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第38話:乙女に神風の舞い降りて01


「ただいま」


 久方ぶりのストーカー養成学院。僕は真っ先に我が家へと帰った。オレンジには日本料理を提供した後さよならである。で、大名行列の如き護衛を引き連れて馬車で帰還。燈の国の大貴族……ブロッサム九世ことミシェルの寮部屋へと顔を出したというわけだ。ちなみにミシェルとの決闘に負けてから僕とフォースはミシェルの寮部屋に住居を移したわけだけど堪能しないうちにオレンジに連れ去られたわけで……即ち帰郷心はちと薄い。これから味わえばいいだけなんだけどね。


「……信綱」


 燈髪燈眼の美少女……フォースがサイドテールの様に長いリボンを揺らして僕を出迎えてくれた。


「信綱」


 赤髪をシニヨンにして赤い瞳を持つ美少女……ミシェルが深紅に喜色を映してみせた。


「こっちがお兄ちゃんの?」


 首を傾げる白い長髪と瞳孔を持つアリアに、


「そ。ルームメイト。言ったでしょ?」


 僕は肯定してのける。


「…………」


「…………」


「…………」


 沈黙するかしまし娘。口火を切ったのはアリアだった。


「……ふむ」


 と自己完結した後、僕の腕に抱きついて、


「お兄ちゃんはアリアの物だから」


 ありえない宣言をかました。ビシィと空間がひび割れた。フォースとミシェルの口の端が引き攣る。


「……どういうこと?」


「どういうことですの?」


「どゆことだろね?」


 順番にフォース、ミシェル、僕の言だ。


「お兄ちゃん……ということは妹ですの?」


 そういえばこっちの世界での僕の戸籍ってどうなってるんだろうね? 今度オレンジあたりに聞いてみよう。


「なはは。血は繋がってないから問題ないもん」


 血縁云々の話じゃない気もするけどね。


「……どういうこと?」


「どういうことですの?」


「どゆことだろね?」


 デジャビュ~。


「お兄ちゃんのルームメイトの……」


 ルームメイト、の発声に力を込めてアリアが言う。


「フォースとミシェルだね。よろしく」


 白い瞳が皮肉を湛えていた。


「……よろしくアリア。……信綱の一番の友達が私」


「よろしくお願いしますわアリア。信綱の一番の理解者が私です」


 それぞれ何に対しての主張なんだろね? いや、わかってはいるんですけども……。はてさて、どうしたものか……。


「ともあれアリアも一緒に……というか付録なんだけどよろしくミシェル」


「どこから拾ってきましたの?」


「コウノトリがキャベツ畑に現れて……」


「……信綱……それって言い訳だよ?」


 とは申されますがフォースさん。


「じゃ、おっじゃまっしまーす」


 臆面もなく堂々とアリアは白い長髪を揺らしてミシェルの寮部屋へと入っていった。


「説明していただきますわよ?」


「……説明の義務が」


 わかってますって。両手を挙げて降参のポーズ。それから僕たちはダイニングテーブルに四人で座り、僕およびかしまし娘はティータイムとしゃれ込んだ。僕とフォースはコーヒーを、ミシェルは紅茶を、アリアはホットミルクを飲んで、さっきの続きを強要される。


「さっきの続きと言われても……」


 状況に流されやすい悪癖の結果でしかないのだけど……どう言えと?


「信綱はちっちゃな女の子がお好みですの?」


「ちんちくりんには興味ないなぁ」


「……それは……女王陛下にも?」


「おっぱいが大きくなったら抱くって約束はしたけどさ」


「お兄ちゃん。アリアとキスしよ」


「い・や・だ」


「あう~……」


 とふてくされてミルクを飲むアリアだった。


「信綱とアリアはどういう関係ですの?」


「さぁ?」


 本気でわかりません。


「アリアはお兄ちゃんの所有物」


「…………」


 ……まぁ間違っちゃいませんけれども。


「……やっぱり」


 ジト目で僕を睨むフォース。


 何を納得していますのん?


「そんな趣味が信綱にあったなんて」


 冤罪だー。


「今更私の胸は小さくはなりませんし」


 ふにふにと自身の胸を揉むミシェル。実に僕好みのおっぱいなんだけど……どうすれば紳士的に伝えることが出来るだろうか?


 無理ですね。


 わかります。


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