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第73話:私の愛馬は凶暴です03


 ダイレクトストーカー。


 意訳して直接的追随者。


「つまりストーカーの動きをダイレクトにストーキングするオーパーツだにゃー」


 とのこと。


「ふわぁ」


 そして私はこの世界に来て最大のショックを受けていました。


 ダイレクトストーカー整備場。


 そこには二十に及ぶ巨大人型ロボットが陳列されていました。ルージュ色のアルマのマシン…………サクラナガン・ルージュもまた並べられていて。整備班が駆けずり回って機体……つまりダイレクトストーカーを弄っております。


「じゃあジュリアンはパートナーにとっても可愛い女の子を見つけたから機械神を動かせるようになったとにゃ?」


「そういうことだな。理屈としては」


「今までは女の子を乗せようとしなかったしにゃー」


 まぁそもそも男女一対で乗るアンドロギュノスで、ジュリアンが女だからパートナーは男になるはずで。しかも男を乗せると政治上ゲイと云うことになり。私という「どう見ても女の子」な「男の娘」が必要だったと言うことだ。ついでに政治的に力学も背景も持っていない人材となればその数は希少だろう。


「それで私たちの搭乗する機体はどれでしょう」


「一番隅っこの漆黒の機体だぜ」


 チョンと、水滴に波紋を作るような指差し方でジュリアンは整備場の一角を指し示します。


「機械神アンドロギュノス。ティターンぜよ」


「ティターン?」


 曰く、古い巨人。どこから来たのかさえ不明なオーパーツ。


「あるいは神様が造ったのかもな」


「にゃあよう」


 ソッチにも幾人かの人物はいて、こっちに向ける視線はやっかみと興奮が均等に並んでおり。機械神アンドロギュノス。その起動実験はかなり負の感情を刺激するようです。


「何故にぃ?」


「元々ストーカーは選ばれた人間の特権だからにゃー」


「一人に一機与えてたら整備士だけで国が造れるんだぜ」


 アルマとジュリアンもうんざり気味で肩をすくめる。


「たしかに巨大ロボットを運用するなら、そう相成りますかぁ……」


 というか、それでもダイレクトストーカーを確保できるジュリアンって凄いんじゃ……。


「ティターンは識紋認証があるから他者には操れないしな」


 そのティターンって何よ?


「サクラナガン・ルージュは違うの?」


「一応専用機だけど機能そのものはアンドロギュノスには敵わないにゃー」


 頭部側面の猫耳をピコピコと揺らしながらケラケラ笑うアルマでした。


「ソレに乗る……と」


「ダメか? トール……」


「そんなしおらしい目で見られると色々悪戯したくなるんですけどぅ」


「やっぱりトールはSッ気あるぞ」


 そうかなぁ? あまり自覚は無いんですけど。


 しばしそんな自己疑念に囚われていると、近場のダイレクトストーカーが駆動音を鳴り響かせてこっちに視線を振った。ツインアイカメラ……なのだろうか。魔術で動く巨人に既存のロボットアニメの機構を望む方が間違っている気はするも。その目が此方を捉え、けれども起動を終了する。


「うげ。オルトガバメント……」


 またよく分かんない固有名詞出た。そう思っていますと、胸部ハッチが開いて即席の足場が接近する。その機械的な動きにしなやかな御御足が尊ばれ、カツンカツンと金属を蹴る音が足音に続く。整備士が右往左往し、ストーカー候補が胡乱げにこっちを見やる中で、アルマと同じ桜色の髪の乙女がこっちに歩み寄ります。乙女らしい御尊顔ながら、乙女らしからぬ三白眼。触れれば珠散る至高の刃を思わせる瞳は綺麗ながらに威圧が凄い。


「お兄様!」


「フィーネ……」


「どなた?」


「アルマの妹。こっちは正真正銘女性だがな」


 まぁ胸があるのでそうなのだろう。学院の女子制服を着て、頭部にはガジェットとでも呼ぶべき金属物品が被せられており。ちなみにアルマのとは違って猫耳では無い。


「何故ディフェクターと一緒に居るのです!」


「なりゆき」


 女子生徒……フィーネは兄を睨みやった後、ジュリアンにキツい視線を向けて、それから漸くといった御様子でこちらに気付く。


「あら……そちらは?」


「どうも。トールと申します」


「トール……」


 しげしげと胡散臭いモノを眺めるようなためすすがめつ。


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