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第92話:星の鼓動は愛07


「フィーネは本当に何を考えてるんだか」


 ちょっと其処が気になります。こっちを敵視する何者もないでしょう。そもそも終焉剣レッツトエンデについて聞くほどこっちの勝率は泡沫になります。聞くに、あらゆるモノを終わらせる終の一。あらゆる事象、仕事、物質問わずにかの剣の前では滅ぼされ能う。


 多分あっちの世界で言う時間加速なのでしょう。時間を先取りすることでエントロピーを高め事象その物を散らしてしまう。たしかに最強の一角ですよ。地平剣ホライツォントも大概でしたけど、終焉剣レッツトエンデもまた常軌を逸している。


 最近ようやくダイレクトストーカーを動かせた私とジュリアンに構う理由も無いはずですけど……。


「そこら辺どうなんでしょうねぇ?」


「こっちのセリフだぞ」


「何がぁ?」


 裸になったジュリアン……もといジュリアに疑念を向けます。


「なんでパペットまでお風呂に入ってるんだ?」


 ジュリアの屋敷の温泉を引いた大欲情……失礼……大浴場でのこと。


「私の使用人一号ですからぁ」


「使用人なら屋敷にいるだろ」


「私は給料払ってませんしぃ」


「当方としてもマイマスターに奉仕したいです」


「そうじゃなくて。そうじゃなくて」


 うぅーとジュリアが唸ります。


「ていうか俺様の性別バレてるじゃん」


「ついでに私の性別もですね」


 私ことトールが男で、ジュリアンことジュリアが女の子。


「でも視認って結構高度な技術なんですよ。むしろ外見だけでオートマトンが雰囲気を掴んで性別を誤認するっていうのが既にオーバーテクノロジー」


「どういう意味だ?」


「方位選択性っていう概念が向こうにはありまして。高度な視覚って言うのは実のところ生物の不思議で、無機物での再現は基準世界でもかなりアレなんですぅ」


 ムギュッとジュリアとパペットが私に抱きつきます。


「あのぅ。あんまり引っ付かれると股間事情がバーストするんですけど」


「あの終焉の魔女と戦うんだ。勇気が欲しい」


「当方はマイマスターの慰み者になりたいです」


「トールの純情は俺様が貰うぞ」


 既に童貞でも処女でもないんですけどね。


「結局勝てるんですか?」


「グ。難しいけど……。トールと一緒なら何とか」


「マイマスターは業が深いですね」


「それだけジュリアが純情って事だけどね」


「ていうかパペットは温泉に浸かって錆びないのか?」


「不朽カラクリですので自然現象では滅しません」


「もしかしてエンシェント?」


「定義は違いますけどレガシーではありますね」


「トールに近付いて何がしたいんだ?」


「ストーカーになりたいんです。そのために私は造られました。もっとも……欠陥品ディフェクターの烙印を押されましたけどね」


「ディフェクター……」


「何か?」


「皮肉かなと思ってな。俺様も劣等生ディフェクターだから」


「え? アンドロギュノス動かしてましたですよね?」


「ちょっと事情があってサクラメントをマテリアライズ出来ないんだ。だからダイレクトストーカーに乗っても戦えない」


 別に霊魂武装だけが戦う手段でもないんですけど。実際に私も使えませんし。


「マイマスターは?」


「魂には否定的だから」


 チャプンと温泉に浸かります。


「意識の独立愚連隊って奴に認識が追いつかなくて。ソフィアがソレに当たるんでしょうけど、認識を現象に持っていく意味で魔術と霊魂武装の差異が捉えられないんですよねぃ」


「当方にも魂ありませんしね」


「だからまだしもパペットの方が可能性はありますよぅ」


「嬉しいです」


 ギュッとパペットが抱きしめます。対抗するようにジュリアも。


「トールぅ。キスしてぇ?」


 甘えるようなジュリアの猫なで声。裸になるとこの子はこんなにも幼い仕草を見せます。


「いいですけど。また達しますよ?」


「トールならいいんだぜ?」


「キス」


 パペットが不思議そうな。キスそのものは知っていても文学に理解がないのでしょう。


 私とジュリアの唇が重なります。


「ん……あ……っ……」


 ビクビクッ。唇を重ねるだけで絶頂で身体が震えます。本当にこのバージンは。


「トール……。好き……」


「私も好きですよ」


「マイマスター。ジュリアン様の反応は?」


「乙女の業」


 あるいはそれはフィーネにも通ずるのか。どうなんでしょうね?


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