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失恋

作者: 鷹箸 佳

お待たせ、王子様。待たせちゃったかな?

そう、よかった。


王子様じゃなくて名前で呼んでほしいって?うーん…。うれしいけど、さすがに不敬だと思うな。ため口きいてるのに今更って感じだけどね。


王子様ってさ、空を眺めたことある?そりゃあるって?ごめん、さすがに失礼だったね。

じゃあさ、好きな空の色って何色?ほら、空って時間とか天気によって色んな色になるじゃない?

晴れた夏の日の抜けるような青空?夕焼けの鮮やかな茜色?ううん、どんな色だってあなたには似合うんだろうな。


冬の夜明けの空なんだ?へえ!意外。でも、王子様らしいかも。いい為政者になる人にはぴったりの答えだよ。

え、私が好きな空の色?私が好きなのはね、太陽が沈んだ後、夜が降りてくる少し前の緑色に染まった空の色。美しい夕焼けに隠れてるけど、晴れた日なんか本当にきれいでね、一人で眺めてると泣きそうになるんだ。



そんな顔しないで。わかってる、ちゃんと聞くよ。もう逃げたりしないから。



…ありがとう。王子様にそう思ってもらえたこと、本当に名誉なことだし、ありがたいよ。これは本心からそう思ってる。

でも、でもね。私は、王子様の想いにお答えすることはできません。ごめんなさい。

王子様もご存知でしょうけれど、私には好きな人がいて。その方は王子様ではないのです。




もう諦めたらいいのにって、王子様も酷なことを言うね。あなたが諦めずに私のこと追いかけてきたみたいに、私もあの人のことを諦めるなんてできないんだよ。

謝らないでよ、私がもっとみじめになる。あなたには慰めてくれる人がいるけれど、私には頼れる相手がいないんだから。

俺たちを頼ってほしいって言ってくれるのは嬉しいけどさ、なんだろうな…こう、さ?そうじゃないってこと。わかっていただけないかしら、王子様?



ん~、王子様ってホント諦め悪いなあ。じゃあお言葉に甘えて、少し愚痴らせてもらってもいいかな。



私ね、王子様たちと知り合えたことは本当に良かったと思ってるんだ。でもね、友達以上の想いを寄せられてるんだろうなって気づいてからは、少し重荷に感じることも多いんだ。だってあなたたちは上位貴族だけど、私はしがない子爵令嬢だもの。身分差を乗り越えたラブストーリーなんて物語の中だけのお話、由緒ある家のお嬢様方を押しのけて王妃の椅子に座るだけの気品も度胸も根性も私にはないし、そうしてまで添い遂げたいという熱い想いもない。

だから最初からあなたたちとどうこうなろうなんて考えてもいなかったし、分相応な人を好きになったつもり。

それなのに、どうしてあの人だけは私に振り向いてくれないんだろう。


自慢じゃないけど、私ってかわいいと思うんだ。スタイルも悪くないと思う。王子様たちが声をかけてきたのも、初めは私の顔と胸だったでしょ?

ごまかさなくていいの。慣れてるから、そういうのには。別に怒ってもないし、むしろ貴重な出会いになったと思ってる。


だけどね、あの人はどうしたって振り向いてくれない。他の人は何もしなくても寄ってくるのに、あの人だけが捉えられないの。

いっぱい話して、たくさんアピールして。それでも、まったく効果がないの。


なんでだろうって、ずっと思ってる。今でもわかんない。

いい加減に諦めたほうがいいって言われたことも、一度や二度のことじゃないよ。

でも、さっきも言ったけど、そんな簡単に諦めるなんてできないんだよ。



ごめんね、振った上に恋愛相談みたいなことまでしちゃって。私、王子様にもたいがい甘えすぎてるよね。

いつもありがとう。応えられなくてごめんなさい。

そういうことだから、みんなにもよろしく伝えてもらえると助かる。



今日みたいなことが繰り返しあると、そのうち私の心が折れちゃうかもしれないから。

絶賛煮詰まり中のこちらも読んでいただけると作者が泣いて喜びます。

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