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1話 召喚獣は黒い毛玉?!

 カンテラで辺りを照らしながら、暗くジメジメした地下室に下りていく。

 この家には長く住んでいるけど、地下室に下りたことは殆どない。死んだおばあちゃんに、地下室には危険な物がたくさんあるから近づいてはダメだよ、と言われていたから。

 地下室の奥にある本棚の前まで来た。周囲は埃っぽくて、今にもくしゃみが出そうだ。本棚にも大量の埃が被っていて、もう何年も触れられていなかったのがわかる。


「ええっと……、おばあちゃんが言ってた魔導書って、どれだろう?」


 先日、死んだおばあちゃんが、こんな遺言を残していったんだ。


『リリティ。あんたは強い魔力を持ってる。だからその魔力を世界救済のために使うんだよ。……それと家の地下室に〈超すごい魔導書〉があるから、ばあちゃんが死んだら読んでみなさい。きっとあんたの役に立つから』


 おばあちゃんは半世紀前に、どこかの大陸の魔王を倒した勇者パーティーの一員だったらしい。そのときに手に入れた魔法アイテムがこの地下室に保管されているらしくて、わたしが一三歳になったら自由に使っていいよと言われていたんだ。


「あ、あれかな? ……ちょっと高い所にあるなぁ。よいしょっ」


 わたしの身長では手に届かない所に萌黄色の本があったから、木箱を踏み台にしてその本を手に取る。


「……〈魔の封印書〉? ……これ、ほんとに大丈夫なヤツ?!」

 

 いかにも怪しいタイトルでちょっと不安になる。

 でもわたしは、何故かその本に強い興味を引かれ決心する。


「ま、まあ、おばあちゃんが残してくれたアイテムだし、危険な物じゃ無いよね……? ……うん、そう信じよう!」


 おばあちゃんは、わたしを子供の頃から大事に育ててくれたやさしい人だ。だからわたしが危険な思いをするようなアイテムなんて残してなんていないはずだ。

 わたしは〈魔の封印書〉を手にして、居間に戻ることにした。


 ◇◇◇


 居間に戻ったわたしは、早速〈魔の封印書〉を読んでみた。


「ふむふむ、ええっと………………………………、古代文字ばっかで読めないよぉおおおおおおお!!」


 一〇秒で挫折したよ! 古代文字の勉強なんてしたことないからね……!


「……はあ。せっかくおばあちゃんが残してくれた本なのに、読めなきゃ意味ないよ……。こんなことなら、古代文字の勉強しておくんだったなぁ……」


 ショックだ。せっかく何か新しいことが始まる予感がしたのに、これじゃあどうしようもできない。

 嘆息すると……どこからともなく微風が吹いて、〈魔の封印書〉のページがパラパラと捲れていった。


「……あ」


 そして〈魔の封印書〉は、とあるページまで捲られた。そこには、不可思議な文様で構成された図形が描かれていた。


「……これって、魔方陣?」


 その魔方陣は、インクで描かれているはずなのに奇妙な虹色の光彩を放っていた。

 わたしは無性にその魔方陣に惹かれ、何気なくそれに手を合わせた。


「……え? わああああああああああああああああああああっ?!」


 すると魔方陣から溢れんばかりの虹色の光が放たれ、白昼の太陽の如く溢れんばかりの光がわたしの網膜を突いた。


「……っ!」


 咄嗟に目を閉じて腕で光を遮ったから、目が眩むことはなかった。危うく失明するところだったよ。

 ようやく光が収まったので、わたしは恐る恐る目を開く。


「……?」


 特におかしなところはなかった。部屋の中はいつも通りだし、窓の外の景色は遠方の山々もくっきり見える心地の良い日和だ。


「……んんんっ?!」


 だけど、ひとつだけ、魔方陣に触れる前と後では異なることがあった。


「ミィ~!」

「……えっと?」


 床に、キャベツ程の大きさの黒い毛玉の魔物が、つぶらな瞳でわたしを見つめていたのだ。


「ど、どう見ても魔物なんですけどぉおおおおおおっ?!」


 パニックになる。この家はおばあちゃんが張った結界に守られているから魔物は入れないはずなのに……!


「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


 わたしは近くにあった箒を手にして、その黒い毛玉の魔物を追い払おうとした。


「ミィ~!」


 でも黒い毛玉の魔物は楽しそうな声をあげながら、とても俊敏な動きでわたしの攻撃を躱しながら跳ね回るのでした。た、助けて~!

数ある作品の中から本作をお読みいただき誠にありがとうございます!


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