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第46話:乙女に神風の舞い降りて09


「何だかなぁ……」


 困っちゃう僕だった。ともあれ砂時計の砂は下へ下へと零れ落ちる。時間だ。


「四者とも覚悟はよろしいか?」


 拡声器型のマジックアイテムで声を大にして(という表現が適切かは置いといて)僕たちを見据える。僕は何も答えなかったけどフォースと十把一絡げはそれぞれ応対する。僕はダイレクトストーカーに魔力を通して思考と運動と退魔を強化する。ドクンと脈動が揺さぶられる。


「では、始め!」


 そんな戦闘開始の合図さえゆっくりと聞こえる。固有時間が引き延ばされたのだ。開始と同時に敵対するアームが魔術を起こす。


「ウォーターランス!」


「グランランス!」


 両者ともワンワード魔術である。ウォーターランスは言葉通りの水の槍。グランランスも言葉通りの土の槍。二人(二機?)の狙いはサラマンダー。が、遅い。僕はサラマンダーを庇うように前に出ると水と土の刺突を正宗で切り払った。退魔強化……つまりアンチマジックに特化した正宗の威力と……思考強化と運動強化による対応は敵の魔術を一部たりとも通さなかった。


「な……っ!」


 驚いたのはどちらのアームか。それはわからないけど確認することもない。


「フォース」


「……なにかな?」


「作戦通り黄色の方をよろしく。僕が青色の方を仕留めるから」


 僕は退魔剣正宗を構える。


「配線工事じゃあるまいしそう上手くいくか!」


 青のダイレクトストーカーが吠える。


「レインランス!」


 直訳して雨の槍。名の通り上空に水が具現化すると槍状の形をとって雨の様に降り注いだ。けれど決定的に遅い。思考強化によって固有時間を引き延ばし、運動強化によって基礎能力を底上げしている僕にとっては欠伸の出る攻撃だ。僕は退魔剣正宗で降り注ぐ水の槍を全て切り払って見せた。


「馬鹿な……!」


 驚愕するのもいいけど隙になるよ?


 言葉として忠告するほどお人好しではないけども。そもそもにして基本スペックが違うのだ。敵対するアームと神風の機能も雲泥くらいの差があった。相手にならないのは当然の帰結である。そして僕……神風は一瞬で敵機へと間合いを詰める。そのままアームの頭部を掴んでコロセウムの壁際まで押しやる。鈍い音がして敵機はコロセウムの壁にめり込み候ひて。が、それだけでは終わらせない。僕はその頭部を掴んだままグイと手を引くと、神風に遠心力をかけて敵機をコロセウム外へと遠投……投げ飛ばすのだった。必然お敵さんは場外となり失格と果てる。


「さて……」


 緑色のサラマンダーと黄色のアームへと意識をやる。


「マターショット!」


「ディスウェザー!」


 土礫の散弾が風化分解に遮られる。それから、


「ボイスボム!」


 サラマンダーが音の爆弾を放つ。


「ちぃ!」


 波の収束にも座標が要る。敵機はそれを紙一重で回避する。次の瞬間、敵機は神風によって頭部を掴まれていた。そして神風は上空高く黄色のアームを投げ飛ばす。


「後はフォースの出番だね」


「わかりました」


 聞き分けの良い子って好きよ?


 空中に放られたアームに当たり前だけど推進力は無いらしく重力に引かれて落下を開始する。そして着地を待つフォースでもなかった。


「ボイスボム」


 サラマンダーが爆弾を放つ。


「おん畜生!」


 アームが無様に打ち砕かれた。だが風は土に強い。フォースの起こしたボイスボムは音の波風を閉塞収束して衝撃波へと変える。オリハルコンの肉を呑み尽くしアームに襲い掛かった。それが決着だった。


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