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第82話:私の愛馬は凶暴です12


 フィーネ=クォーネは兄に吐き捨てます。


「大層な自信だこと」


「いや。あながち自信でもないぜ?」


「そうなので?」


「少なくともアルマと並ぶ最強の一角だ。オブラウンドの一角にも数えられている」


「なぁにソレ?」


「円卓の騎士。十二人で構成されるストーカーの最上位名誉。この学院ではクォーネ兄妹二人が名を連ねている」


「え? アルマさんってそんなに凄いので?」


「えへん」


 ふんす、と鼻息荒く胸を反り、グイと首輪のリードを引っ張られる。残念系男子にしか見えないのはご愛敬で。


「距離を支配するアルマの地平剣ホライツォント。そして妹の方が……」


「終焉剣レッツトエンデ。この世を終わらせる魔剣ですわ」


 漆黒の刃を持った典礼剣が彼女の魂から抜き放たれる。霊魂武装サクラメント。あらゆる終わりを具現する最強の一角。


「なんでしたら此処で死にますか? やって出来ないではありませんわよ?」


「魂ね」


「そう言えばトールは信仰していないんだったな」


「馬鹿馬鹿しすぎて」


 肩をすくめる。いや本当に。


「それは神の運営を否定するのではございませんこと?」


「全知全能は信仰してますよ。隙間の神効果は魔術の基礎ですし」


「隙間の神効果?」


「いわゆる魔術の運用に於ける人間認識の限界を補填する現象。その延長線上に存在する仮想情報運営機械。現代魔術師が神と言った場合はコレを指しますね」


「神が機械だというんですの?」


「だって全知全能ということはつまり世界全てと同一ということでしょう。この世の完全支配は即ちこの世そのものと成り代わること。それも意識的に。人間は呼吸の原理を知らなくても息は出来ますけど、神様は全知の範囲でしか全能でないんです」


「教会協会に喧嘩を売ってますわね」


「別に他者の信仰を否定する気はございませんけどね」


「そこら辺詳しくお願いするにゃ!」


 目をキラキラさせるアルマに、


「お兄様」


 グイと首輪のリードを引っ張るフィーネ。


「だって彼の者は新たな認識を伝えてくれるんだにゃ! しかも美少女で!」


「照れる」


「お兄様を堕落させないでください」


 桜色の瞳が、此方を斬りつけるように睨みやります。やっぱり色的に温和ですよね……クォーネ兄妹は。


「だからトールは凄いんだにゃ!」


「こんな不信心が?」


「少なくとも僕は夢中だにゃ!」


「ではこうしましょう」


 ヒュンと終焉剣が振るわれる。


「わたくしと決闘なさいなトール」


「何故にぃ?」


「勝てばこのわたくしが何でも言うことを聞いて差し上げますわ。それも永遠に何度もね。代わりに私が勝てばお兄様とは距離を置いて貰います」


 普通にメリットとデメリットが均衡を保持していない気もしますけど。


「そんな我が身を灼熱に晒さなくともぅ」


「あら。この終焉の魔女が譲歩していますのよ? チャンスだと思いません?」


「言っておきますけど私は女の子だっていけちゃいますよ?」


 というか此処では言えないけど男だし。ピンクの髪の女の子をアヘ顔ダブルピースにする願望は持っていて当然ですよ?


「そうなので?」


「全裸で聖水垂らしながら『ウラキ少尉、突貫します!』って男子寮に突っ込ませる命令を受け入れられますかぁ?」


「ええと……」


 二の足踏みますよね。当然。


「トール。また明日踏んでくれると嬉しいにゃ」


「お兄様!」


「にゃー」


「ええ。分かりましたわ。つまりソッチもメリットがあると。わたくしと決闘してくださいますのね?」


「あれ? 引かないの?」


「勝てば良いだけでしょう。ギガントマキア。ティターンとやり合うのも経験ですわ」


 そう云うことになった。


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