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第44話:乙女に神風の舞い降りて07


 ちなみに今回のルールは二対二。片方は僕とフォース。もう片方はミシェル信者が二人。それぞれダイレクトストーカーを持ち寄って戦うということだ。


「信綱はトテチタニウムがあるからいいとして……」


 赤い眼でアリアを見据え、その白い髪を撫ぜるミシェル。


「フォースには私のサラマンダーを貸し与えましょう」


「……ていうか……何で……私まで?」


 そりゃ自分の居場所は自分で創るものだからかな?


「フォースがミシェルの指導を受けるに足る存在かどうかを認識させるためのものなら君が先陣を切らなくてどうするのさ?」


「……それは……そうだけど」


 どうやら怯えているらしい。まぁ無理もないけど。


「フォース?」


「……何?」


「僕とした約束覚えてる?」


「……覚えてるよ?」


 なら良いんだけどね。


「……信綱も……覚えてるんだ?」


「当然でしょ」


 何を今更。それが僕とフォースの繋がりだ。


「……もう一度……言ってくれないかな?」


「望むなら望むだけ言ってあげるけど?」


「……一回で……大丈夫」


 さいでっか。


 コホンと咳をして、


「君の心が安んずるときは僕の心も同じく安んずる。君が涙を流せば僕は君を慰める。君が心を痛めたのなら抱きしめて大丈夫と囁こう。そして君に危険が迫れば命を懸けて助けてあげる」


 一字一句間違いなく言ってあげた。クシャッとフォースが表情を歪める。その燈色の瞳からは涙が溢れる。


「うえ……?」


 狼狽してしまう。


「何ゆえ泣くのさ……っ」


「嬉しくて……」


「ああ……そう……」


 ホッとする僕。美少女に泣かれるのは後味が悪くてしょうがない。嬉し涙というならば話は別だけど。


「その契約……私ともしてくれませんこと?」


 これはミシェル。赤い瞳に宿るは嫉妬の光。


「お兄ちゃん! アリアにも!」


 アリアもミシェルと同じ心境らしい。


「面倒くさい」


 僕はふぅっと天井に向けて吐息をつく。


「フォースだけズルいですわ!」


「お兄ちゃん! 独占禁止法に抵触してるよ!」


 こっちにも独占禁止法はあるのか……。


 とまれ、


「安請け合いでいいの?」


 本質をつく。


「……っ」


「……!」


 ギラリと睨んでくるミシェルとアリア。


 恐い恐い。


「ともあれ僕とフォースは友達だからフォースを鍛えてあげるよ。もちろんミシェルもそうだしアリアもそうだよね?」


「むぅ……」


「んむぅ……」


 不満げな二人。


 ……そこは同意しておこうよ。美談になるんだからさ。


「お兄ちゃんのたらし!」


「信綱の浮気者!」


 冤罪だ~。


 別に構いやしないけどね。


「ふい……」


 僕は風呂に肩まで浸かって再度吐息をついた。


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