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第77話:私の愛馬は凶暴です07


「ABC装甲って呼ばれる絶対防御がダイレクトストーカーを覆っているにゃ。この防御はダイレクトストーカーの攻撃によって数値が減退し、最終的に相手のABC装甲を削りきった方が勝者となるにゃ」


「ABC装甲……」


「ちなみにABC機構とは略称の意味が違うことを追記しておくにゃ。あっちはソウルトランスレイション。ABC装甲はアブソリュートディフェンスを意味するにゃあよ」


「つまりABC装甲の出力値を零にするまではダイレクトストーカーは傷つかないと?」


「そういうことに」


 ――相成るぜ。


 アルマとジュリアン双方から頷かれます。


「ふむ」


 ではつまり魔術の認識。ここでいうパワーイメージが絶対防御を想念している以上、その完全性については疑う余地が無いわけで。


「ちなみに装甲出力はストーカーによって増減するから、これにも才能が要るんだにゃ」


「へえ」


 質素な剣を振る。相手の地平剣と鍔迫り合いになりました。ガシャン。瞬間、剣を引いて呪文を唱えます。


「――迦楼羅焔――」


 全長二十メートル相応の炎が生まれて、熱の翼を打って飛翔します。それは速やかにサクラナガン・ルージュに着弾……爆発。轟音がひび割れて鳴き、熱風が全方向へと排出され。


「おおう。恐ろしい魔術にゃ」


 ――まったく同感だぜ。


 これでも一応手加減してるんですけどね。にしても煤埃一つついていないダイレクトストーカーのABC装甲は本物なんでしょうけど。絶対防御……か。


「――後鬼霊水。秋水――」


 今度はウォーターカッターを飛ばす。超速で加圧された水が糸のように飛びます。たやすくダイレクトストーカーの装甲に当たり、けれども四散。少なくとも純物理的に脅かすことは出来ないようで。いや、出来るんでしょうけどソレにはまずABC装甲を引っぺがす必要があるそうな。


「うーん……」


「思ったけど……トールの魔術って有り得にゃいにゃ」


 え? 何で?


 ――それは俺様も思った。


 はあ?


「なんで定型句でない呪文で魔術が使えるにゃ?」


「マジックトリガーは引いてますよ?」


 ――マジックトリガー?


 そこからですか。


「後刻解説しますよ」


 異世界の魔術にも興味があるし。


「――前鬼戦斧――」


 今度は風が斬撃と相成りました。ズバンッと風鳴りがして斬撃痕が刻まれます。


「うーん。ガリガリ装甲値が削られますにゃ……」


 ――少なくとも遠距離でならトールは最適解だぜ。これは良い拾い物。


 というか私と一緒じゃないとジュリアンは機械神動かせないでしょう?


「じゃ、こっちも魔に頼ろうかにゃ」


 ジャキッとアルマが剣を構えます。


「――地平剣ホライツォント……オーバードライブ――」


 オーバードライブ。要するにサクラメントの必殺技だ。コレの存在がサクラメントをして最強たらしめている要因でもある……らしい。しかも地平剣の奥義とも為れば。


「ッ!」


 ゾクリと悪寒を覚えて相手の剣閃を回避します。こっちの間合いの届かない距離からの袈裟切り。当然向こうの剣の間合いでもない。ただ距離を掌握する地平剣に、間合いという物は存在せず。


「――ラインドローイング――」


 ザクリ。


 ダイレクトストーカー用の訓練施設の壁が天井から地面まで……側面に斬撃痕が走っていました。もちろん実際の剣で切ったわけではない。ただ剣の斬撃の延長線上……要するに距離がそのまま斬撃となって放たれただけ。というのは簡単でも実際に見ると戦慄しますよ。要するに筆で線を引くように物体を切れるというのだから。

 速度的にどうなんでしょう? 光速を超えているのか。情報の伝播は普通光速を超えないんですけど、こと魔法はそれすらも覆します。


「いい反応ですにゃー」


「斬撃が飛ぶのは慣れていますから。一応遠距離の斬撃に対する処遇は心得ています」


 剣閃の延長上に入らない。言うのは簡単なんですけど、実際に出来て良かったとも思います。これが水平斬りになると途端に難しく。


「まだやるにゃ? 一応こっちの装甲値もまだあるにゃーよ?」


「じゃあもう少し……」


 ――だな。アンドロギュノスの機動性も総ざらいしておきたいし。


「では。参る」


「応ともにゃ」


 ガションと、ダイレクトストーカーの駆動音が鳴り響きました。


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