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第66話:少女が見た流星09


「なわけで俺と結婚を!」


「いいや! 僕のところに永久就職を!」


「あのー。一応コレでもジュリアンと仲良いんですけど」


「わかっているとも。弱みを握られているんだろう?」


 そういう解釈はどうでしょう?


 すでに衆人環視もこっちをドキドキで見つめていました。見世物じゃ無いんですけども。


「君の瞳は二億ボルト!」


「地上に降りた最初の天使!」


 かなり鋭角に責めるその口説きグチが微妙に冷や汗。


「ところでこんな女子と結婚とか段階すっ飛ばしていませんか?」


 既にして男なのはこの際考慮せずとも。


「そういうわけでワンダー。君は諦め給え」


「なにをツーリーくんよりはトール嬢を幸せに出来るぞ?」


「帝国貴族とかそんな堅苦しい立場にトールさんを押し込めるのか。彼女の可憐さはやはり野に置け蓮華草だろう?」


「理事の息子だからとことごとく美少女を食い散らかした種馬が愛を語るな図々しい!」


 どうやらワンダーくんにもツーリーくんにも問題は在るようで。


「貴様のように努力せずに貴族の財力食いつぶすだけの軟弱にトールさんが養えるか馬鹿者め! 即刻手を引けこのニート!」


「ああ? 親の立場を利用してセックスする事しか考えない準オーク風情が家庭の幸せについて語るのか! この脳味噌が男根の性欲魔神!」


「「ぐぎぎぎぎ!」」


 完全に私を取り合って恋敵を演じていらっしゃる。


「はい。ジュリアン。あーん」


 最後のデザート。梨のタルトをフォークで割って彼の口元に近づけていました。


 まぁお二方の言い分には共感も出来ないモノで。別に処女ってわけじゃないけどジュリアンより魅力的には映らない。


「あーん。うん。美味ちぃぞ」


 デザートの「あーん」というラブラブバカップル的などうでもよさげのパフォーマンスにタキシード二人が激昂する。


「何よりの問題は貴様だディフェクター!」


「どんな呪いでトール嬢を縛り付けている!」


「愛……かな」


「よかろう! ではそれ以上の愛を見せつけてやろうではないか!」


「こっちの財力でいくらでもトール嬢を幸せにしてくれる!」


 そんなプレイボーイの寄り切りで私が転ぶと思われるのが心外で。


「決闘だ!」


「嫌」


 ジュリアンの答えは端にして要を極めました。彼は私の濡れ羽色のロングヘアーを見せつけるように手で梳いて、私の頬に頬を擦らせます。トール=アラクネが俺様の所有物だとでも言いたげに。


「グギギ……!」


「グググ……!」


 で、そんなジュリアンの腕の中で私は愛される歓びに溺れています。


 本当に……格好良いんですから。


「なわけで元から俺様のモノなのに何故決闘を受けて失うリスクを背負わなければならないんだぜ?」


 まぁご尤も。


「逃げる気か!」


「さすがはディフェクターだな!」


「何とでも言え」


「ていうか私としてもジュリアンにしか抱かれたくないですし」


 ピシッと空間が凍りました。


「まさか…………もうヤってる?」


「ヌラリヌラリのグチョングチョンですよ」


「貴様ジュリアン! 王族の立場を利用して天使を堕天使に落とすとは!」


「トール嬢の純潔がどれだけの価値在るのかを自覚しているのか性欲暴走族」


 美女は命を削るカンナとか申します。


 私は男なんですけど。


「ジュリアン。私の髪を撫でてください」


 で、これみよがしにジュリアンに撓垂れかかって黒髪ロングを撫でて貰いまし。


「ヌギギギ!」


「グヌヌヌ!」


 タキシード二人の悔しがりが心の栄養だ。


「そもそも貴様はソウルレスだろうが! 愛など存在しないはず!」


「いや。トールは愛してるぜ?」


「いやん。ジュリアンの真実言葉」


 ギュッと抱きしめる。幻影で見えない胸にムギュッと顔を押し込みました。


「それにトールも俺様を愛しているしな」


 こんな格好良い事言ってくれるんですけど、結構おっぱい大きいんですよねジュリア。


 私には無いものです。


「だから諦めて?」


 人差し指を口元に添えて、軽やかにウィンク。


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