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第19話:ストーカー養成学院09


 僕とミシェルの決闘については電撃的にストーカー養成学院に広まった。賭け事さえ行われる始末だ。


 もっともミシェルの勝ちは当然と認識されているらしく僕の倍率は大変なことになっているらしいけど。


 そんなことはともあれ。


 僕はまだダイレクトストーカーと云うものを良く知らない。なにせストーカー養成学院に通って数日と言ったところだ。フォースの講釈と学院の講義によってどんなものかは茫洋と理解しているけど触ったことさえないのだ。


 ので、特別に訓練の猶予が与えられた。その期間、約一ヶ月。


 これは後で知ったことになるのだけど、僕とミシェルの決闘は燎原に発した火の如く燈の国に燃え広がり、一ヶ月経つ内に燈の国の女王陛下の御耳に入り王族御前試合にまで発展する始末。


 で、時間を巻き戻して現在。僕は学院の所有するダイレクトストーカーを見上げていた。


「ふわぁ……」


 その想いを言葉にするなら感動である。


 巨大人型ロボットが確固として存在している。目測でだいたい全長二十メートル。フォースの姉であるパワーの駆っていたダイレクトストーカーと同じくらいの大きさだ。自重と魔素吸収率を天秤にかけて全長二十メートルくらいがベストだと講義で習った記憶がある。


 とまれ少年のロマンの産物がそこにあるのだ。


 オリハルコンは白とも銀ともとれる光沢のある金属で出来ていて、あまりに神秘的。ブレインマシンインタフェースを採用しているため、当然ながら人型で、さらに僕の好きなマスク型のヘッド。


 それが十機ほどズラリと格納庫に並んでいる。


 ちなみに格納庫は此処だけではなく他にもあるらしい。それぞれに階位があって、僕が今いる格納庫は量産型汎用ダイレクトストーカー……アームと呼ばれるソレを調整するところとのこと。


 他にも開発室や実験室……ワンオフ機を格納している倉庫もあるようだ。


 ワンオフ機とは個人ごとに特別仕様になっている優秀なストーカーが駆る特別仕様のダイレクトストーカーとのことで、要するに専用機のことですねわかります。


 角が生えていたり赤かったり。


 さすが準拠世界。ロボットのロマンが詰まっている。


「そこの黒いの。お前が上泉か?」


 そんな声がかけられた。声のした方に視線をやると「おかん」と呼びたくなるほどの頼りがいオーラを発している女性が声をかけてきた。


 ちなみに「黒いの」とは僕のことだろう。僕は黒髪黒眼で漆黒の学ラン姿だ。こっちの世界の住人はカラフルな髪の色を持つので黒はむしろ希少だった。


 別に気にすることでもないけどね。


「話は聞いてるぞ。中途編入したばかりであのフェアリーと戦うなんて胆が据わっているというか馬鹿なのか……」


 おかんは面白そうに僕を見やる。


「状況に流されやすいだけですよ。僕の悪癖です」


 苦笑する他ない。事実は事実だ。


「さっそく乗ってもらうか。ダイレクトストーカーの搭乗経験は」


「皆無」


「はぁ? マジか。よくそれで決闘を受ける気になったな。一ヶ月であのフェアリーを超えるつもりか?」


「厳しいですか?」


「厳しいというか……いっそ侮ってるというか……」


 どうやら勝ち目は薄そうだ。僕の倍率が右肩上がりになるはずである。


「……上泉……大丈夫?」


 付き添っていたフォースが心配そうに聞く。


「まぁウルトラCがあるからフォースが心配する何物もないよ」


 クシャクシャと燈色の髪を撫ぜて安心させる紳士な僕。おかんが閑話休題。


「じゃあとりあえずダイレクトストーカーの操縦の基礎から始めようか。上泉と、それからフォース、一番のコクピットに入りな」


「……私も?」


「どうやって自身の脳とダイレクトストーカーとをリンクさせるかは見せてやるのがてっとり早いだろ。別に教えて難しいことじゃないが百聞は一見に、だ」


「……はい」


 そんなわけで僕とフォースは量産型ダイレクトストーカー……アームのコクピットに乗った。案外コクピット内は広く、二人入っても窮屈さはない。


 固定されたアームチェアにも似たゆったりとした椅子が一つあり、フォースはそこに座って背をつけた。僕は椅子の隣で膝立ちしている。


「用意は出来たかい?」


 とコクピット内にも聞こえる音声が飛んでくる。原理としては拡声器なのだけどオリハルコン製の魔道具の一種だ。魔力を注ぎ込んで「声を拡大させる」という出力を吐き出すマジックアイテム。


 便利ね。


 ちなみにフォースも講義で使っていた。


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