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dolce.  作者: 緋天
17/24

第15夜.タイムオーバー


「ん・・・っ。」


カーテンの隙間から降り注ぐ眩しい光で目が覚めた。

しばらく寝ぼけてうとうとしていたものの、は、と気がついて思わず呆然としてしまった。



ここは、どこ?



淡いブルーのカーテン。

白い壁紙。

壁に沿って置かれているメタリックの本棚には、広辞苑から何語かすらもわからない洋書、そして私でも知っているメジャーな文庫本まであらゆる書物が並んでいる。

左手に見えるドアが妙に遠い。

そしてなにより、このベッド。

誰のもの?


明らかに私の部屋ではない。

その事態に気づいてから、もしやと思って自分の体を確認してみたけれど何ら違和感はなかった。

ほっと一息安心してから、改めて現状把握を試みる。

ベッドヘッドの棚に置いてあるデジタル時計によると、現在7時25分。

良かった、今日が土曜日で。

仕事がある平日だったら、完全に遅刻だったわ。



えっと、昨日は。

会社で帰り際に田中さんから絡まれて、そのことでムシャクシャしながら詩藤さんとの待ち合わせ場所に向かったんだった。

そして、レストランで食事した後にバーに移って飲みなおしてて。

ほろ酔いになってきた私がいろいろ詩藤さんに愚痴っちゃって・・・。

それから・・・・・・どうしたんだっけ。

っていうか、せっかく詩藤さんとお話してたのに会社のことでグチグチ言っちゃうなんて、詩藤さんに迷惑かけまくりじゃない!

きっとつまらなかったに違いないわ。


そしてきっと、いや、間違いなくここは詩藤さんの部屋。

飲みすぎて寝ちゃったんだわ、私ったら。

なんて恥晒しなの~っ!!



慌ててベッドから起き上がってドアを開けてみるけれど、詩藤さんの姿は見当たらない。

リビングには大きなソファーが置いてあってそこにブランケットが丸まっていることから、昨晩は詩藤さんをソファーで寝かせてしまったということに気づいて、またもや自分の不甲斐なさに落ち込んだ。


どこからか水音が聞こえてくるから、きっと詩藤さんはシャワーでも浴びているのだろう。

あんまり長居してはいけない。

詩藤さんに直接顔を合わせて謝罪できないのは心残りだが、彼が出てくるまでの間我が物顔でここに居座り続けるのは図々しすぎる。

そう思ってテーブルの上に置いてあったバックと丁寧にハンガーに掛けてあったジャケットを手に持って、そろそろと玄関へ向かう。


そして、外へ出ようとドアの取っ手に手をかけた時だった。



「もう帰っちまうのか?だが、タイムオーバーだ。」



そう声がしたかと思うと、ぐいっと腰を掴まれて誰かの胸のなかにすっぽりと引き込まれてしまった。



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