる前に、『もしリリティが大事な旅に出ることになったら地下室の宝箱を開けな。そこにはきっと、あんたの旅に役に立つ品が入っているから』って遺言を残してくれたの! 多分、凄いアイテムがあるはずだよ!」

「ミミィ~! ミミミミ、ミィ~!(それは楽しみだね! じゃあ早速、宝箱を開けに行こ~!)


 わたしとミーちゃんはドキドキワクワクしながら地下室に下りていった。

数ある作品の中から本作をお読みいただき誠にありがとうございます!


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