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第39話:乙女に神風の舞い降りて02


「重ねて言うけど……」


 僕は仕切り直す。


「ちんちくりんには興味ないよ。僕にだって選ぶ権利はある」


「……じゃあ……アリアの自己主張は……何?」


 何と申されましても……。


「なはは」


 アリアが笑った。


 面白がってるなコイツ。


「いわゆる一つの愛玩動物」


「……愛玩!」


「そっちの意味じゃない」


 それだけははっきりさせねばならない。


「でも結果として懐かれたのでしょう?」


「まぁ……」


 事実ではあるんだけど。


「……むぅ」


「むぅ」


 不機嫌になってくれるな。どうすればいいかわからなくなるじゃないか。


「いい加減はっきりさせるとアリアは……」


 こんこんとノックの要領で隣に座るアリアのこめかみを叩く。


「人間じゃないんだよ」


「……と」


「言われますと?」


「なはは。言葉の通りだよ」


 グイとミルクを飲み干して背後に控えていたミシェルの使用人におかわりをせがむアリアだった。僕は言葉を探してコーヒーを一口。


「ええと」


 痛むこめかみを食指で押さえて状況を鑑み、


「トテチタニウムって知ってる?」


 問うてみた。


「……っ」


 この絶句はフォースとミシェルのもの。


 あ、知ってるのね。


 そういえばオレンジが、


「あまりに俗すぎて燈の国では伝説というよりオカルトになっている」


 なんて言ってたっけ。


「……カオスメタル……!」


「千変万化合物……!」


「そ」


 コンコンとアリアのこめかみをノック。


「質量および質料を万物に自変させうる不定形金属」


「……それで?」


「そちらのアリアは……」


「僕がトテチタニウムに魔力を通して幼女の姿に変えたもの」


「…………」


「アリアが僕の所有物っていうのはそういうわけ」


「……ロリコン」


「ペドフィリア」


 痛み入るね。


 泣いていい?


「だから気分的には愛玩動物のソレだって。持ち歩くのも面倒だから自立してもらってるだけなの」


「……そうなの?」


 そうなの。


 コックリと頷いてやる。


「というわけで」


「……というわけで?」


「コーヒーおかわり」


 フォースとミシェルがずっこけた。それから新たに淹れてもらったコーヒーを飲みながら言葉を続ける。


「というわけでどうせ自立させるなら人畜無害が良いかなと思って幼女にしてみたわけ」


「……なるほど」


「ふむ」


 一応のところ事態は収拾を見せようとしたところで、


「お兄ちゃんはアリアのだから」


 アリアが燃料を投下する。


「…………」


 もう何を言っても疲れるだけだろう。


 僕は黙ってコーヒーを飲む。


「……そういうことなら……いいかな?」


「ええ、問題になりませんわね」


 めでたしめでたし。


「むぅ……」


 一人アリアだけが納得していなかった。


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